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邪神転生ガール  作者: megajoy
23/32

転23 〈邪神〉だけど、「すり替えておいたのさ!」。

あゆらちゃんが「引き渡す」と言っていた、衝撃の真相!(バレバレ)

で、そのあとの宮内司教らとの接見は、結局、三十分もかからなかった。


結論で言えば、エストさんの提案(私の発案だけど)どおり、

宮内司教(おまえ)は信用ならんから、同じ〈聖導庁〉司教であるエスト()

預かる。すっこんどれィ』という形で落ち着くことに。

宮内司教側としては、正式な書類(偽造)で警察を巻き込んだことが、

裏目に出た結果である。


ぎっひっひっ、マジざまあなんですけど~!


もっとゴネにゴネて、ゆりちゃんの“保護”を、強引に主張してくるかと

思ったけど、それはナシ。

草薙さんたち、警察の目があったから、下手な強硬手段に出れば、

なにかしらの疑いを持たれると、警戒したのかもしれない。


まあ、どんな手を使ってこようとも、安全策を取ってるから、平気だけど。


宮内司教たちには、氷漬けにしてバス・ルームに転がしていた襲撃犯たちを

回収させ、お引き取りいただいた。

その時の宮内司教の、苦虫潰したような顔が、

これまたざまあ!ってカンジ。(性格悪)


そして、肝心の、ゆりちゃん´は、現在、エストさんと共に、

警察署近くにある〈聖導庁〉管理のオフィスビルの一室へと、移動していた。

これまた高級ホテルのスィート・ルームみたいな部屋で、

庶民の私としては、本日何度目かの、カルチャー・ショックである。


「夕ご飯は、もう少ししたら用意しよう。それまで、テレビでも見て、

ゆっくりしていなさい」


「はい」


微笑して告げてくるエストさんに、簡潔に答えさせて、ゆりちゃん´を、

部屋のソファに座らせた。

そして、リモコンで、部屋に備えつけられたテレビの電源を入れ、

幼女が好きそうなチャンネルを探していく。


「では、またのちほど。あとのことは気にせず、思うがまま、

好きなようにしてくれて結構だ」


エストさんは、こちらに、見惚れてしまうようなウインクを

送ってきたあと、退室していった。


……後半の台詞は、私、潮あゆらに向けられたものだろう。


ゆりちゃん´(ダッシュ)を、ソファの背もたれに体を預けさせ、目を閉じさせた。

───────そうして、ゆりちゃんの偽物ダミー、〈水幻影身アクア・ミラージュ〉との同期リンクを切る。


目を開けると、軽い目眩めまいがした。

そのあとに、視界が、私のものに戻ってくる。


ホテルのペントハウス直下にある部屋、そのベッド・ルーム。

私はこの数時間、そこのリクライニング・チェアに座ったままの状態で、

ずっと、ゆりちゃんの偽物ダミーを操作し続けていたのであった。


これが、私たちの安全策。

『形だけ〈聖導庁〉に引き渡したと思った?

残念! すり替えておいたのさ!』作戦である。(※作戦名は私の心の中でだけ)


こうして時間を稼いで、ゆりちゃんを安全な場所に避難させると同時に、

エストさんの部下の手で、ゆりちゃんのご両親を保護する、って寸法だ。

エストさんいわく、ご両親のお名前は、例の書類に住所と一緒にしっかり

書かれていたことから、すぐに保護可能であろうとのこと。


向こうにしてみれば、自分らがでっち上げた偽書類のせいで、墓穴を掘った形。

ぐっふっふぅ~、ウマくいったぜ、ご飯がウマい!

いや、夕ご飯はまだだけど!


作戦が思い通りに運んだので、上機嫌になってしまう私。

鼻歌でも歌っちゃいそうな気分で、リビング・ルームに向かうと、

そこではゆりちゃんが、ヒメカと一緒にテレビを見ていた。


「あゆらおねえちゃん! おしごと、おわったの? ゆりねえ、

いわれたとおり、ひとりでずっとテレビみてたよ! いまは、

ひめかおねえちゃんといっしょだけど!」


「そっか~、ゆりちゃんは、いい子だねえ~……!」


ほがらかに報告してきたゆりちゃんの頭を、優しく撫でる。


本物のゆりちゃんは、ヒメカらと宮内司教たちが火花散らしてる間、

一階下のこの部屋で、呑気にテレビを楽しんでいたのであった。

もちろん、ゆりちゃんの服に取り付けられていた発信器は、

偽物ダミーである〈水幻影身アクア・ミラージュ〉に付け替えてますしおすし。


「うまくいったね、あゆちゃん」


ヒメカは弾んだ声で、笑顔を浮かべてくる。


「〈司教〉、っていうくらいだから、なんか魔力で看破かんぱする的な

スキル持ってるかも、って、ちょっとドキドキしてたけど。全然、

余裕だったね。バレてそうな気配、しなかったし」


笑いながらそうヒメカにうなずいて、ゆりちゃんの隣に座った。


「あゆちゃんの作った〈魔法人形ピグマリオン〉が凄いもの! あれだけ本物そっくりで、

遠隔操作もできるのに、感じる魔力量は低い、って、普通じゃ

ありえないことなんだから!」


と、ヒメカは、少し興奮気味に、私の〈水幻影身アクア・ミラージュ〉のことを評してくる。


うっふ、私、またなんかやっちゃいました?

なんちゃって、内心で、チートキャラ気取っちゃう私なんだぜ。


いやしかし、実際にゆりちゃん(偽)を作って見せた時、

エストさんもメッチャ驚いてたしなあ。

我が〈邪神〉パワーながら、本当にチート級らしい。


「あらかじめ高度な〈識別〉や〈感知〉の魔法を使ってないと、

あれを〈魔法人形ピグマリオン〉だなんて見抜くのは、無理だと思う。

私でも、言われないと───ううん、言われてても、気づけないかもしれない」


「そっか。ヒメカのお墨付きなら、大丈夫かな。このままゆりちゃんを、

無事に脱出させられそうだね」


〈魔法少女〉のヒメカがそこまで言うのなら、“保護”されたゆりちゃんが、

偽物ダミーだと、すぐに見破られる心配はなさそうだ。


エストさんと話し合った計画では、夜を待って、午後十一時に、

港の貨物船区画でエストさんの部下のひとたちと合流。

そのまま、ゆりちゃんを預ける手筈になっている。


そこからゆりちゃんには、船を乗り継いで、ひとまず沖縄へ落ち延びてもらい、

しかるのちに救出したゆりちゃんのご両親に引き合わせる……という流れ。


私も一緒に付いていきたい、と主張したけれど、ヒメカとエストさんから、

頑として拒否された。

いかに私がチートで強かろうと、未成年であるし、私の家族を

心配させるような行動は、容認できない、とのこと。


────まあ、ごもっとも。

昨日まで、ただの陰キャオタク女子だったのに、数日間家族に無断で

沖縄に行くとか、フツーに警察沙汰になってしまう。


家族に連絡すればいいかというと、そういう問題じゃなく、

そもそも一般人には説明不可能な事態だしね。


しかし、それでも、私の気が済まないので、せめて港までは、

ゆりちゃんの護衛として付いていくことを、頼み込んだ。

ヒメカは、それにも難色を示したけれど……。


『港までの護衛ならば、構わないのではないかな? あゆらくんの

ご家族には、“急遽、お泊まり会をすることになった”と言えば、

無用の心配はかけないで済むだろう?』


『……! “お泊まり”───! あゆちゃんと一緒に、“お泊まり”……!』


エストさんの案に、速攻でヒメカが喰いつき、一転して、

港までの護衛許可が下りたのであった。


ヒメカの急なテンションUPに、ちょっとビックリである。

友達同士でお泊まり会とか、したことなかったのかな?


『えっと、突然、わたしの家にひとを泊める、ってなったら、家の者が

うるさいかもしれないから、この部屋にお泊まりでいい? あゆちゃん』


もじもじと、頬を紅く染めて、上目遣いでそう言ってきたヒメカの提案を、

私が断れるだろうか?

いや、断れるワケないね!

ヒメカと! ホテルで! 一緒のベッドで! お泊まり!


私のLOVEがWARでギラギラ☆燃えてしまいたい~♪♪♪(錯乱)


………OK、私、時に落ち着けって。

ともかく、そんなわけにより、私とヒメカで、ゆりちゃんを港まで

護衛することが決定したのであった。


本音で言えば、やっぱり、ゆりちゃんとご両親が再会するまで、

ちゃんと付き合いたいところだけれど。

〈邪神〉覚醒したとはいえ、社会的には、私はいまだ、ただのJK。


せめて、本体ママが言っていた、クトゥルフの眷属たちが

来てくれれば、全力でゆりちゃんを守らせるのに。

──────っていうか、本当に、私のトコロに来て、

私につかえてくれるのかしら、眷属?


ま、この場にいない者を当てにしても、しょうがない。

港までのゆりちゃんの護衛を、がんばるぞい!


フンス、と気合いを入れて、家に電話し、お母さんに、

“お泊まり会”することになった旨を通達。

さすがに突然のことなので、お母さんは驚いて、簡単には

お泊まりを認めてくれそうにない雰囲気だったのだが─────。


『お電話替わりました。はじめまして、あゆらさんのお母様。

わたくし、苑草の保護者のようなものをやっております、

エスト・メレーと申します』


と、エストさんが間に入ると、あれよあれよと、うちのお母さんを

懐柔かいじゅうしてしまい、“お泊まり会”にオッケーが出ました。

横で聴いてて、なんか交渉、っていうより、詐欺師・ペテン師の

会話術に思えたものである。


うまく話を付けてもらっておいてなんだけど、ちょっともやってしまうなあ~。


そんなこんなで、現在は、午後四時すぎ。

約束の時刻まで、時間を潰すだけの、フリー・タイムである。


この部屋で夕食を済ませて、また待機。

その後、エストさんから、計画中止等の連絡がないかぎり、

護衛任務スタート・出発、という予定だ。


とりあえず、宮内司教たちはだまくらかせたし、計画は順調に行っている。


……はずだけど、気を引き締めていかなければ。

一瞬の油断が命取り。(戒め)


自分の身がピンチになるだけならいいけど、小さい子の命が懸かってるからね。


私にはチートな〈邪神〉パワーがあるし、凄腕〈魔法少女〉の

ヒメカも一緒だけど。

〈力〉を過信して失敗するとか、アニメや漫画なんかじゃ、

定番のしくじり案件だ。


そんな間抜けなことには、ならないようにしないと……!


密かにそう意気込んでいると、隣に座るゆりちゃんが、私のパーカーの

袖をくいくい、と引っ張ってきた。


「ん? なあに?」


「あのね、さっき、おねむしてたときにね、〈ゆめ〉をみたの」


「えっ?」


ゆりちゃんの言葉に、思わず、ヒメカと目を合わせてしまう。

────〈予知夢〉、だろうか。


「……そうなんだ。どんな〈夢〉だったの?」


私がたずねると、ゆりちゃんは、ニッコニコの笑顔になった。


「あゆらおねえちゃんと、ひめかおねえちゃんの〈ゆめ〉!」


私たちの〈夢〉かよ!?

ゆりちゃんの笑顔からすると、良い〈夢〉みたいだけれども……!?


「それは、良い〈夢〉?」


「すっっっごくいい〈ゆめ〉だよ!」


お、おう。

滅茶苦茶喰い気味に、良い笑顔の返答を返された。


「じゃ、じゃあ、どんな〈夢〉かな────」


「んっとねえ、おねえちゃんたちが…」


「ゆりちゃん、ちょっと待って」


ゆりちゃんが、〈夢〉の内容を語りかけたところ、

ヒメカの厳しめな声がかかる。


「………ゆりちゃん、その〈夢〉は、いつの頃か───“今”から、

どれくらい“先”のことか、わかる?」


ヒメカの質問に、ゆりちゃんは、んん~、と、かわいらしく眉をひそめた。


「だいたい、でいいの。なんとなく、何ヶ月先か、とか、ずっと“先”の、

未来のことじゃないか、とか。ゆりちゃんの感じたことを、言ってみて?」


「んと、たぶん、すこしさきの“みらい”の〈ゆめ〉だとおもう」


「そう……それじゃあ、ゆりちゃん、その〈夢〉のお話は、ゆりちゃんが、

安全な場所に避難し終わってから、お姉ちゃんたちに教えてくれる?」


「えぇ~? どうしてぇ~?」


うん、確かにどうして?、ってなる。

良い〈予知夢〉なら、聞いておいたほうがいいような気がするけど。


「ゆりちゃんを、無事に、ゆりちゃんのパパとママのところに

送り届けることができたら。その時に、わたしたちに、ごほうびとして、

その〈夢〉のお話を聞かせてほしいの。ゆりちゃんのる〈夢〉は、

とっても特別なものだから。ね?」


「そうなんだ~……? うん、わかった! それじゃあ、

ふたりのごほうびに、とっておくね!」


ヒメカの説明を受けたゆりちゃんは、おませ気味にそう言って、

ニパ~!っと笑った。


その笑顔を見たヒメカは、ゆりちゃんにうなずいて見せながら、

携帯端末を操作しだす。

ひとしきりの間があってから、私の携帯端末が、着信音を鳴らした。


ヒメカからのメールを受信したとわかったので、すぐさまチェック。


【ゆりちゃんの安全が確保されていない状態で、わたしたちふたり“だけ”の

未来の〈予知夢〉の話を聞くのは、状況的に、危険な可能性があるの。

“シュレディンガーの猫”のたとえで言えば、

『わたしたちふたり“だけ”安全な未来』を先に〈夢〉で

観測してしまったことで、逆にゆりちゃんが安全でいる未来像が

揺らいで、不確定になってしまうかも。】


“シュレディンガーの猫”というワードに、オタクな私はピンときた。


SFとかでもよく取り沙汰される、超有名なお話である。

その内容は、ざっくり言うと、『世の事象は、観測されることで確定する』

という量子理論の、矛盾を説明する思考実験……だったかな?


ヒメカが引き合いに出してきたのは、『観測されることで確定する』という

部分を強調したかったからだろう。

私とヒメカが『私たちふたり“だけ”が安全でいる』未来の〈夢〉の

内容を聞くことで、『ゆりちゃん自身が安全ではない』未来を“観測”したことに

なってしまうかもしれない─────。


“観測されなかったことによる、観測”をしたことに。

ちょっとややこしいけれど、そういうことなのだと思う。


そのように察した私は、ヒメカに、メールを返信。


【でも、少し先の未来の〈夢〉なら、現在には影響はないんじゃない?】


【未来の不確定要素、『ゆりちゃんが危険にさらされる』可能性が

増すような真似は、少しでも避けたほうがいいわ。

あゆちゃんも“カッサンドラの悲劇”のことを言ってたでしょう?

〈予知〉の〈力〉は、危ういもの。慎重に慎重を重ねた対応をしないと。

だから、現時点では、〈夢〉のことを聞かないで行動するのが、

ベターだと思う。】


魔法業界のプロであるヒメカが、そう言うのなら、異論はない。

いや、ヒメカの言うことなら、無条件で肯定しちゃいそうな

私ではあるけれどね!


【おk、把握した。】


そう私が短く返信したあと、ヒメカは、ゆりちゃんに微笑みかけた。


「ゆりちゃん、夕ご飯は、なんにしようか。なにか食べたいもの、ある?」


「オムライス!」


ゆりちゃんの即答に、ヒメカとふたりして、噴き出し苦笑。

まあ、同じもの食べても構わないだろうけど、私は、別のリクエストを求めてみる。


「オムライスは、お昼食べたでしょ~? 別のにしない?」


「んん~……じゃあー、カレーライス!」


ライス系好きだな! かわいいぞこんちくしょう!


「オッケー、カレーライスね。ヒメカ、私たちは、どうしようか?」


「そうね、ここのルーム・サービスのメニューは、

なにがあったかしら────」


と、ヒメカは、テーブルに置かれているメニューを手にとって、

吟味しはじめた。


………〈予知夢〉の影響が、あるかないか、今、考えたところで

なにもはじまらない。

建設的なのは、しっかりと腹ごしらえして、夜に備えることであろう。


〈予知夢〉という、幼い子供には過分な異能のせいで、両親から

引き離されてしまっている、ゆりちゃん。

年長者として、いや、人として、この子を、守ってやらなければ。


〈邪神〉の転生体ながら、ゆりちゃんの笑顔を見て、

改めてそう思ってしまう私だった………。

あゆらちゃん「正義は知らんけど、女の子は守る!」(キリッ

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