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ナンジャモンジャ  作者: 藤堂慎人
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コロナの問題 1

 私たちの幸せをよそに、世の中は不安の渦に包まれていった。コロナの問題だ。テレビを点ければその話題で連日持ちきりになっている。夜のニュースを2人で見ていた。


「康子、見てごらん。緊急事態宣言で飲食業が大打撃らしいよ。僕たちもコロナの問題が出てきてからマスターの店にも行っていないしな。心配だね。宣言中、夜はともかく、昼は営業しているだろうから今度の休み、行ってみようよ。今、お客さんも少ないかもしれないので、僕たちが行くことで少しは役に立つかな?」


「そうね、最近は2人で過ごすことが多かったので、あまり行っていないものね。こういう時こそ行って、応援したいね」


「その前に電話して、その日やっているかどうか確認しよう」


 私はそう言ってマスターの店に電話を入れた。


「お電話ありがとうございます。フランソワです」


「雨宮です。すみません、最近ご無沙汰で。今度の日曜、営業されているかなと思いまして。コロナのことがあるので営業のご確認でした」


「お気遣いありがとうございます。政府のお達しで我々の様な飲食業は大変ですよ。でも、やっていますよ。お昼なら大丈夫です。お待ちしています」


「はい、ではお邪魔させていただきます」


「やっているって。予定通り、今度の日曜、2人で行こう」


「分かった。そうしよう。まだ私たちの周りでは感染した人がいないけれど、数字は上がっているし、いつ自分がその中にカウントされるかもしれないって考えたら怖いわね。私は家にいることが多いけれど、あなたは会社に行かなければならないので途中が心配ね」


 私の会社は新宿にあるので,荻窪からは電車になる。今はマスクを着用している人ばかりで、コロナ感染を心配している人が多いことが如実に分かる。電車の中で咳をしている人がいたら、無意識に移動するようにしている。だが、混んでいる時、それは容易ではない。顔の向きを変えるなど、できることはやっているつもりだが、密閉された空間でのことなので気休め程度のことだ。電車の中で私が感染し、康子にうつすことなどとてもできない。


 会社もそういうところを心配してか、在宅でできることであれば自宅で仕事することもできるようになっている。そういう意味では感染のリスクは低くなるかもしれないが、街中、至る所に危険性が潜んでいるため気が抜けない。健康管理について今ほど意識したことはないが、時期が時期だ。マスクや手洗いは毎日注意し、疲れを溜めないように気を付けている。そんな私を康子は気を使ってくれるが、買い物にしても感染の可能性が否定できない。目に見えない存在からのことなので神経が疲れる。


 だが、そんな時でも今は康子と一緒だ。そのことが私の心の疲れを吹き飛ばしてくれる。こういう時代になったからこそ、より一層2人でいることを有難く感じている。



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