プロローグ
「今回は失敗だった。どこで間違えてしまったんだろう」
そうポツリと呟く。
俺は小さい頃からアイドルを目指し、事務所に入ってこれまで努力をしてサバイバルオーディション番組でデビューメンバーになり、そして華々しくデビューをしたはずだった。
そこからは人気アイドルを目指して他メンバーと頑張っていこうと思っていたがデビュー後、他メンバーの不祥事や、喧嘩、性格が合わない等様々な要因があり結局はトップアイドルになるなんて夢のまた夢で、現実は底辺アイドルでしかなかった。
更にその上契約を更新しないことになり、俺が居たグループは解散となった。
そんな現実に絶望し、俺は今ビルの屋上に居た。柵の外側に立っている。下を見るとかなりの距離があった。
「これは即死出来るかもな」
そう口にしたが声は少し震えていた。
トップアイドルになりたかった。だけどなれなかった。底辺アイドルのまま、誰からも見向きもされずに生きていたくはなかった。
だから俺は今日ここで飛び降りて命を絶とうと思う。
俺が死んだ所で、悲しむ人はいない。父親は離婚して居なくなったし、母親は俺を残して先に死んでしまった。他に兄弟もいない俺を止めてくれる人はいない。
来世こそはトップアイドルになりたいな、そう思いながら足を一歩前へと踏み出した。
落ちていく感覚がする。一体地面はいつ訪れるのだろう?そんなことを考えているといつの間にか意識を失っていた。
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「だから!ここはこういう風なのがいいんですよ!」
?
なんだか騒がしい、俺は一体…?困惑しながらパッと目を開くと明かりが目に入ってきて視界がチカチカとした。
窓がなく、壁程の大きさの鏡と複数の見知った男の子たちがいる。
(ここは…俺が居た事務所の練習室?)
自ら命を絶った俺は何故か過去に回帰していた。これは神様が与えてくれたチャンスだ。もう二度とこんなことは無いかもしれない。
そして今度こそはアイドルとして成功し、トップアイドルになろうと決意した。
(絶対にこの回帰で頂点に立ってやる…!)
まずはこれだろ、そう思って小声で呟いた。
「ステータスウィンドウ」
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東宮 理人(19)
称号:回帰者
スキル:なし
ステータス:歌B-(SS)
ダンスC-(S-)
ラップD+(A-)
ビジュアルC+(SS)
スター性:D-(??)
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