最悪の選択肢「NTT完全民営化」で国民にとってプラスになるかもしれないこと
筆者:
本日はNTT法が改正してしまい、NTT法廃止・完全民営化に大きく進んでしまったという事と民営化した場合に「国民が使えるはずの財産」について見ていこうと思います。
質問者:
まずどのようなことが改正されるのか教えていただけますか?
筆者:
これは2回目なので改めて見ていこうと思うのですが、
1 「研究の推進責務」及び「研究成果の普及義務」を廃止し、研究開発の自律性を高める。
2 「外国人役員に関する規制」について、外国人役員を一切認めない規制から、外国人の代表取締役への就任や外国人が役員の3分の1以上を占めることを禁止する規制に緩和する(3分の1まではOKに)。
3 「役員選解任」の決議に係る「認可」を事後届出に緩和する。
4 「余剰金処分」の決議に係る「認可」を廃止する。
5 「会社名(商号)」の変更をできるようにする。
6 付帯決議で2025年をめどにNTT法完全廃止(完全民営化)を目指す。
この6つが主な論点です。
特にポイントなのは2の外国人役員を入れることが出来るという事です。
質問者:
経営の多角化・国際化ということですが、
実際のところNTTの経営状態ってどうだったんですか?
筆者:
正直言ってNTTは利益面で言ったらかなりの優良企業です。
17年から23年は1兆5000億円以上営業利益が出ており、
これ以上強引に利益が出るような状況はむしろ国民生活にとって悪影響が出るでしょう。
そもそも日本国内にしか展開していないので、国際競争も何もあったもんじゃないです。
日本人としてみればちゃんと電話やメールが繋がったり届いたりして、金額が高すぎなければ何ら問題はありません。
海外からの役員を招聘するメリットは皆無と言えます。
質問者:
そもそも防衛費捻出のための株式売却の話なのに、
インフラ売っちゃうってどういう事なんですかね……。
筆者:
しかもずっとある会社なので資産価値を現在に直していないために過小評価されている面もあるんですね。株式の時価総額は15兆円に対し、資産価値は25兆円前後と言われているんですね。
NTT東日本とNTT西日本は、日本電信電話公社時代の独占体制で全国に整備された電柱約1186万本、通信ケーブルを通す地下パイプ(管路)約62万キロメートルなどの線路敷設基盤、国内の電柱の約35%を保有し、光回線シェアは約74%もあるんです。
これを株式を自由に売却できるようになってしまったらたちまち外資がハイエナのようにしてやってきて資産を売却するように迫るでしょう。
これが見えていながら本気で言っているのならどれだけ短期的視野なのかと思ってしまいます。
質問者:
この状況下で反対意見って無かったんですか?
今回の改正で完全廃止では無いものの2025年にほとんどの確率で完全民営化してしまうみたいじゃないですか……。
筆者:
実際に反対意見、懸念を述べる方々もかなり多くありました。
名古屋大学大学院の林秀弥教授は、『電柱など日本電信電話公社から継承した資産をNTTが維持し、そこに設置される電気通信設備の発展責務を課すべきだ。NTTからこうした資産を切り出した際の通信インフラの脆弱化を懸念する声もあり、国民に不利益とならない結論が望まれる。』
関西電力傘下のオプテージ(大阪市中央区)は、『特別な資産をNTTから別会社に切り出した場合、中長期的には料金の高止まりやインフラの脆弱化など国民へ不利益を及ぼす恐れがある。NTT東西とNTTドコモの統合への懸念は法規制による措置で解消可能であり、多大な移行コストなどが生じるアクセス網の資本分離は実施するべきではない』
KDDIとソフトバンク、楽天モバイルの3社も改正NTT法の成立を受け、見解を表明した。まず挙げたのは、「NTT法廃止を含めた検討や2025年の時限を設ける規定は、拙速な議論を招きかねない」と改正した直後に共同声明を出しています。
質問者:
当事者が懸念しているのにゴリ押しするってどういう考えなんですかね……。
筆者:
「アメリカ様」というボスからの命令なんでしょうね。
僕はむしろ、インフラ産業は株式を国が買い戻すことによって50%以上保有し、国営化に向けた動きをしていく必要すらあると考えています。
トランスナショナル研究所(TNI)によりますと2020年までに世界58か国、2400以上の町で、1400件以上もの再公営化、公営化の事例があったと報告しています。
最も公営化したものはエネルギーの374件、2番目は水道の311件、3番目に情報通信サービスの192件となっています。
やはり、利益を出すために値段が急騰したり、インフラ修理のために消費者に負担させたりといった事態が起きているために住民から大きな不満が噴出し、公営化に戻るといった出来事が起きているようなのです。
質問者:
日本でもロシアとウクライナの一件以来電力自由化で契約次第では何倍にもなってしまったことがあったとか……。
しかし、このNTT完全民営化流れはどうにも止められなさそうですよね?
筆者:
「国民生活への影響も大きいものであることから、広く意見を聴取し、国民の理解が得られるよう検討の過程及びその結果について十分に説明を行うこと」などを求める付帯決議がなされましたが、
「説明」をするだけで2025年にゴリ押しをして廃止までもっていくことは明白だと思います。
インボイス制度でも「丁寧な説明」をしていると自称し、直前に新たな細かい制度を追加したりと滅茶苦茶なことを平気でやっていましたからね。
質問者:
日本国民にメリットって無いんですかね?
筆者:
実を言いますと戦時中は防空壕として利用していたのを活用しNTTは地下に通信網が多くあります。
東京大空襲なども耐え、地震の際にも問題ないほどの堅牢さで日本全国に610キロメートル張り巡らされているそうです。
その所有している地下道を「洞道」と言うそうなのですが、
現在は会社関係者の一部がカードキーなどで厳重に管理されているので一般人は入ることが出来ません。
しかし、温度は20度前後と安定、通信インフラが遮断されないように様々な防災装置を搭載し、トンネルも5メートル前後と中々大きいのです。
自由化・民営化などというのならばこういったこれまでつかってこなかった公共資産を一部一般開放し、日頃から防災訓練などに使うことが望ましいと思います。
例えば緊急地震速報やJアラートの際にのみ自動的にロックが解除されるとかそういった方法です。
質問者:
なるほど防災に役立てるかもしれないんですね。
そんな地下に張り巡らされているだなんて一般的には知られていなさそうですけどね……。
筆者:
僕も最近知りました(笑)。
逆に地下施設を一般開放せずに、株式を売却してしまうと秘密裏に「地下から」外国勢力に良いようにされてしまう可能性はあります。
いずれにせよインフラ株を外国に売ることや外国人取締役を容認するは首根っこを掴まれるのと同じことだと思った方が良いです。
質問者:
あんまり皆さんそういった意識があるようには思えませんよね。
筆者:
やっぱりテレビ新聞があまり報じてくれないのが大きいですね。
メディアはそこのところは突っ込んでくれませんが、最悪の事態までいかなくても可能性を論じるだけでも牽制になりますから意味があることだと思うんですけどね。
ちょっと今、水原通訳と紅麹サプリばかりで他があまり注目されていない印象を受けますね。
質問者:
マイナスの要素について報じてくれないことがあまりにも多い気がしますね……。
筆者:
「報道しない自由」があるからですね。
当初は厳しくするかもしれないのですが、時が経って注目されなくなったときに、シラッと行う可能性があるのでことあるごとに話題にしていきたいと思いますね。
という事でここまでご覧いただきありがとうございました。
今回は改めてNTT法改正の問題点を振り返り、その財産の豊富さとそれを外資に取られること事は日本の首根っこを掴まれるためにむしろ国営化に戻した方が良いという事をお伝えさせていただきました。
今後もこのような時事問題や政治経済、マスコミの問題について個人的な解説を行っていくのでどうぞよろしくお願いします。