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ディンブランとの再会


俺が目を覚ますと、どこかもわからない石牢にいた。まじかよ。これって捕まったって事か。


すると、すぐ隣から声がした。




「目が覚めましたか、ウル殿」




「きいやぁぁぁあああ!」






俺は大声をあげてのけぞる。ぱっと顔を向けて、相手をよく見るとバラガムが耳を塞いでじっとこちらを見ている。


何してんだお前は。俺はたずねる。




「え? お前もつかまったの?」


「はい、すみません。古道具屋を見張っていろといわれたのに」


「お前みたいな紋章師が捕まるとは、もしかして、あの古道具屋のじいさん、すごく手ごわい相手なのか?」


「いえ……あの~、そのですね……」



バラガムは何かもじもじしていいあぐねている。


俺は気持ちを落ち着けて、聞く態勢を整える。こいつの事だ、またなにかへまをしたのか。


俺はバラガムに優しく語りかける。




「無事であればよかった。どうしたんだよ、いったい」


「ええ、見張りはしていたんですが。実は古道具屋の店主に飲み物を勧められ、口にしたんです。そこに眠り薬が入っていたようです」


「あ、それでか~って、おい! どうして見張っている相手から茶を勧められて飲んじまうんだよ、お前さんは」


「だってお疲れでしょうって勧められたから、飲まないと悪いかなと思って」


「はぁ……もう。好きにしなさい、おじさんはしらん」


「すみません……」



バラガムは消え入りそうな声でつぶやいた。俺の胸ポケットの中でキャンディが笑いをこらえる声がきこえる。ったく、笑ってる場合かよ、このやろー、この状況がよー。


その時、牢の向こうから声が聞こえてきた。


俺たちはすっと、だまりこみそちらに目を向ける。


石の廊下の向こうから、松明を手に男が現れる。そして男に手を引かれて松明に浮かびあがったのはディンブランだった。


ディンブランは牢の前まで来て、こちらに聞いてきた。




「アーノルド? 本当にアーノルドかい?」




俺は飛び上がり駆け寄る。牢屋越しにディンブランに声をかけた。




「そ、そうだ! 俺だ! アーノルドだ! お前を探していたんだ!」


「その声……本当にアーノルドのようだね」




ディンブランは俺の声を確認すると手を引いてきた男に話しかけた。




「どうか、牢から出してあげて。この人はラトヴィア一族の人間ではないよ。大丈夫だ」



ディンブランの言葉に付き添いの男は疑わしい目をこちらに向けたものの、牢のカギを開けてくれた。


俺たちはそのまま、牢から出て、2人についていった。


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