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邪神転生ガール  作者: megajoy
30/32

転30 〈邪神〉だけど、「ざまあwww」からの「ひょげぇぇぇ!?」。

【本編では語られない背景設定】〈魔法少女連盟〉と〈聖導庁〉は、昔、仲が悪かったゾ!

「はじめまして、大師父グランド・エルダーコンスタティン。ご高名は、かねがね。

わたしは、この街を守護する〈魔法少女〉、苑草日明香と申します」


エストさんとおじいちゃんが空を飛んでやってきたのを確認して、

すぐにゆりちゃんをともない、こちらにやってきたのであろう。

ヒメカが、おじいちゃんに向かい、うやうやしく頭を下げた。


傍らにいるゆりちゃんも、成り行きわからぬ様子ながら、

ヒメカを見習って、ペコリと頭を下げている。


「あっ、ま、〈魔法少女〉見習いの、潮あゆらです!」


慌てて、私も、おじいちゃんに名乗って、お辞儀した。


心の中は、戦々恐々、ホーホケキョ。(やや錯乱中)

……やっべぇ~! 〈総統司教グランド・ビショップ〉って、どういうことだよ、

聞いてないよ!(当たり前)


改めて、おじいちゃんの格好を見ると、宮内と同じような、

白い法衣を着ていた。

ただ、その縁淵ふちぶちは、重厚そうな金糸であしらわれており、

くらいの高さを物語る、上等そうな服飾に見える。


その姿に、私は、一休宗純和尚(おしょう)の、有名な説話を思い出していた。


その昔、“一休さん”で知られる、一休宗純和尚が、ボロボロの僧服で

葬式に念仏を唱えに行ったら追い返され、立派な僧服で入場し直したら

盛大に歓迎された、っていうお話。

なお、一休宗純和尚は、そこに立派な僧服を投げこんで、

『ソイツに念仏唱えさせれば?』と皮肉ったモヨウ。


────私の気分としましては、今、まさに、一休和尚を追い返して

しまった連中側ジャマイカ?(あせり


あるいは、それとは知らず、面接先の社長にイキイキにイキって

しまった就活生の気分である。

そんなまさかさあ、〈聖導庁〉なんてとこの、スゴい偉いおじいちゃんが、

夜中に郊外の道路をフラフラ彷徨さまよってるとか、想像もしないでしょ!?


ああ~! 昨日、雑に交番にリリースとか、するんじゃなかった~っ!


「あ~、いいのよ、いいのよ。そういう堅苦しいの、わしゃ、

かんの。もっと、気楽にしたんさい。わしのことは、

トムじい、って呼んでおくれな」


私の内心の浮き足立ちっぷりを、フォローしてくれるかのごとく、

おじいちゃん……〈総統司教グランド・ビショップ〉は、ざっくばらんな調子で、

笑ってみせる。


いやいや、いくらなんでも“トム爺”呼びはできないだろ。

親戚か!、ってハナシよ。


「それは───畏れ多いことでございます」


私の思ってたことを、ヒメカが、丁寧に代弁してくれた。


「気にしない、気にしない。オフィシャルな場所だったら、

それなりの言葉遣いをしてもらわんと、困るけどもね~。

今は、そういうの、いいから。わしを助けると思って、

気軽に話してちょうだいよ~」


「その……お心(づか)い、痛み入ります」


ヒメカは、曖昧に笑ってみせて、エストさんに目を向ける。

『ちょっと、どういう流れでこうなってるの、あなた、

ちゃんと説明なさい……!』

という、無言の圧のこもった視線であった。


視線を受けたエストさんは、いたずらっぽい笑みで返してくる。


大師父グランド・エルダーは、この通り、公的な場以外では、くだけた話し方を

好まれる。私のような、同じ〈聖導庁〉の人間が、緩い口の利き方を

するわけにはいかないが、君たちのような、孫ほど齢の離れた子供なら、

問題視はされまい。ご近所の、親しいお年寄りに接する気持ちで、

話をしてくれたまえ」


いや、『くれたまえ』、って言われてもさ……。

そう簡単に、

『はい、わかりました! ンじゃ、4946(シクヨロ)! トム爺!』

なんてノリになれるわけないじゃん!?


ヒメカと目を合わせてみるけれど、ヒメカも、なんと話を

切り出したものか、戸惑っている様子だ。

……しゃーない! ここは、昨日、会話を交わした経験のある、

私が矢面やおもてに立とう!


いや、嘘、ウソ~ん☆ 本音は、昨日の夜に、雑に念動運搬して、

交番にほっぽっていったこと、怒ってないか、遠回しにさぐりいれときたい

だけですしおすし。

それに、そもそも、トム爺ちゃんがこの場に、なんの目的で

やって来ているのか、そこも気になった。


「───じゃあ、あの、おじいちゃん、昨日のことなんだけど……」


さすがにいきなり、“トム爺”呼びする気にはなれなかったので、

エストさんが言ったように、近所のおじいちゃんへ話しかける風で、

昨夜の一件に触れようとする。


「おう、そうそう、昨日の晩は、世話になったねぇ~。そのことについて、

話をするために来たんさね。……その前に、野暮用を済まさんと

いかんのだわ。ちっと、失礼」


ほがらかに、うんうんと、トム爺ちゃんは私にうなずいてみせたあと、

エストさんへ目配せした。


すると、エストさんは、私から地面に叩きつけられ、

のびてしまったままの宮内へ、右手を向ける。

直後、宮内の全身が、あたたかそうな、オレンジ色の光に包まれた。


〈回復〉の魔法のようである。

エストさんは、〈聖導庁〉の〈司教〉だけあって、治癒係ヒーラーとしての魔法を、

ちゃんと抑えてるんだな、などとゲーマーな感心をしてしまう私であった。


「………うぅ……く、くそ……こざかしい、〈魔法少女〉の

ガキどもが──────」


どうやら意識が戻り、体のダメージも回復したらしい宮内。

あいもかわらず、私たちを見下し、罵る言葉を吐きながら、

ヨロヨロと立ち上がってくる。


「!────メレー司祭! と、あ、あ、貴方様は!? グ、大師父グランド・エルダー!?

な、なぜこちらに!?」


宮内は、エストさんの姿を目にし、遅れて、トム爺ちゃんの存在を

認めると、驚愕に、大きく目を見開かせた。


まあ、そうなるわな。(某有名男性声優の抑揚で)

気絶して目を覚ませば、超偉い上司が目の前にいるとか、

ビックリどころのハナシじゃなかろう。


ましてや、幼女を拉致ろうとしている、後ろめたさ満点の所行、

その真っ最中のことだ。

ぎっひっひ、ざまあないぜ!


「あ~、なんていったかね、おまえさん……あ、そうそう、

宮内益士。あんた、現時刻をもって、〈聖導庁〉、破門ね」


トム爺ちゃんは、宮内に向けて、サラッと言い放った。

私に、自分が〈総統司教グランド・ビショップ〉である告げてきた時と

同じように、サラッと。


「……………は?」


「うん? 聞こえなかったんかい? 破門よ、破門。〈聖導庁〉から、

破門する、って言うとるの」


呆然と声をもらす宮内に、やはり、軽い調子で、重要な単語を

繰り返し、言い放つトム爺ちゃん。


破門。

一般的な知識からしてもわかる、宗教関係者にとって、非常に重い、

というか、死を意味するも同然の措置。


「────な、なぜですか!? わ、私ほど、〈神〉の御心に

忠実な使徒も、いないというのに……!?」


うぷぷ、寝言言ってらあ!

どの口がほざいてんのよ、ってカンジである。


いやでもコレ、心底本気(マジ)で言ってるっぽいのが、

コワいというか、滑稽こっけいというか。

行き過ぎた信仰心は、狂気で、凶器になりかねない、ハッキリわかんだね。


「ほ。正気で訊いとるんかい、そりゃ? まあ~、まともな神経じゃ

やらんような犯罪に手を染めとれば、正気を失っとっても、無理はないがね」


呆れたように、トム爺ちゃんは、軽く首を横に振った。


それを見たエストさんが、おもむろに、どこからか、

一本の巻物を取りだしてくる。

サッ、と巻物(西洋風らしく、縦開きだ)を翻して開帳し、

その内容を、音読しはじめた。


「『〈破門状〉────〈聖導庁〉日本支部〈司教〉・宮内益士。の者が、

聖遺物の隠匿いんとく、並びにこれの私的濫用、また、〈司教〉の地位・職権を

濫用らんようし、〈聖導庁〉日本支部の研究施設及び人員を私的に用い、人道を

外れた数々の不法行為を行いたる事、はなはなだ許しがたし。

、〈聖導庁〉第88代目〈巫女教皇ハイエロファンテス

マリグレーテ・マルターニャ・ダルタニアスの名のもとに、

の者を破門とする』……他に、細かな罪状もしっかりと記されて

いるが、読み上げるまでもないな? 宮内殿」


時代劇のお裁きさながらに、朗々と、〈破門状〉なるものを

読み上げたあと、エストさんは、巻物の書面を、ビシッ!と

宮内へと見せつける。


それを聞き終えた宮内は、言葉にならない呻き声を上げたかと思うと、

膝から地面に崩れ落ちた。

さらに、両手まで地面について、頭を垂れ、“失意体前屈しついたいぜんくつ”状態になって、

動かなくなる。


ブwwwフwwwハwww草生えるwwwwww!

ざまあ味噌汁☆沢庵ポリポリ☆卵の黄身はイイ気味だわwwwwww☆


宮内の、凄まじいまでの“ざまあ”され具合に、

お腹を抱えて笑い転げたいところ♪

けどまあ、そういう状況ではないので、夜●月ばりに

『だ……駄目だ……まだ笑うな。こらえるんだ……。し……しかし……』

って我慢しておく私である。


「………エスト。そんなものがあったのなら、最初から、

出しておいてほしかったのだけれど?」


ヒメカが、責め立てるような声で、エストさんをジロリとねめつけた。

トム爺ちゃんの前だというのに、エストさんへの当たりのキツさは、

隠す気がないようである。


糾弾の眼差しを向けられたエストさんは、どこ吹く風といった調子で、

軽く肩をすくめてみせた。


「最初から、と言われても、私も、ないものは提示できないからな。

申し訳ないが、この〈破門状〉が届いたのは、本当に、つい先ほどの

ことだったのだよ。日本支部捜査班の職員たちが、懸命になって

積み重ねた確実な証拠と、確保した物証、それらを密かに〈聖導庁〉本部に

提出し続けてきて、ようやく得た〈破門状〉なのだ。そこをんで、

タイミングが、ギリギリセーフとなってしまったのは、容赦してほしい」


う~ん? セーフ? セーフかなあ?

私が〈邪神〉パワーで宮内を凹凹(ボコボコ)にしたあとの提示だから、

普通に間に合わなかった、ギリギリアウトな気がするけど。


それに、お昼には、『決定的な証拠がない』とか言ってなかったけ、このひと?

いーかげんだなあ~……。


ま、なんにせよ、その〈破門状〉で、宮内の破滅ルート直行が

確定したようだから、私的には、どっちでもいいかな!


「日明香お嬢ちゃん、あまりエストくんを責めんでやっておくれな。

これでも彼女、日々、激務をこなしておるよって。わしの急な来訪の

対応とかも、やってくれておるんでね」


ギスギスの雰囲気をかき消すように、トム爺ちゃんが、

ヒメカをなだめてくる。


「────左様でございますか」


総統司教グランド・ビショップ〉であるトム爺ちゃんに

そう言われては、ヒメカも、エストさんへの当たりを

収める他ないようであった。


……でも、その目は、『激務? コレが? 嘘でしょ?』

ってゆ~よーな、疑惑の目である。

うん、私も、エストさんに会ったのは今日が初めてだけど、

ヒメカがそういう気持ちになるのは、同感だ。


だってさー、エストさん、持ち前の美貌と、口手八丁で、

仕事を他人ひとにやらせてるイメージがあるもの。

スケジュール管理に秀でていて、指揮官として有能、

というのはあるのかもだけど。


エストさんが、自分の足でせわしなく動いて、

仕事を消化している姿というのは、想像しにくいんだよなあ……。


私の勝手な感想と、ヒメカの疑惑の目に気づいているのか、いないのか。

エストさんは、涼しい顔で、トム爺ちゃんに、話をうながしてきた。


大師父グランド・エルダー、私の評価はありがたいのですが、あゆらくんに、

本題をお話しされませんと」


「あ、そ~そ~。そっちのが、本日の目玉なのよね。わしが、遠くから、

はるばる日本にかっ飛んできた、理由でもあるのよ」


トム爺ちゃんは、なんか、『特急電車でちょっと急いで来た』みたいな

軽いノリで、話を切り出しはじめる。

犯罪者の処分とはいえ、破門という最大級の重罰を下したあととは

思えぬほど、軽快な空気感だ。


あと、昨日も思ったけど、本当に日本語流暢だな!

トム爺ちゃんの喋り方、落語家の師匠クラスっぽい、

抑揚の絶妙さを感じちゃうぜ。


「今しがた、エストくんの読み上げた〈破門状〉に、

“マリグレーテ・マルターニャ・ダルタニアス”ってひとの

お名前が出てきたの、聞いとったろ? そのひとが誰か、ってぇ~とね、

まー、〈聖導庁〉で、いっとう偉い御方なのね。わしより偉くてねぇ~、

時に無茶ぶりしてきたりするから、そこんとこ、ちょっと困ること、

あったりするんだよねぇ~」


最後らへん、ちょっと愚痴っぽくなってない?

そう思ったけれど、まさかそんな細かいツッコミを入れるわけにもいかず、

神妙な顔をして聞いておく私。


しかし、トム爺ちゃんより、偉いひとか。


巫女教皇ハイエロファンテス〉────う~ん、一応、〈邪神〉知識により、

知ってはいるけど……。

当然ながら、現代の情報にアップデートされていないので、

〈聖導庁〉で一番偉い、ということ以外は、わからない。


でも、魔法とか異能とかで、戦闘能力が人外的に高いヒトでしょ、絶対。

〈邪神〉の転生体である私には、天敵に当たる立ち位置だし。


よし! 敵に回すような真似は、しないようにして、

私が〈邪神〉の転生体なこと、秘密にしとかなきゃな!

………………って、ああ~っっっ!?!?!?


『────私は、通りすがりの〈邪神〉だよ。ちょっと、

本体おや交信でんわしようと思ってたトコに、

おじいちゃんを見つけたんだ』


『〈邪神〉………』


昨日の夜、自分から白状ゲロちゃってるじゃんっっっ!?!?!?

私のバカ────────────!!!!!!!


「そんでねぇ~、今回もまた、その無茶ぶりでのことなんだよねぇ、

これが。普通に夕食を取っとる時に、突然、呼び出されてねぇ~。

『あなた、今すぐ、日本の■■県九頭竜市に行って頂戴ちょうだい』と、

こうきたものね! 本当、寝耳に水よ! そん時ゃ、起きとったがね!」


背に嫌な汗かいて、動揺しまくりの私をよそに、トム爺ちゃんは、

軽妙に話を続けていく。

そして、ニッコリと、こう言ってきた。


「それから続けて、マリグレーテ様は、こうおっしゃったわけ────

『あなたはそこで、〈邪神〉を名乗る、潮あゆらという少女に会うでしょう』

……うん、実際、会えたわなァ、あゆらお嬢ちゃん」


ひょげぇぇぇぇぇぇぇっっっっっ!?!?!?!?!?

最初から名前まで完全にバレてたっっっっっ!?!?!?!?!?

“ハイエロファンテス”って単語はどの言語にも存在しないです。

……でも“ハイエロファント”って響きがカッコイイんで、その女性版、

ほしかったんだ……(^∀^;)

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