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邪神転生ガール  作者: megajoy
16/32

転16 〈邪神〉だけど、正体明かしあってイチャつく。

察しのいい方はおわかりでしょう。そう、「魔●少女」デザインの魔法少女です///

おっとぉ、そうキたか…………!

ヒメカの〈魔法少女〉カミングアウトに、

苦笑しそうになるのを、なんとかこらえる。


何故、〈魔女〉という種族名ではなく、

〈魔法少女〉と名乗ったのか。

それはたぶん、〈魔法少女〉のほうが、畏怖感が薄いだろう、

と思ったのだろう。


まして、相手は、ゲーム好きの、オタクな私だ。


〈魔女〉より、〈魔法少女〉であるなら、正義の味方っぽい響きが

あって、受け入れやすいのではないか。

わざわざ、天使寄りのコスチュームにまで変身してみせたのも、

そう考慮してのことかもしれない。


──────くうぅっ! けなげカワイイっ!


しかもなんですか、その〈魔法少女〉コスのデザインは……っ!

ヒメカのおっぱい! お尻! 強調するような!

けしからんっ! ありがとうございますっっっ!!!


はっ、いけない。

グラビアアイドルを地で行く、ヒメカのボディラインを、

まじまじと凝視しまくってしまった。


ヒメカは、私がどんな反応をするのか心配な様子で、

黙ってこちらを見つめている。

〈魔法少女〉発言と、今の自分の格好が恥ずかしいのか、

顔が赤いままだ。


「ヒメカ─────」


「……うん」


「滅茶苦茶かわいいっ」


「えっ!?」


「キスしていい? ってゆーか、キスしたい。いや、する」


「ちょっ……!? あゆちゃ────」


欲望全開でヒメカに肉迫し、強引に唇を奪う。


こちらから一方的にキスするとなると、私の身長では通常、

背伸びしても、ちょっと届かない。

なので、身長差は、飛行能力によって、少し浮くことでカバー。


ヒメカの柔らかな唇を、無心で堪能しちゃう私だ。


本日は、調子に乗って、深いキスを………。

────うん、ヒメカ、深いキスも受け入れてくれたので、続けちゃおう。


もちろん、ヒメカを抱きしめて、体のあちこちを

まさぐっちゃうのも忘れない。


ヒメカのほうも、最初は困惑していた感触だったけれど。

途中から、右手に持っていた杖を脇に放り立てて、

抱きしめ返してきてくれた。


互いに満足いくまで、キスを続ける。


───────────やがて、呼吸を合わせたように、

ほう……と一緒に唇を離した。


「もう……あゆちゃん──────真面目な話、してたのに………」


艶めかしい息を吐きながら、ヒメカがやや不満げな声を出してくる。


「ごめん。ヒメカが、あんまりかわいすぎたから、我慢できなかった」


私は着地して、わずかに身を離し、本音を伝えた。


「ん……も、もうっ、あゆちゃんったら─────」


そう短くもらす言葉こそ、怒っているようだが、表情も声のトーンも、

まんざらでもなさそう。

う~ん、かわいい。


〈人()け〉の結界魔法の中ということもあるし、このままヒメカを押し倒したい。

そして、生やせるようになった男のアレに、さっそく活躍の場を与えたい。


って、またまた、いけないいけない!


昨日、ママと、することしちゃったせいで、私のピンク色の精神が、

濃度マシマシでパワード・ピンク(?)になっちゃってるみたいだ。

早朝から、ヒメカを想ってハッスルしたこともあって、

歯止めが利いてないかも。


………昨日の今日で、イキナリそこまでいっちゃダメであろう。(戒め)

自重、自重、速攻突貫、アクセルべた踏みは厳禁・NG、事故の元。


話を、元に戻すことにしよう。


「それで、ヒメカが〈魔法少女〉だから、昨日の夜、

空を飛んでた私に気づいた、ってこと? ヒメカが、

さっきの写真を撮ったの?」


「────写真を撮ったのは、わたしの使い魔。夜の街を、

空から哨戒させてたら、空を飛ぶ正体不明の存在を感知して……使い魔に、

現場写真を撮らせてみたら、写ってるのが、スクール水着姿の

あゆちゃんだったんだもの。写真を見た時、すごく、驚いたんだからね?」


まあ、そうだろうなあ……。


昼間に、本当の意味で十年ぶりに再会して、キスしてた相手が、

スク水で空飛んでるとか。

そんなの、ぶっちゃけありえないよな。


しかし、〈使い魔〉が写真撮ったんだ……。

〈使い魔〉も写真機器使いこなすとは、まったく時代はデジタル。


それにしても、いつ、どのあたりで写真を撮られたのか、

全然気づかなかった。


おそらく、私に掛けられているという、〈魔力隠蔽まりょくいんぺい〉の魔法の

せいもあるのだろう。

その効果の弊害で、私は、周囲にある魔力を、ほとんど感知できない。


〈使い魔〉は、魔力をもとに動く存在だ。

私がそれを感知できなかったのは、当然と言えば、当然である。


………ヤバくない、コレ?


ママは、『〈敵〉から狙われにくくなるように、〈隠蔽いんぺい〉掛けてる』

みたいなこと言ってたけど。

逆に、スゴい弱点になってる気がする。


このことは、あとで要検討、っと。

今は、ヒメカとの話が、最優先事項だ。


「ごめん。私、昨日の放課後、突然、覚醒しちゃったから。

……ヒメカには、私が〈邪神〉の転生体ってこと、いつかそのうち、

話すつもりだったんだけど────ほら、話が、超展開すぎて、

信じてもらえなさそうじゃない? それがまさか、その日のうちに、

誰かに見つかるとか、思ってなかったし……」


「あっ、ううん、あゆちゃんを責めてるわけじゃないの。

その……わたしが〈魔法少女〉になって、街を守る活動を始めてから、

プライベートで関わりのある人が、超常的な事案に絡んできたことが、

初めてだったから。純粋に、驚いちゃって。それが、わたしの一番大切な

婚約者だったから、なおさら……ね?」


うっひょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっっ!!!

聞きました、奥様!? “一番大切な婚約者”ですって!!!


ヒメカの、その言葉が嬉しすぎて、顔をニヤつかせそうになる。

ま、まだダメだ……! こらえろ……!


真面目な話、続行……!


「……ヒメカは、その、〈魔法少女〉の責務とか、使命とかで、

私を捕まえたり、やっつけたりしたほうが、いいのかな────」


「えっ、どうして?」


「えっ」


質問に質問を返され、言葉に詰まる。


「あ、だ、だって、私、〈邪神〉の転生体なんだよ? 分霊の、

転生体だけど───人間の〈敵〉になっちゃうかもなんだよ?」


〈魔法少女〉自称はさておき、ヒメカが、この街を守っているのは、

本当なのだろう。


その使命がどういうものなのか、詳しくはわからないけれど、人間社会に

害を為しそうな存在は、排除するのではないか………。

単純に、そう思った次第である。


「あゆちゃん、『今の地球人類には、手出ししないで』って、

〈邪神〉クトゥルフに言ってくれたんだよね? 人間の〈敵〉は、

そんなお願い、しないでしょ?」


「あ、うん、それは、そうだけど……」


「それとも、あゆちゃんは、人間の〈敵〉になるつもりなの?

悪いこと、企んでるの?」


「いやっ! ないない! 企んでないし、人間の〈敵〉に

なるつもりもないよ!」


ヒメカの問いかけを、慌てて否定する。

そんな私に、ヒメカは、にっこりと笑顔を見せてきた。


「うん。それなら、なにも問題はないでしょう?」


「え────な、ない、のかな? ヒ、ヒメカは、それでいいの……?」


「いいよ」


ためらうことなく、ヒメカは即答してくる。


「あゆちゃんと、ずっと一緒にいられるなら、なんだっていい」


そう言いながら、ヒメカは、私の両手に、指を絡めてきた。

それから、互いの掌を合わせて、私の目を、見つめてくる。


「────あゆちゃんは、これから、どうしたいの?」


「私も、ヒメカと、ずっと一緒にいたい」


ほぼ反射的に、即答していた。

私の心の中で、それだけは明確な、たったひとつの真実だから。


ヒメカが、頬を紅く染めて、嬉しそうに微笑む。


「それじゃあ、やっぱり、なにも問題ないね」


「……うん、そうかも──────」


ヒメカの言葉に、笑ってうなずいた。


私の胸に、安心感が、広がっていく。

うん、そうだ、ヒメカに拒絶されないなら、なんの問題もない。


「────〈邪神〉少女と、〈魔法少女〉のカップルかあ……私たちが

出会ったのって、なんか、〈運命〉、感じちゃうね」


「えっ、今ごろ?……わたしは、そんなの関係なくても、あゆちゃんは、

〈運命〉のひとだ、って、ずっと感じてるのに」


「あっ、やっ、違くて! ますます! ますます〈運命〉を

感じちゃう、って意味!」


わたわたと、焦って言葉を補足する。


「だって、私の心の中で、ずっと特別で……それで、

また会えて────あの頃のまま、お互いに、“本当の本当に好き”、

で……ヒメカが、私の〈運命〉のひと、って、私も、思ってるよ。

そのうえで、私の正体と、ヒメカが〈魔法少女〉、ってことを知ったら、

出会うべくして出会った、っていうか───ふたり、一緒になるのが、

本当、決まってたみたいだな、って………」


「うん……」


「私とヒメカは、運命づけられたふたりじゃないか、って、

改めて、すごく、そう思って────その、

うまく言えないんだけど……んんっ!?」


語彙力がないながらに、自分の胸の内のほどを、精一杯伝えようと

していたところ、ヒメカから、唇をふさがれた。

しかも今度は、ヒメカのほうから、深いキスも、始めてきたではないか……!


言葉でいろいろ伝えようとしてた思考を、全部放り投げて、

私はヒメカのキスに、全力で応える。

具体的には、深いキスをより深く、強く求めて、応えて、

ヒメカの体を抱きしめまくった。


………〈人()け〉の結界魔法があるからとはいえ、

朝っぱらから、こんな甘々イチャイチャしていいのかしら。

そんなことを、頭の片隅でうっすら考えたけれど────

ふたりが幸せなら、OKです!


ひとり、心の中でそうサムズアップして、ひたすらヒメカとのキスを、

味わい続ける私だ。


────またひとしきり、キスを堪能したあと、

どちらからともなく、唇を離す。

それから、私たちは、ぎゅっ、と抱きしめ合った。


「あゆちゃん─────好きだよ。大好き」


「うん……私も、大好きだよ、ヒメカ」


別れ話でもなかったし、正体バレしてもヒメカは受け入れてくれたし。

心配してたことが、全部杞憂に終わって、めでたしめでたし、である。


ああぁーボカァ、幸せだなァ~、と、安心して、ヒメカとの

抱擁ほうようを味わうのだった。


すると、ヒメカが、ポツリと尋ねてくる。


「……ねえ、あゆちゃん」


「うん?」


「あゆちゃんの匂い、昨日と違うね?」


「えっ」


ドキリンちょ!

思わず私は、狼狽の声をもらしてしまった。


ヒメカが、すんすん、と、私の髪に鼻を当ててくる。


「────うん、やっぱり、昨日と違う」


ふぉえぁっ!?

断定するヒメカに、なんと応えたものか、判断に迷った。


匂いが違う原因の心当たりが、ママの手による、

全身洗浄だったからである。

さらにその全身洗浄された理由が、ママとチョメチョメしまくった

結果なので、そりゃあ、うろたえちゃう、っつーの……!


「あ、う、海に入ったあと、いつもと違うシャンプーで髪を洗ったから………」


嘘は言ってない。

けど、うしろめたさ100%のため、声がちょっとうわずっちゃう。


「そうなんだ────ボディシャンプーも、違うのを使ったの?」


「あ、う、うん……」


うちのまゆちゃんといい、みんな匂いに敏感だな!?

私がそういうの、気にしなさすぎなだけかしらん?


動揺してるところを、このまま質問攻めされ続けたら、

いらんことを口走りかねない。

話題を変えなきゃ。


「ところで、ヒメカ」


「なあに?」


「今さらなんだけど、この〈魔法少女〉の衣装、他の人から

見られても、大丈夫? 朝でも、ここの公園、けっこう人が通ると思うよ?」


〈人()け〉の結界魔法が掛けられていると知りつつも、

そ知らぬ顔で指摘してみせる。


「それは心配しないで。魔法で〈結界〉を張って、わたしたちが

見えないようにしてるし、他の人が、近づけないようにしてるから」


うん、知ってた速報~。

そうなんだ、と、とぼけてうなずきながら、続けてヒメカに、訊いてみる。


「それと、この衣装……センシティヴすぎない? いや、無茶苦茶かわいいから、

私的にはいいんだけど」


言葉を選んで、ヒメカの魔法少女コス自体について、追加指摘。

できることなら、『このエロさで〈魔法少女〉は無理でしょ』と

言いたいところだ。


私の言葉に、ヒメカは、顔を真っ赤にして、恥ずかしそうに、

もじもじと体をわずかに揺らす。


「うん……肌の露出が多くて、体の輪郭が出ちゃうから、わたしも

本当は恥ずかしいんだけど────この衣装自体から魔力が

放射されてて、体を包む防御フィールドを展開してるの。だから、

分厚い装甲服とか、鎧を着込むより安全で、負傷しにくくなってるんだよ」


「負傷って。ヒメカ、危険なことしてるの? なんか、

悪魔とかと戦ってたり……?」


〈邪神〉の転生体がなに言ってんだ、という感じだけど。


ヒメカは、自分のことを“この街を守る〈魔法少女〉”である、と言っていた。

ならば、“街を脅かすなにか”が存在する、ということである。


「────────うん、戦ってる」


ヒメカがそう答えるまで、わずかながあった。

本当のことを私に言うべきかどうか、迷ったのかもしれない。


「〈禍威魔ダーム〉って呼ばれてる、人間に害を為す存在がいるの。あゆちゃんが言うような、悪魔みたいな存在モノが。わたしは、それらと戦ってるんだ」


禍威魔ダーム〉。


私の〈邪神〉知識にはない単語であった。

現代において、〈魔女〉たちが新たに作った、造語なのかも?


「命がけなんだよね、それ。きっと」


「……うん。でも、心配しないで。わたし、すごく強いんだよ?」


そう言って、笑ってみせるヒメカ。


魔力隠蔽まりょくいんぺい〉の魔法効果の影響で、私にはヒメカの

魔力量がどれほどのものか、感じ取ることはできない。

けれど、今の姿を見てなんとなく、ヒメカは〈魔女〉の界隈で、

トップクラスの実力を誇るのであろう、と、察していた。


──────婚約者の贔屓目かな?


「ヒメカ、私、かなり強い〈力〉を使えるようになったんだ。

ヒメカと一緒に、その〈禍威魔ダーム〉っていうのと、戦えるかもしれない」


「それは駄目」


「えっ……」


即答!?

ピシャリ、と拒否され、結構ショック。


「あゆちゃんの気持ちは嬉しいけど、〈禍威魔ダーム〉と戦う使命に、

大切なひとを巻き込みたくない」


わっほう! “一番大切な婚約者”に引き続き、“大切なひと”の

お呼びもいただきました!

ありがとうございます!


って、待て待て、喜んでるだけじゃイカン。


「それを言うなら、ヒメカだって、私にとって、世界で一番、大切な

ひとなんだよ?────強い〈力〉に覚醒したのも、ヒメカの助けに

なるためかもしれなくて、それこそ、一緒に戦うのも、

運命じゃないか、って思う」


真面目モードを続行して、キリリと言葉を返す私。


「あゆちゃん……」


見れば、ヒメカの瞳が、潤んでいる。


少し気恥ずかしかったけれど、真剣な気持ちで言ったこと

だったから、ヒメカの心に、響いてくれたようだ。


「────あゆちゃんの、そう言ってくれる気持ち、本当に、

嬉しい……。でも、駄目だよ。魔法少女の活動は、基本、

夜遅くになるから。あゆちゃんのご家族に、心配をかけさせちゃう」


ああ、そういうことも考えなきゃいけなかったか。

JKが深夜に外出とか、普通の親なら許さないよね、確かに。


「それなら、大丈夫だよ」


「え……?」


「んっと、見てもらったほうが早いかな。よっ、と────」


私は、軽い動作で、大きな水の塊を発生させ、〈水幻影身アクア・ミラージュ〉を精製する。

数秒と経たず、私の隣に、私そのものとしか見えない、

私の偽物ダミーが顕現した。


「水に〈形態模写〉の魔法を……!? この精度のものを、

こんな一瞬のうちに……!」


なんかヒメカ、すごい驚いてる。


あれ、私、またやっちゃいました?

……などと、チートキャラモノローグしちゃうけども、

分霊体とはいえ、〈邪神〉パワーによるものだしなあ。


ヒメカのような魔法のエキスパート、〈魔女〉から見ても、

高度な魔法の行使だったのかもしれない。

と、それは今、置いといて。


「夜に、家を抜け出す時、この魔法で作った影武者人形を部屋に

寝かせとくから。よっぽどの魔法の使い手じゃないかぎり、

これが水で出来た人形だなんて、見破れないと思う。

うちの家族が心配することもなくなると思うけど………どう?」


「う、ん……でも────」


ドヤァ、と“人形でアリバイ作戦”を語ってみせたが、なおも、

ヒメカの返答の歯切れは悪い。

けど、もうひと押しのようだ。


私は、〈水幻影身アクア・ミラージュ〉を水に戻し、バシャリと地面にこぼしく。

そのあと、ヒメカに言い募ってみた。


「……じゃあ、ヒメカ、一回だけ。ヒメカが〈禍威魔ダーム〉っていうのと戦う時、

一回だけ、一緒に行かせて? それで私が、足手まといになったり、

使い物にならない、ってヒメカが思ったなら、二度と、一緒に

戦うなんて、言わないから」


「────ずるいよ、あゆちゃん……。それ、絶対に、あゆちゃんが

大活躍しちゃう流れじゃない……」


ヒメカは、そんな抗議めいたことを口にする。

私の〈水幻影身アクア・ミラージュ〉を見て、私の強さを、おおよそ判断できたのだろうか。


「いや、そんなのわかんないよ? 〈禍威魔ダーム〉っていうのが、どんな

相手かわかんないし。私、実物を見たら、泣いて逃げ出しちゃうかもだし」


これは、おどけてみせたのではなく、思ったことを素直に

述べただけである。

怖い系クリーチャータイプだったら、ある程度我慢できるけど、

グロ系ゾンビタイプのだったら、ちょっと耐えられないかも。


「私って正直、ビビリのヘタレだからさ────それでも、ヒメカの

助けになりたいから。一度、挑戦させてほしい。お願い」


ヒメカの目をじっと見つめて、そう頼み込む。

ヒメカは数秒、黙って見つめ返してきたあと、仕方ないなあ、

といった感じで両肩を落とした。


「もう────わかりました。それじゃあ、あゆちゃんは、

わたしの助手、〈魔法少女〉見習いということで、〈禍威魔ダーム〉退治に

同行してもらいます」


「あ、うん……!」


その〈魔法少女〉設定、続けるんだ?、と思いつつ、笑顔でうなずく私。

そんな私に、ヒメカは、たしなめるような強い口調で、言ってくる。


「ただし! わたしの言うことには、絶対、従うこと! あゆちゃんが、

わたしよりどんなに強いとしても、〈禍威魔ダーム〉との戦闘では、

なにが起こるかわからないから。あゆちゃんには、安全第一で

行動してもらいます────いい?」


「う、うん、わかった。ヒメカの言うことを聞く」


コクコクと、母親の言いつけを聞く幼児のごとく、うなずいてみせる。

ヒメカの表情は真剣そのもので、私に反論を許さないような、

静かな迫力があった。


……でも、普段の天使笑顔を見せるヒメカも好きだけど、

厳しめの表情も、かっこよくて好きだなあ~。


なんて、心の片隅で、ニヨニヨと笑ってしまったり。

バカップル思考かな? ふひっ!


と、頭の悪いことを思い浮かべて、ひとり密かにえつっていると、

私の超聴覚が、気になる足音を捉えた。


すぐさま推定した足音の主は、おそらく子供。

何故、気になったかといえば、迷いのない速度で、まっすぐこちらに、

私とヒメカのほうに、走ってきているからだった。


「────ヒメカ。私たち、魔法の効果で、他の人たちからは、

見えてないんだよね?」


「え……? うん、そのはずだけど」


そう、ヒメカの張った〈結界〉魔法の効力によって、私たちふたりの

所在は、今、誰にも気取られることはない。

だというのに、子供の足音は、一直線に、こちらへ向かってきている。


そして、その子供を追う、何者かの足音も聴き取っていた。

数は四人、全員、成人男性。


そちらへ目を向けると、今まさに、視線の先の空間が、

波間を打ったところだった。

ヒメカの〈結界〉内に、足音の主が、飛びこんできたのである。


幼女であった。


服装は、制服のような白の半袖Yシャツに、紺色のスカート。

肩口まである黒髪で、ふたつに分けた髪房を、

途中で束ねるタイプのツインテール。


幼いその顔には、必死の表情が浮かんでいた。


その目と、私の目が合う。

女の子の目が大きく見開かれて、感情の光が点ったように見えた。


それは、安堵、だっただろうか。


女の子はスピードを緩めることなく、全力疾走のまま、

私の胸に飛びついてきた。

私はそれを、危うく抱き止める。


助走つきとはいえ、身長約150センチの私の胸に

抱きついてくるとは、幼女ながら、なかなかの大ジャンプだ。

〈邪神〉覚醒で肉体が強化されてなかったら、その勢いで、

押し倒されてしまっていただろう。


それにしても、なんと言って反応したものか。

突然の闖入者にかける言葉を選んでいると、幼女のほうが、

先に大声を張り上げてきた。


「たすけてっっっ!!! 〈みず〉のおねえちゃん……っっっ!!!」

ょぅι゙ょがあらわれた!

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