ルギルテのこころ ③(第十二章 最終話)
さて
ここで視点はキメラ討伐副部隊長ルギルテへとうつります。
ではでは・・・・・・。
私とティアラ様は、ジャワ渓谷の宿営地に戻り、報告を待っていた。
ほどなく、採石場跡にキメラ討伐に出ていた討伐部隊の各班からの報告が届いた。
どの班の報告員達も、皆が口をそろえてこう言った。
“採石場跡が、無くなっていた”と。
私たちはその報告の意味がよくわからなかった。
その為、私はティアラ様とともに、採石場跡を順に回った。
報告通り、どの場所にも、確かに採石場跡はなかった。
地形、そのものが変わってしまっていたのだ。
その場にあったのは、灰の海。
ただ、ただ、灰の海が広がっていた。
そこにあったはずのものは、すべてが粉々に破壊され、燃やしつくされていた。
これを行ったのは、ウル様と、一人の男だと聞いた。
しかし、たった二人だけで、たった一夜のうちに、しかも複数の場所で、これだけの大規模な破壊活動ができるものなのだろうか。
私は眼下に広がる灰の海をみて足がすくんだ。
そこに、ある種の“怒り”の感情を読み取ったのだ。
全てを焼き尽くそうとする、怒り、を。
私は隣で立ちすくむティアラ様に目をやり、そっとたずねた。
「ティアラ様……これが、ウル様というお方なのですか?」
「……そう。これがわたしがお慕いするお方。ウル様なの」
「明日、ヴィデン様の代わりとして、宮廷紋章調査局からあらたな調査員が来られる予定なのですが……」
ティアラ様は小さくため息をついた。
「仕方ありませんわ、正直にお話するしか」
「私はどうやら……ウル様の事を、誤解していたようです」
「うふふ、だってウル様は……」
ティアラ様は、そのまま口をつぐんだ。
ティアラ様が、何を言いかけたのか、私には想像がつかない。
目の前に広がる灰の海が風になぞられて、キラキラと散った。
キメラは殲滅させたものの、キメラの錬成について書かれた禁術書はいまだ、見つからず。
この騒動の犯人もヤブの中だ。
しかし、本当に今回のキメラ錬成騒動に奴らが関わっているのだろうか。
屈強な紋章師たちで組織されているという謎の組織。
「白の幻影教団」が。
いまのところ、マヌル家の領主さまに報告できるたしかな事が、何一つない。
新たに派遣されてくる宮廷紋章調査局員はこの顛末をどう受け止めるのだろうか。
我々の、不安は尽きない。
第十二章 おっさんふたたび 新種のキメラ編
完
お疲れさまでした!
ここまで読んでいただきありがとうごいます!!
一旦ここでお話をたたみますが
また続きのお話が書ければとおもいます。
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