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ダークエルフの残した移動型魔術都市★

千年遺跡。


挿絵(By みてみん)



世界各地のあちこちに、突如として出現し、突如として消滅するという謎だらけの地下都市の遺跡群の総称だ。


その地下都市というのは、いまは絶滅してしまった種族といわれている漆闇妖精(ダークエルフ)が残した移動型魔術都市だと言われている。主がいなくなった今でも、あの幽霊都市だけが世界中のあちこちの地下を不気味に動き回っているようだ。


その都市に潜入し何かを手に入れる事ができれば、超古代文明のなんらかの恩恵を受けることができるのだ。


例えば強力な武器、例えば強力な魔術の呪文、例えば何らかの発達した技術であったり。いろいろだ。





ドネシア家はここエインズ王国をおさめる七貴族のうちでは一番下の家格。


いってみれば、さほど重要視されていない一族ともいえる。そのドネシア家の土地に千年遺跡が現れた。


まさか、他の貴族たちとの立場を逆転させようと、千年遺跡から何かを手に入れようと画策しているという事なのだろうか。




俺は次の言葉が出ない。こりゃメビウスの個人的な仕事の依頼ではなく、七大貴族の一角、ドネシア家からの依頼とも言える。


んなこたー状況みりゃわかる。しかし、コイツの態度からして、今回の依頼内容のすべての責任は、メビウス一人におっかぶせられているという事だろうな。


メビウスはこちらをじっと見つめている。俺にこの件に関わる気があるのかないのか視線で問うている。


思いつめたように黒く輝くメビウスの瞳。



さて、どうすっべか。








ひとまず、メビウスにかえってもらった後俺はテーブルに座り込みさっき貰った誓約書をなんとなく眺めていた。


しかしこういう物を書面で残すという事は、メビウスは”自分がいなくなった時”の準備をしているという事だ。


つまりやつは命がけという事。アイツの事をまだ詳しくは知らんが、どうにも放っておけないような気もするな。


その時、キャンディの声がした。



「黙り込んで、どうしちゃったの?」



俺は誓約書を少し下げてテーブルの上に目をやる。ぬいぐるみのキャンディがいつものように踊りなのか何なのか、短い手足をありったけのばしてクルクル回っている。


そう、なによりも千年遺跡、ときいてもう一つ気がかりなのがキャンディだ。


キャンディは呪具で調べてわかったんだが、実はダークエルフの少女なのだ。なぜ絶滅したと言われているダークエルフの少女の生き残りの魂がこんなぬいぐるみに封じられているのか。


しかもキャンディには忘却術がかけられているらしく、十数日もすれば以前の記憶が全部消えていっちまう。


今まで出会った人たちも、自分の正体も、すでにわすれているんだ。それはとても残酷な仕打ちだ。


ふうむ。斬呪剣の事も気にかかるが、キャンディについての何かがわかるかもしれない。


誓約書なんて書くのはバカバカしいが、ひとまずはこの依頼を受けることにするとしよう。


俺は羊皮紙をテーブルに置いて、親指をかんだ。そして、真っ赤な血印を押した。

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