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永遠の命

作者: 素也相
掲載日:2025/11/17

もしも永遠の時を生きられるようになったら。そんな事を誰しも一度は考えたことがあるだろう。だがすぐにその非現実性に呆れてそんな幼稚な考えは捨てるだろう。人間は誰しも最初は生きたいと思うだろう。紆余曲折あり死にたいという自殺願望や殺されたいという欲求に苛まれる事はある。だが多くの人は日々苦しい思いをしてもそこに差す一筋の希望、趣味、嗜好、何だって良い。それを頼りに生きていく。それらに熱中する人々の無意識中の考えの中には少なからず人生は一度しか無いのだから今楽しまないでいつ楽しむといった考えがあるのでは無いだろうか。実際に親戚などから思いっきり遊べるのは今だけだから楽しみなさい、と人生の大先輩からの助言とでも言うように言われた事がある人は多いはず。そのように私たちが限りある命だからこそ生まれる言葉はとても多い。だからこそ永遠の命というのは人々を惹きつける。だが最近では科学技術も進歩し、遠い遠い存在がだんだんと近づいてきている。だからこそもし人間が永遠の生命を手に入れる事が出来たらどうなるか真剣に想像する事も面白いかもしれない。

ガタガタと階段を勢いよく蹴って私に何かが近づいてくる。夢なのか現実なのか区別が出来ないままそれはガチャリと激しくドアを開ける。夢にしても現実にしてもそれが何なのかははっきりと分かっていた。[善、速く起きて]母が言った。ようやく母の輪郭がはっきりとする。だがまだ頭は霧がかかったようにぼんやりとしている。僕は浅い思考で母がこんなに慌てているのはいつ振りだろうか、なんて呑気な考えを巡らせる。[これ見て]母がスマホを僕に突きつける。それは僕の常識をぶち壊し脳に直接衝撃を与えた。【人類の最終地点、不老不死の実現】と大々的に取り上げられている。何かの間違いかと思ったが確かにそう書かれている。母からスマホを奪い下にスクロールする。他の記事も大体同じような物ばかりだった。だが記事によっては喜ばしいように書いてある記事もあれば【禁忌】や【パンドラの箱】と言った単語を多用する否定的な書き方をした記事もあった。肯定的な意見が多い中、否定的な意見もチラホラとあった。[すごいでしょ][今大変な事になってるらしいの]とありきたりな台詞を繰り返す。内心そんな事分かっているよと思いながら[そうだね][大変な事になってるみたいだね]と抑揚のない言葉で返す。取り敢えずもう七時だから速く着替えなさいねといつもの声のトーンで言う。まるで何事も無かったかのように部屋から出ていく母の姿に無意識のうちに張っていた緊張が解れる。[さて、学校に行かないとな]といつもの台詞を言う。                                            リビングに行くと父が何処かよそよそしかった。 そのまま席につき出ている朝食に手を付ける。  今朝の衝撃的な出来事からかあまり味がしなかった                                 【2】                        クラスに入るといつも以上に騒がしかった。心当たりしか無かった。十中八九不老不死のことだろう。無理もない、どんな時も冷静なのが取り柄の自分もあれには驚きを隠せなかった。[善、あれ見たか?]幼馴染の宗弥が言う。あれとは不老不死のことだろう。[あぁ、見たよ][びっくりした]やっぱそうだよなあ。共感を得たかったのだろうか。 [あれ....宗弥はどう思う?]純粋な疑問をぶつける[良いか悪いかって単純な決めつけで言うんだったら俺は良いと思うけど]宗弥らしい答えだ。[やっぱりそうか][そう言うと思った]ありのままを口のする。[やっぱりって何だよ]と笑いながら言う僕も自然と笑みが溢れる。[僕も宗弥が言うようにメリットとデメリットを比べたらメリットが勝るってだけで何とも言えないんだよね][確かにネット上ではいろんな意見が飛び交ってるけど][もう肯定派と否定派が出来ちゃってるみたいだし][ていうか早く準備しないとやばいぞ]ふと時計に目を見やる。ホームルームまであと五分しかない。[やばい]何とか準備を終えて席に座るのとチャイムの音はほぼ同時だった。                          【3】 [やっと終わったー]隣から両手を上げて脱力している宗弥の声が響く。周りはぞろぞろと教室から出ていく。大きく分けて部活に行く者とそのまま帰る者に別れる。僕は帰る為に用具をバックに詰めていく。宗弥は卓球部なので僕とはここで別れる。校門を出ると空は夜になりかけで下から柔らかな黄、赤みがかった橙、青、藍とグラデーションのようにそれぞれの色が境界線を越え交わり合っている。スマホを取り出し写真を撮ろうとする。急に不老不死というワードが脳にふっと沸く。勿体無いと思ったけど、これも不老不死になれば勿体無いと思わなくなるのかな.....。何故かもの寂しさが襲ってくる。僕は家に帰るべく再び歩き出した。                                         【4】                        メディアは連日不老不死のことで大騒ぎだった。ニュースでは世論調査、討論番組ではその手の専門家たちが集まって議論を交わしている。これにより人間が劇的な進化を遂げるとか、進化論に反し進化しない分退化と言えるではとか内容以外はいつもの物と大した違いは無かった。噂では大富豪がこの手術をこぞって受けたがっているらしい。真偽は確かではないがあながち間違いでも無いだろう。スマホのパスワードを解除し、ネットニュースを見る。そこにはデカデカと【不老不死は嘘だった?】と書かれている。目を見張った。電話が掛かってくる。宗弥のようだ。応答ボタンを押す。もしもし、という前に宗弥が[あれ見たか?]と好奇心に満ち溢れた声で言う。分かりきっているがわざとらしく[あれ?]と言うと宗弥は[分かってる癖に]と笑いながら言う。[不老不死のやつ嘘だった][でしょ][そうなんだよ]宗弥が嬉々として言う。どうやら宗弥には面白い物として映っているらしかった。[その内ニュースでもやるんじゃ無いかな][実際にそう言う機関が言ってるらしいから信ぴょう性は高いと思う][でも完全に嘘って訳でもなくて、不老不死とまでは行かなくでも寿命が伸びるらしいよ][ネズミとかで実験して][それでもすごい事じゃ無い?][だからこれがどうなるのか][じゃあ切るね][あぁ]僕達の日常は一瞬にして変わってしまったと思ったらまたすぐに戻って来た。そしてまた日常が始まる。

もしもの世界を考えて書いてみました。所々変な所があるかもしれませんがご了承下さい。

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