転13 〈邪神〉だけど、〈本体〉と絆を深める。(意味深)
※えっちぃコト示唆があるので注意です///
「えっ。あっ、うん、知ってるけど。ってゆーか、
ママが狙ってたわけだよね?」
キリッとしたママには悪いけど、私は淡々とツッコミを入れるのだった。
“えー、なんやのん、その淡々とした反応~! もー、この娘は~!
〈神〉がせっかく、カッコつけて言うたのに~!”
と、プンスカしてみせるママ。
う~ん……痴女みたいな水着を着て、イマサラ地球がどうこうと、
格好つけられてもなあ、という感じ。
あっ、そういえばもう無意識で、ママに対して、敬語使わないように
なっちゃってるよ、私。
“……ワイはあゆらちゃんの意見で、地球人類滅ぼすのんは、
一旦保留にしとこう思うけど。他の〈神〉らぁが、どうしよるかは、
わからんからな~”
他の〈神〉。
その言葉を聞いて、私の〈邪神〉知識が、グワァー!っと、総動員された。
そうだ。
〈邪神〉クトゥルフに比肩しうる、他の邪なる神々。
それらは、古来より、地球を我が物にせんと、その機会を
狙っているのである─────!
“特に、ナイアーラトテップには、気ぃつけや~。アンチクショウ、
自分だけ〈封印〉されんと、こすっからく逃げよってからに。そのくせ、
〈果てしなき魔王〉の一番弟子気取りで、好き放題に地球で暗躍しとるんや。
ホンマ、腹立つわ~……! 野郎の〈化身〉見つけたら、
問答無用でコロコロしてええで!”
ナイアーラトテップ。
〈這い寄る混沌〉、〈千の貌持つ神〉と呼ばれる〈邪神〉だ。
そして、〈果てしなき魔王〉とは■■■■■……。
その真名を、口にするだけ、思い浮かべるだけでも危うい、〈邪神〉の王である。
────うん、〈敵〉は、いるなあ………。
この地球上で、そういう手合いとエンカウントするのは、
できるだけ避けたいところ。
私の人生設計は、ヒメカと結婚して幸せに暮らす、というシンプルなもの。
なので、他の〈邪神〉とカチ合うことはないハズ………。
いや、他の〈邪神〉勢が地球を狙ってる、というのなら、
平和な日常が脅かされる、ということ。
私とヒメカ、そして私の家族と、大切なひとたちの平和を乱すというのなら。
気乗りはしないけれど、ってゆーか、怖いけど、戦うしかないだろう。
……って、『戦うしかないだろう』なんて、なんで私がヒーローみたいな
決意しなきゃなんないの!?
私、〈邪神〉の転生体でしょ!?
役目が全然違わなくない!?
だいいち、当方、ただの陰キャオタクJKなんですけど!?
私がひとり煩悶してると、ママはつらつらと語り出す。
“……地球上でチート強い存在のあゆらちゃんは、〈敵〉から、
その〈力〉が気に食わん、っちゅーて目ぇつけられることもあるかもわからん”
「えっ!? じゃあ、これから先、〈敵〉に会うかもしれないの、
ママが私にチートつけたせいってことじゃん!?」
素で驚いて、立ち上がり、マジツッコミしちゃう私。
“まー、そうなんやけども。……あっ、待ってぇーな! 泣かんでや!
ママが悪かった! 堪忍! 堪忍してや!”
知らず、私は、涙目になっていた。
ママは慌てて玉座から飛び降りて、そんな私を、抱きしめてくる。
“………でもな、あゆらちゃん。ワイかて、遊び半分で、あゆらちゃんを
最強チートな存在にしたんやない。あゆらちゃんには、
地球を守ってほしいからや”
「地球を────守ってほしい? ママが?」
“そーやぁ~”
「 嘘 だっ !!!!! 」
“ひえっ!?!?!?”
真実を断じるように怒鳴り、私を抱きしめていたママの体を、
グイイッ!と押し離す。
「ママ、さっき言ったよね? 『あとはおもしろおかしく暮らしたらいい』って。
それでいて、『地球を守ってほしい』とか、言ってること、矛盾してない?
してるよね?」
“え、や、それはそうなんやけど……む、矛盾、っちゅーか、嘘やないで?
おもしろおかしく暮らすついでに、地球を他の〈神〉から守って
ほしいなあ~、みたいなニュアンスで言ったわけで……”
「そんなスナック感覚で、地球を守れるわけないでしょ!?!?!?」
“ひぃっ!? ごめん! ごめんて! 言い方! ママの言い方、
順番が悪かった!”
ついカッとなって、また怒鳴ってしまった私に、弱腰で謝ってくるママ。
“ほら────ワイ、今現在、普通は海の底で〈封印〉されて、眠ったままやん?
ろくすっぽ、娯楽もな~んもないまま、眠り眠って、ン億年や。ちょっと昔なら、
目ぇ覚まして、〈封印〉破って、人類滅ぼす勢いで大暴れする気も
あったんやけどな~。……でもそれも、あゆらちゃんの意見で、保留やし。
まあ、これからざっと一万年くらいは、また眠っとこうか~、ってなるやん?”
ママの声が、なんだか、ひどく、寂しげなものになっていくように聞こえた。
“……せやから、分霊体の、ワイの娘であるあゆらちゃんには、
ワイの代わりに、人間として、楽しい思い、幸せな思いを、いっぱい、
いーっぱい味わってほしいんや。したら、こうやってまた、会って話す時に
同期して、いろんな感情や思い出を共有できるやろ?
そうすれば、永い眠りの、夢の慰みにも、ひとりぼっちじゃ創り出せない、
彩りがつく─────そう思ったんや………”
「ママ……」
そうか、神様も、ひとりきりは、寂しいのかも。
そんなことを、心の中で、ぽつりと思い浮かべる。
──────暗い海の底で、眠るその夢の中さえ虚ろなら。
どれだけの孤独と、空虚さを感じるのだろうか、と。
“そうは言うても、あゆらちゃんは、ワイの分霊体やからな。
〈神〉として〈覚醒〉してしもうたら、〈敵〉のあゆらちゃんに向けられる
目線が、人間に対するもんから、〈神〉関係に対するもんに、切り替わってまう。
これはもう、どうしても避けられんことや。コーラを飲んだら、ゲップしてまう
ような道理と考えたらええ”
いや、たとえ方!
娘がせっかく、感傷的な思いになってたら! もう!
“そうなったら、世界がどうにかなってまうほどのピンチに巻き込まれる
可能性・大!……そこでワイは、〈敵〉から逃げられん時に備えて、それに
対抗できるくらいの、いやさ、バチボコに返り討ちにしてブッ潰すくらいの
〈力〉を、あゆらちゃんにつければええ。そういう結論に至ったんや”
なにその結論。
なんだか、親バカみたいな論理に聞こえるんですけど。
そう思ったところで、ン……?、と、本日、何度目かの引っかかりを覚える。
「ちょっと待って、ママ。〈敵〉は『私がチート強いのが気に食わないから、
目をつけるかも』、って言わなかった?」
“……せやなー、言うたな~”
「本末転倒じゃん!? やっぱりママがチートつけたせいで、〈敵〉に
狙われやすくなってるんじゃん!?」
“だ、大丈夫やって! もし強い〈敵〉に会うたとしても、
あゆらちゃんやったら、負けへん! マジ無双できるって! ホンマやって!”
なんか、浮気がバレて、必死にごまかす恋人みたいな感じの言い方であった。
はあ、と、軽く溜息をついちゃう私だ。
「もう……しょうがないから、チートの件は、もういいよ。でも、
私でどうにもならないような〈敵〉に出会っちゃったら、脇目もふらずに
逃げ出して、ママに泣きつくからね! ちゃんと助けてよね!」
私に備わった能力がどれほどのものか、そして対する〈敵〉がどれほど
強大なのか、よくわからない。
なので、ヘタレっぽいけれど、ママには即時救援要請する旨、強く念を押しておく。
“う~ん、かわいい娘のためや、任しとき!……って、言いたいトコ
なんやけどな───その、直であゆらちゃんを助けるんは、ちょ~っと、
難しいかな~?って……”
私に念を押されたママは、そんなことを言いつつ、目をそらした。
「……どういうこと?」
“えっとな? ワイってば、海の底のルルイエに、〈物理顕現体〉ごと〈封印〉
されてるやん? 地上のあゆらちゃんを、ワイが自ら助けに行くとなると、
ルルイエで今みたいに〈化身〉出すんと違って、〈封印〉破って
行かなアカンやん? そうなると、地脈・霊脈の連鎖反応が起きて、
海もドカーン!ってなって、太平洋沿岸全域に、ハチャメチャな津波が
押し寄せちゃうやろな~、って……”
「駄目じゃん!? もっと穏便に〈封印〉破れないの!?」
“せ、〈星辰〉がイイ感じになってる時は、ゴ●ラみたいに浮上
できるんやけど~……。任意にいつでも、ってなったら、地上に被害出ちゃうの、
確実やと思うわ~”
ママはそう言って、バツが悪そうに目をそらしたまま、長い髪をいじりだす。
──────こりゃ、援軍とか支援とか、期待できそうにないなあ。
どうにも、ママから感じてしまう、ポンコツさ。
交信して話するまで、私の本体ということで、滅茶苦茶ビビッてたのが
馬鹿みたいじゃん。
“あっ、やめてやめて、そんな残念な子を見るような目ェやめて!
なにげない視線が、〈神〉の心を傷つける時もあるんやで!?”
「……………」
見た目はデンジャラスセクシーな水着を着た、破廉恥ボディの絶世の美女。
なのに、震え声で言いつのってくるその雰囲気は、今や残念美人のそれだ。
“せ、せや! ワイは〈封印〉破って助けには行けんけど、ワイの眷属らぁが、
地上におるさかい! そいつらに、あゆらちゃんのサポートさせるよって、
安心してぇ~な! な? な?”
ママは、無言で見つめ続ける私の視線が堪えたのか、私のご機嫌を
うかがうように、そんなことを言ってくる。
「眷属? いるの? 地上に?」
“おるでおるでぇ~? 中には、あゆらちゃんみたいに、人間に
転生してるのんもおるし”
「ママみたいに、〈封印〉されてないの?」
“されとるんもおるし、されとらんのもおる。されとらんのは、
ワイほど『メチャ強!』ってほどでもない眷属やけどな~”
ええぇ……当てになるの? そいつらのサポート?
私の疑惑の視線に、ママは、慌てて言葉を続けてくる。
“で、でも大丈夫や! そういう、個として弱い存在でも、信奉者を
集めて、魔導結社作って、世界中で他の〈神〉らぁの悪だくみを
監視してたりするんやで! 戦い方は、正面からガチンコスデゴロする
だけやない! 今の世の中、金と情報やさかいな! そういう後方支援態勢は、
万全と思っとき!”
おお……!? 魔導結社!? 秘密結社!
私のオタクな中二病ハートを直撃する単語に、かなりときめいちゃった。
そっかー、〈封印〉されてない眷属とかは、世界のどこかで、
暗躍してたりするのか~。
……と、そこまでワクワクしたところ、ン……、と、またまた疑問が
浮かび上がってきてしまう。
「ねえ、ママ? 私、記憶の大半に、曖昧な部分があるから
訊くんだけど………ママは、〈水〉を司る〈神〉だよね?」
“────せやで、〈水〉を司る〈神〉、大いなるクトゥルフや”
私の確認に、ママは一瞬、ギクリとなったように見えた。
「なら、どうして、海の底に〈封印〉されてるの? 〈水〉の〈神〉なのに。
なんか、おかしくない?」
問われたママは、アチャー!、という顔で額に手を当てて、天を仰ぐ。
え、なに、そのオーバー・リアクション……。
“あゆらちゃん────それは言わないお約束やで………”
「え、なんで? 自分の本体のことだもん。ちゃんと思い出しとかないと、
困るでしょ?」
“そ、それはそうかもしれんけどやな………ええい、しゃーない!
ワイもGODや! 娘に隠しごとはせぇーへんで!”
と、なにやら唐突に覚悟を決めた様子のママ。
そのまま、浮遊する玉座に、よっこいしょ!、と、再び腰を下ろす。
“昔々の話になるんやけども……ワイは、〈旧神〉なんて、偉そうに
名乗る連中と、宇宙最強限界バトルを繰り広げて────結果、負けてもうた。
いや、でも、負けた言うても、僅差! 僅差で負けたんやで!?
〈古のもの〉っちゅーヤツらと、全力全開の戦争したあとで、
『はァーしんど、やっとられへん。しばらく閉店や』って、ひと休み
入れかけたトコに、あのヤツバラめら、カチコミかけてきたんや!
卑怯すぎるやろ!? こっちが疲れてヘトヘトになってんの、見越して
来よってからに! なにが〈年上〉やねん! やり口がセコすぎるんじゃ!
正々堂々とケンカもできんイモ助どもが!”
ママは説明の途中で憤慨しだし、最後のほうは、ただの悪口になっていた。
なんだか、負けた言い訳をされてるようで、転生体としては、
なんだかいたたまれない気持ちになってくる。
“……まあ、負けは負けや。そこは認めるわ。そんで、彼奴らぁ、ワイを
〈物理顕現体〉ごと、〈封印〉しにかかってきた────
そこで、ワイは、ある作戦を立てた”
「作戦?」
“せや! 一敗地に塗れ、ズタボロになって寝蔵に戻ったワイは、まず、
ステータス全回復するまで、隠れて休むことにしたんや。ズバリ、
『華の都を自分で海の底に沈めて、そこでほとぼりさますまで隠れとこ』作戦!”
せ、セコい────────っ! それが〈神〉のすること!?
そう思ったけれど、戦いは常に非情、って赤いヒトも言ってたし、
仕方ないか……?
“けど、彼奴らはこっちの目論見を見抜いとった。その卑劣なWANAに、
ワイはかかってもうた! 彼奴らぁ、ルルイエを囲む海域一帯の霊脈を操作して、
海水の霊質をマルッと作り変えよったんや!”
「海水の霊質……作り変えると、どうなるの?」
海水は、海水じゃなかろうか。
ナトリウムまじりの、H2・Oなのでは?
“知らんのか?”
ママの短い確認に、うなずいてみせる私。
“ワイ的に、ものすンごぉ~く気持ちよォ~なってまうんや……!”
「────────────はいィ?」
思わず、某特命課メガネのイントネーションで、聞き返してしまう。
“『ほんじゃ、ひと休みしよか~』ってルルイエでくつろいでみたら、霊的に、
めっちゃイイ塩梅な、気持ちい~い寝心地になっとったんや。
『あっ、やばっ!』って気づいた時には、もう遅い! 甘美な睡魔に誘われて、
ワイはウトウトの夢見心地っ……! 寝るっ……! 寝てしまうっ……!
熟睡っ……! GOODスリープ、一直線っ……!”
あっ。(察し)
ママの話の流れから、オチがなんとなくわかってしまった。
“漢寝りに寝てもうたワイは、抵抗することもかなわず、〈旧神〉の結界で
〈封印〉されてもうた──────。……認めたくないもんやな────
若さゆえの、自分の過ち、っちゅーもんは………”
……いや、カッコよく言ってるけど。
『疲れてたところをボコられて逃げました→油断してたら眠らされ
ちゃいました→そこを〈封印〉されちゃいました』
って、三行にまとめられるような、相当トホホな感じじゃない?
内心ガッカリな私の沈黙に、ママはさすがに焦ったのか、必死に弁明してくる。
“や、や、こう言葉にしてみると、情けのう聞こえるかもやけどな、地球の海水、
めっっっちゃ気持ちええねんで!?……そ、そや! 炬燵や!
あゆらちゃん、眠るつもりはないのに、炬燵で寝転がってウトウト
してまう時の気持ち良さ、思い浮かべてみ~な! 滅茶苦茶気持ちええやろ!?
な!? な!?”
「あー………うん、あれは気持ちいいよね───────」
弁明してるのが本体ということもあって、なんだか可哀相にも思え、
賛同して相槌を打ってしまう私だ。
でもまあ、炬燵に入ってのウトウト感が心地よい、
ってゆーのは、確かである。
あとで風邪を引きやすい、とわかってても、あまりの気持ちよさに、
ついつい寝ちゃうんだよねー。
と、そこで、思い至ったことがあったので、ママにたずねてみることにする。
「……ひょっとしてだけど、ママ、私を人間に転生させて、人類存続の〈判定〉
させたのって、自分がルルイエで眠ったままでいるかどうしようか、
迷ったからなの?」
“─────そんなことあるわけないやん。コトは地球上の種の存亡問題やで?
そんなことあるわけないやん”
ママは、一瞬の間をおいて、ふい、と露骨に目をそらしながら、二回否定した。
「………ママ?」
玉座に座ったママに近づき、回りこむようにして、その目を、じっと覗きこむ。
“────────────────────えっとぉ……まあ、ン億年単位で
気持ちよぉ~眠っとったら、地球の覇権とか、宇宙を巡っての戦いとか、も~、
な~んか~、どーでもよくなってきちゃったカナ~、って、思わないでもない、
っちゅーか~………”
「つまり、まだまだ惰眠を貪ってたい、ってわけだよね」
“……………実は”
私の指摘に、てへっ、と舌を出して、悪戯っぽく笑ってみせるママ。
─────う~ん、絶世の美女のテヘペロは、萌えてしまうから、ズルい。
クトゥルフを偉大な〈神〉として崇めてる眷属と信奉者が見たら、
どう思うかしらん、とか、うっすら悩んじゃうけども。
まあ、ヨシ!
『気持ちいーから眠っときたい』ってゆー、夏休みの小学生みたいな理由でも、
人類存続が許されたんだから、とにかくオッケー!
私の転生目的や、容姿の問題についても謎が解けたし、あとは帰るだけだ。
帰るだけ、なのだけど………。
んんっ、と、軽く咳払いなどして、今度は私が軽く目をそらし、
切り出す番であった。
「ママ、確認したいことは、だいたい確認できたから、そろそろ帰ろうかなー、
って思うんだけど……その────」
“ああ! 男のアレの生やし方やね!”
「………はい」
言いあぐねたお願いの内容を、ズバリと当てられ、こちらは恥ずかしがりながら、
うなずくしかない。
────いやだって、スッゴい気になるんだもん!!!
そういうお年頃だもん!!!
“オッケー、オッケー、オール・オッケー!”
ママは嬉しそうに、満面の笑みで玉座から降りてきて、私を抱きしめてくる。
それから、私の耳元に、囁いてきた。
“ぜ~んぶ、ママが、教えて、あ・げ・る……♪”
ゾクゾクと、背中に形容しがたい感覚が走る。
かと思ったあと、グルンと視界が揺れた。
気づけば私は、ママに押し倒されているではないか。
いつの間に現れていたのか、押し倒された先は、フカフカの、
円形型キングサイズ・ベッド。
ワンテンポ遅れて、貞操の危機だと、猛烈に焦った。
「マ、ママ……!? わ、私、初めては、ヒメカと、って決めてて────!」
ワタワタと、抗議の声を上げる私。
“だいじょーぶ、だいじょ~ぶ♪ 前のほうの初めては、ヒメカちゃんに
捧げたり? でも……”
と、妖艶に舌なめずりして、微笑むママ。
“後ろの初めてと、あゆらちゃんの童貞は、ママに頂戴……?”
「や……! ママ、やめて……!? こういうの、う、浮気になっちゃう……!」
“浮気やあらへんよ~。母娘のスキンシップの範疇やって……♪”
そうなのか!? いやいや絶対違うだろ!
そうは思っても、ママの甘い吐息に、胸がドキドキして、頭はクラクラしてくる。
相手は我が本体で、〈力〉は上、どうも放すつもりはないらしい。
そして私としては、ヒメカとの今後のために、
男のアレの生やし方が知りたい。
──────おっかなびっくり、私の覚悟は、決まった。
「い……」
“うん?”
「痛くしないでね………?」
“せぇーへん、せぇーへん♪”
そうニンマリと笑うなり、ママは私に覆いかぶさって────────────────────────。
………………あっ────────────────────────!!!!!
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─────────────すっっっっっごぉぉぉい……………………♡♡♡
なにがあったんだろう。ボクは子供だから、わかんないや。(すっとぼけ)




