転24 〈邪神〉だけど、作戦前に心のエネルギー補給。
3話くらいイチャ♡イチャ♡させらんなかったんで、そーゆー回です///
───────夕食を済ませたあと、ゆりちゃんにはひとりだけ、
デザートタイムを取ってもらう。
私とヒメカは、その間に、別室で、港までの移動について
話し合うことに。
話し合う、と言っても、結論が出るのは早かった。
港までは、空を飛んで移動する。
超常的かつ、シンプルな計画で、決定だ。
ゆりちゃんという、幼女を連れたJKふたり組が、
深夜前の街を歩くのは、人の目につく。
タクシーを使えば、同じ理由で、目立つ乗車記録になることは、
容易に想像できた。
どこに〈聖導庁〉の過激派、宮内司教らの目が光っているか、
わからない。
ヒメカの家の車を回せないか、と、半分冗談で言ってみた
(お金持ちなら、使用人が運転する高級車とか持ってるん
じゃないかなあ~、くらいのノリだった)けれど。
それだと、どのみちホテルの玄関や駐車場で、私たちの姿を衆目に
晒してしまうので、そのリスクを負うよりは、もういっそ、ホテルの
屋上から飛んで行こう、と、ヒメカは提案してきたのだった。
あっ、ヒメカも魔法で飛べるのか、と、今更ながら、認識した次第の私。
そりゃそうだよね、〈魔法少女〉って言ったら、
空を飛べるのがデフォでしたわ。
そう思ったあと、ふと、ひとつ、疑問を思い出す。
「そういえば、ヒメカ。昨日の夜、どうやって空を飛んでる
私の写真を撮ったの? ってゆーか、そもそもあの時の私、
〈不可視〉の魔法で、他のひとからは、見えなくなってたはずなんだけど」
「ああ、あれはね、まず最初に、街の空を哨戒させてる使い魔の、
音波探知に反応があったの。人間大の大きさだったから、よその
魔導師の活動とか、〈禍威魔〉の出現を警戒して、
魔力探知に切り替えたけれど、反応はなくって。それで音波探知を
基に、いろんな撮影方法で、使い魔に撮影させたら、
デジタル〈念写〉で、あゆちゃんの姿を捉えることが
できたんだ。……朝も言ったけど、画像を見た時、本当に
驚いたんだからね?」
「あ、うん、それは、朝も謝ったような気がするけど、ホントごめん」
“デジタル〈念写〉”、そういうのもあるのか!
〈邪神〉知識を以てしてもの、初耳パワー・ワードに
軽く驚きつつ、ヒメカに苦笑いでメンゴ。
そんな私を見て、ヒメカも、ふふっ、と微笑ってくれた。
「─────でも、そのことがきっかけで、あゆちゃんの秘密、
早く知ることができたし、ゆりちゃんも助けることができたし……。
必然的だった、っていうか……これも朝に言ったけど、
やっぱり〈運命〉なのかもね」
「そうかも……ヒメカが、〈魔法少女〉だって私が知るのも、
もっと、ずっとあとのことだったのかもしれないんだよね────」
それが、私が〈邪神〉覚醒した翌日に知るとか。
〈運命〉の女神がいるとしたら、慌てん坊に違いないな!
などと脳内で、コ●ラっぽく、ドヤッってしまうんだぜ。
………いや、でも真面目な話、昨日から今日にかけて、私の日常に、
非日常イベント発生しすぎィ!
いじめを発端に、〈邪神〉覚醒、ヒメカとの本当の再会、
〈邪神〉本体との対話、ヒメカに〈邪神〉バレ、
ヒメカの〈魔法少女〉カミングアウト、〈予知夢〉異能少女を
めぐって〈聖導庁〉過激派と攻防。
いくら〈運命〉でも、もうちょっとこう───手心というかな………。
“痛く”なければ人間は覚えない、っつっても、
モノには限度ってもんがあるんだよォっ!?
私に〈邪神〉パワーがあるとはいえ、イベント発生率過密すぎワロタ。
────待てよ……〈邪神〉パワーがあるから、イベント発生率が
高くなってるとかじゃ、ないよね……?
『あゆらちゃんは、ワイの分霊体やからな。〈神〉として〈覚醒〉
してしもうたら、〈敵〉のあゆらちゃんに向けられる目線が、
人間に対するもんから、〈神〉関係に対するもんに、切り替わってまう。
これはもう、どうしても避けられんことや』
ふと、ママが言ってた言葉が、思い出された。
………………〈運命〉そのものが、私に向ける“目線”を、人間向けのから
〈神〉向けのものに、切り替えた、とか────────。
ゾッ、と、全身うすら寒くなってしまうことを、想像してしまった。
“〈運命〉HARDモード突入”、そんな嫌なフレーズも思い浮かべてしまう。
────────────────けど、まあ、いっか。
いろいろと暗い考えが頭によぎったけれども、そばにいるヒメカを見て、
そう軽く吹っ切れる。
そんな私の様子を怪訝に思ったのか、ヒメカが、
じっとこちらを見つめてきた。
「あゆちゃん? どうかした?」
「……ううん。ヒメカは、どんな時もかわいいなあ、って、思ってただけ」
私がそう答えると、ヒメカは頬を紅く染めて、私に軽く、
拳で小突いてくる。
「もうっ。あゆちゃん、真面目な話してる時に、変なこと
言わないでっ……」
けれど、そう言うヒメカの表情は、嬉しそうだ。
「変なことじゃないよ。私のお嫁さんが、こんなにかわいくていいのか、
自分の幸運と〈運命〉について脳内会議起こしそうなくらい、
真剣なことだよ」
「も、もぉ~、あゆちゃんったら………」
私の言葉に、なお顔を赤くして、もじもじと恥ずかしがるヒメカ。
かわいい。(端的)
いやしかし、私の発言は、ヒメカの照れ恥ずかしがる姿を
堪能したいがために言ったわけではなく、ただ単に、本音を
もらしてしまっただけである。
ヒメカとずっと一緒にいられるのなら、それと引き換えに
“〈運命〉HARDモード突入”するのもしょうがない。
むしろ『は? こんな天使なコと結婚できるのに、その程度の
代償でいいんスかwww』って、煽っちゃうまであるね。
………いや、ゴメン、嘘。
いやいや、嘘とゆーか、あんまりHARDな〈運命〉を
突きつけられても、泣いちゃうからさあ。
当方、昨日まで、フツーの陰キャオタク女子だったわけですし?
そのへんを、〈運命〉さんには考慮していただきたいですわ。
と、我ながら、強気なんだか、弱気なんだか、よくわからない思考を
ごちゃつかせてると、不意に、思い至った。
ああ、そうか、〈聖導庁〉の過激派みたいな手合いが、〈予知夢〉を
求める理由のは、こういう不安と葛藤から、くるのではないか、と。
どんなに強い意志を持って生きていても、予想できない明日への恐れを、
完全に消し去ることは、不可能なのだから。
もしも、我が身が破滅するような〈運命〉が、未来に立ち塞がると
知れたなら、それは、確かに大きな助けになるかもしれない。
そこで思い出すのは、また、“カッサンドラの悲劇”。
─────待ち受ける破滅の未来を知り、人々に言葉を尽くしても
信じてもらえない絶望。
刻々と迫る〈運命〉に、カッサンドラの心は、どれほど
恐怖で擦り減っただろう。
その結末は、彼女自身と祖国の破滅。
いっそ〈未来予知〉の〈力〉などなければ、よかったのか、どうなのか。
〈運命〉は既に決まっており、覆らないという、
無情で無常な戒めにしては、酷すぎるお話。
そんな〈運命〉観と、私とヒメカが出会った〈運命〉を、想う。
〈邪神〉の転生体である私と、〈魔法少女〉であるヒメカとの、
幼い日の出会い。
超常的な存在であるふたりが出会って、恋に落ちて、
現在に至る……………。
私の本体であるクトゥルフは、この〈運命〉を、知っていたのだろうか?
知っていたから、分霊体を、
人間に転生させた──────────?
そんなの、本末転倒になる。
〈運命〉という、〈答〉を知っていたのなら、
わざわざ分霊体を転生させる必要はない……こともない、のか?
ヒメカが言っていた、“観測することで、確定する未来”の
話を思い出す。
人間に転生させた分霊体《私》を、“観測”することで、
視えてくる〈運命〉が、あるとしたら……?
………“卵が先か、鶏が先か”みたいな話になってきたな。
いや、そもそも、クトゥルフは、〈未来予知〉できるのか?
〈神〉だし、使えて当然─────?
しかし、〈未来予知〉が使えたなら、〈旧神〉に敗北し、
封印されるようなことはなかったはず……。
それとも、〈未来予知〉で敗北する未来を知っていても、
“カッサンドラの悲劇”のように、〈運命〉を変えることはできなかったとか?
分霊体である私には、〈邪神〉知識はあっても、そのあたりの
記憶が全然残っていないので、はっきりとした答を得ることはできない。
でも、ただひとつ。
私、潮あゆらの胸の内には、明確な〈答〉がある。
「ヒメカ」
名を呼んで、私は、ヒメカの体を、正面から抱きしめた。
────身長差のせいで、抱きついた格好に見えるかもだけど。
とにかく、ぎゅっと、静かに、抱きしめた。
「あ、あゆちゃん……?」
突然の私のハグに、ヒメカが、戸惑った声を出す。
「……ヒメカ────好きだよ。〈運命〉でもなんでも、
ヒメカに出会えて、私、本当に幸せ……好き。大好き」
クトゥルフの思惑が、本当は、どんなものだったのかは、
わからない。
でも、私は、人間に転生させてくれて、本当に良かったと思っている。
ヒメカと、出会えたから。
いまだ知れぬ明日、どんなことが起ころうとも、私はずっと、
ヒメカと一緒に在り続けたい。
それが、私、潮あゆらの、明確な〈答〉だ。
唐突にも思える、私の〈答〉の告白を聞いて、ヒメカが、
強く抱きしめ返してきてくれる。
「うん────わたしも、大好きだよ、あゆちゃん………」
「ヒメカ────」
それから、私たちは、口づけを交わした。
お互いの〈答〉が同じであることを、確かめるように、
強く、優しく。
………昨日といい今日といい、キスしすぎだろ!、と、
我ながら、思わないでもないけれど。
したいから、しょうがないの! 好きだから、
仕方がないの!(誰への言い訳だ)
思うさま、滅茶苦茶にキスして、このままベッドにヒメカを
押し倒したい────────。
そんな欲求を、なんとか我慢したあと、抱擁をわずかに緩めて、
唇を離す。
ふたりして熱い吐息をもらし、互いに、しばし、見つめ合った。
「────ゆりちゃんが大変な時に、キス、しすぎかな」
今の状況を鑑みつつ、キスの最中に思ってたことを、口にしてしまう私。
「ちょっと、罪悪感、感じちゃうね」
「……でも、今は、休憩時間、ってことで───ほら、
心のエネルギーを、補給しなきゃだから」
私の言い訳めいた戯言に、ヒメカが軽く噴き出す。
「心の癒し、的な?」
「そうそう。不愉快な連中との会話で、ヒメカも心のエネルギー、
無駄に使っちゃったでしょ? だから、補給しなきゃ」
「そうだね……あゆちゃんは、心のエネルギー、もう、
満タンになった……?」
ヒメカが、悪戯っぽく笑って、私の瞳を覗きこんできた。
ちょっとー、可愛いお嫁さんにさあー、そんなさあー、
小悪魔スマイル向けられたらさあー……。
おかしくなっちゃうでしょ!? 本能的な意味で!
「う、う~ん、満タンになったけど、念のために、
もっと欲しいトコかなあ~?」
「もっと、って、どれくらい?」
ほんのり意地悪風味に問いかけつつ、ヒメカは、私に顔を近づけてくる。
「………ヒメカの舌の味が、私の口の中いっぱいに残るくらい、かな」
フェチをこじらせたような、私の返答を聞いて、ヒメカは一瞬、
軽く目を見開いたあと、いっそう頬を紅潮させた。
それから、困ったような笑顔で、抗議してくる。
「────あゆちゃん、それ、セクハラっぽい」
「あ、や……ごめん────でも、その、ヒメカにだけ、
だから、ね……?」
ヒメカの抗議に、ちょい焦り気味になって、弁明だかなんだか
わからないことを、口走る私。
「んっ────」
直後、ヒメカから、唇をふさがれた。
今度のキスは、より情熱的に求められるような、激しさを感じる。
……なら、それに応えなきゃ、漢がすたるよね!
心のドリル(意味深)を、ドリドリとスピンさせて、
ヒメカの求めに応じる私。
ヒメカを抱きしめる私の手が、あちこち移動しちゃっても、
これは仕方がないことなのだ。
ヒメカの舌の味を、より感じなくちゃいけないのだから!
合法!(←?)
────そんな調子で、しばしヒメカの唇と舌を堪能したあと、
名残惜しくも、キスを終える。
「………………ゆりちゃんを送り届けたら、“お泊まり”するんだよね」
「うん───────」
熱い息を吐きながら私が確認すると、ヒメカは、コクリとうなずいた。
「……一緒に、寝ていい?」
「─────うん」
……ここで言う、“一緒に寝ていい”とは、
“寝床を共にしていい”ということである。
“寝床を共にしていい”ということである!
大切なことなので、二回言いました!
わっふぅぅぅぅっっっっっっ!!!
盛↑り↑上↑がっ↑て↑き↑た↑!!!
テンション爆上がりの私の勢いは、とどまることを知らないので、
調子に乗ってみる。
「上の階に、泊まるの?」
「うん……せっかくだから、一番いいお部屋がいいかな、
って思ったけど。この部屋のほうがよかった?」
「いや、上の階で全然いいよ。───お風呂場も、
すっごい綺麗で、広かったし……」
そこまで言って、ヒメカに、上目遣いなどしてみた。
「あのお風呂に、ヒメカと一緒に入りたいな」
「えっ!?」
「────ダメ……?」
上目遣いに、プラス、おねだりトーンで、ヒメカの目をじっと見つめる。
「ダメ、じゃ、ない、よ……?」
お顔を真っ赤っかにして、ヒメカは、肯定的なご返答をしてくれた。
……だが、まだだ! まだ終わらんよ……!
「それでさ。ゆりちゃんを、無事に送り届けたら、お風呂で、
ヒメカからのごほうび、欲しいな─────」
「え───ご、ごほうび、って……?」
「それは……ヒメカが、考えて?───キス、以外で」
「キ、キス以外で……?」
私のさらなるおねだりを聞いて、ヒメカは耳まで真っ赤になる。
「それか、ヒメカが、私にしたいこと、して? たぶん、
それが、私のごほうびにもなるから」
「あ、あゆちゃん───なんだか本当に、セクハラ、してない……?」
ぐへへ、バレたか! でも九割九分は、本気ですとも────!
「……そんなんじゃないよ。でも、ごめんね。昨日の今日で、
急すぎたかも───。だって、十年も、ヒメカに会えなかったから、
気持ちの抑え効かせるの、いっぱいいっぱいに
なっちゃってるんだもん……許して、ヒメカ」
一部分、嘘をつきつつも、本音を吐露した。
そう、もう、ヒメカへの“好き”アクセルは全開ですから!
ブレーキ効果もギリギリよ!?
具体的には、生やせるようになったアレを、
ヒメカにアレしたいくらいなんだからね!?
フンスカフンスカ!(獣欲の呼吸)
「それは、わたしも同じ気持ちだから、許すも許さないもないけど……」
またしても、顔を赤くして、もじもじとするヒメカ。
「じゃあ、ごほうび、してくれる?」
「も、もぅ……」
赤面したヒメカは、しつこくおねだりする私の耳元に、唇を寄せてくる。
「────あゆちゃんの、エッチ……」
そう囁いたあと、ヒメカは、三度目のキスをしてきた。
あれー? 私コレ、もう、ごほうびもらってるかもしれないなあ~?
ゆりちゃんを無事に送り届ける話し合いしていたはずが、
どうしてこうなった。(すっとぼけ)
途中まで、〈予知夢〉と〈運命〉とかのことも、マジメに
考えてたような気がするけども……まあよし!
とりあえず今は、心のエネルギーを補給することに、
専念しとこう─────っと。
「いいね」と評価ポイント、本当にありがとうございます~♪(≧∀≦)
もっとイチャ♡イチャ♡させていきますのでよろしくです~♡




