閑話:宮廷紋章調査局★
宮廷紋章調査局とは
名から想像すれば王都宮殿の中にある一部門のようにとられがちだが、それは言葉の錯覚である。
その実質は真逆で、宮廷紋章調査局の一部が王都宮殿というほうが正しい。
広大な平地を切り開き建造されたこの宮廷紋章調査局は1500の部屋、12の離宮がある。
国王が住むエインズ宮殿もこの離宮のうちの一つとなっている。
そして、離宮を天に頂き緑が茂る7つの公園で構成されている。すべての場所をまわろうと思えば一日ではまったく足りない。
この宮殿の敷地はいくつかの町をすべて飲み込んでしまうほどの広さとなっている。
『天資の儀式』が行われる紋章聖議堂もこの敷地の中にある。
宮廷紋章調査局の建物と庭の構造配置それ自体が、上空からみると巨大な魔術陣形となっており紋章聖議堂がその中央に位置する。
紋章を授ける為の”覚醒魔術”の為の魔術陣であるという説がまことしやかにささやかれているが、宮廷紋章調査局はその説を完全に否定している。
しかし、それだけ巨大な魔術陣が必要だと噂されるほどに紋章を授ける為の”覚醒術”は超々高度な古代魔術であるとされている。
宮廷紋章調査局に勤務する局員は紋章師に限られる。その中でも特に魔力の強いものが選抜される。
ただし、古代魔術の秘儀を扱う為、入局するさいには何百枚にも及ぶ誓約書に血印を捧げなければならない。
私生活にまで及ぶ厳しい行動規範があると言われている。
若者が初めて就く庁局としてはやや敬遠されがちである為、必然的に局員は年配者が多い。
国の庁局の一つではあるが、その特殊性から宮廷紋章調査局の局長官は国王と同等かそれ以上の発言権をもつといわれている。
一時期、宮廷紋章調査局の離宮の屋根の高さが、国王の住む離宮の屋根よりも高いのではないかとの議論が持ち上がり問題視された。
その時は、国王の住む離宮の屋根に金製の鉄塔をつけることで高さを稼ぎ王の権威を保つことで解決したというような逸話もある。
この逸話は宮殿の人間からはつの合戦とやや皮肉を込めて語りつがれている。