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邪神転生ガール  作者: megajoy
12/32

転12 〈邪神〉だけど、〈本体〉から説明を受ける。

〈邪神〉クトゥルフの返答は!? 緊迫の一幕!(大噓)

“んーええよ~、オッケ~”


「えっ」


覚悟の土下座に、あっさりそう返され、我が耳を疑ってしまった。


「えっ、えっ、その……本当に───────?」


顔を上げて、おそるおそる確認してしまう。


“ホンマホンマのマンホールやがな。〈神〉に二言はあらへん”


ええぇ……。

めちゃくちゃ胡散うさんくさい返答なんですけど────。


“お? お? なんやあ? 疑っとるんか? ま、しょーがないわな、

疑うんも。せやけど、そもそものハナシ、あゆらちゃん、あんたを人間に

転生させたんも、人類を滅ぼすかやめとくか、その判定のためなんやで?”


「えっ」


サラッと明かされた衝撃の事実。

どういうことなの……!?


“ほな、そのへんのんも含めて、あゆらちゃんの疑問について全部、

順を追って説明していこか~”


よっこいしょ、と、〈化身アヴァター〉さんは、宙に浮かぶ玉座に腰を下ろして、

足を組んだ。

その座ったポーズも、さまになったエロさで、大変ごちそうさまです。


……違う、そうじゃない。


私の抱いている疑問も、交信でんわの際に同期リンクしたことで、

全部わかっているということか。

これまた、逐一質問せずに済むので、本当に助かる。


“まず、あゆらちゃんの容姿について話そか。───あゆらちゃんは、

なんと言っても、このクトゥルフの分け身やからな。平凡な顔やったら、

カッコつかん。せやから、人間の遺伝子情報無視して、超絶美少女に

なるよーに、ちょっと〈神〉細工したんや”


「え? 超絶……美少女になるよう、細工───? あ、〈神〉としての

〈力〉と記憶に覚醒した時に、ですか?」


“ちゃうちゃう。あゆらちゃんが、人間として、生を受けた時からやがな”


嘘を言うなっ!

と、あやうく反射的に、〈神〉に対して、猜疑さいぎに歪んだ暗い瞳で

せせらわらうところであった。


生まれた時から超美少女だったら、当方、ぼっち気味の陰キャオタク女子に

なってない気がするんですが、それは。


“『ウッソだぁ~』、と思っとるやろ。けど、違うんやなあ~、これが”


またまた、こちらの心中を見透かしたように笑う〈化身アヴァター〉さん。


“〈神〉として覚醒するまで、あゆらちゃんには、特殊な〈認識阻害〉の

魔法が掛かっとったんや”


「〈認識阻害〉?」


〈邪神〉知識から、その魔法の効果が、人間の五感に作用し、感覚認識を

妨害するものだとわかった。

その魔法が、私に、掛かっていた……?


“そや。この魔法は、あゆらちゃん自身にも作用するようになっとった。今日、

〈神〉覚醒するまで、自分のこと、平均顔女子や、って嘆いとったろ?”


「あ……はい、心身共に、〈並〉の人間だと思ってました」


思ってました、ってゆーか、心は今でもフツーの小市民女子だと

思ってますけども。


“この魔法はな、あゆらちゃんを見る者の認識を、ゴマカしとったんや。

心が純粋、もしくは善良な人間が見れば、外見どおりの可憐な美少女に。

汚濁おだくにまみれた、邪悪な人間が見れば、あゆらちゃんが醜悪な容姿に

見えるように、な~”


「え……じゃ、じゃあ、私自身は────」


“自分の容姿が、【普通】に見えとったんやから、【属性:秩序/中庸】か、

【中立/中庸】ってトコかいな? まあ、善人ってほどでもなければ、

根性ねじ曲がっとるっちゅーわけでもない、まんま、フツーの性格ってことやね”


……うーん、『できる範囲で善良でいよう』が、信条だったけれど、

そっかー、【普通】か────。

平凡女子の自覚はあれど、〈神〉から断定されると、ほんのちょっぴり、

ハートブレイクしちゃう私だった。


まあ、【悪人】判定されるよりは、マシかな?


“人間の人格は、成長していく環境に左右される。そこが、ウチが

あゆらちゃんを人間に転生させた、肝の部分なんや。───現代の

地球における、あゆちゃんの生まれた〈日本〉っちゅー国と民族は、

そこそこ治安が良くて、そこそこ道徳心が高く、そこそこ差別意識が低い。

……〈人間〉という、この星を我が物顔でのさばっとる〈種〉を滅ぼすか、

否か。その判定を下す、判断材料を集めるには、ええ感じの場所やった”


なるほど───わかってきたぞ。


〈認識阻害〉の魔法により、もし、私の周囲の人たちが、私を〈醜悪な容姿〉の

子供と見なす人間ばかりだったなら。

そのことを理由に、いじめられ、迫害を受ける環境で、

成長していったなら。


私の性格は、今よりずっと暗くて、世の中を恨んだり、憎んだりする、

歪んだものになっていたかもしれない。


………いや、性癖は、現在進行形で歪んでるんですけども。

金髪碧眼美少女フェチの女子が、理想のヒメカをゲットしたら、

そりゃ妄想は、はばたくよね、ふへへ。


──────もとい。


そんな〈認識阻害〉の魔法の影響下で育った私が、【普通】の性格の

女子に成長したということは。

性悪な人間……たとえば、本日の放課後、私をいじめに呼び出したような

連中も、まあまあいたけれど、善良な人々も、多かった、ということだろう。


まず、私の家族が善良なひとたちである、とわかって、嬉しいかな。

そうじゃなかったら、虐待とか、普通にあったかもだし。


そして、なにより嬉しいのは、ヒメカのこと──────。


〈認識阻害〉の魔法が掛かった状態の、幼い私と、結婚の〈約束〉を

してくれた彼女。

彼女もまた、純粋で、善良なひとである。


それが証明されたようで、嬉しくてたまらなく、胸が熱い。


“ここまで話せばわかったやろうけど、〈認識阻害〉の魔法付きで

人間に転生させたんは、あゆらちゃんが、〈神〉覚醒した時、人間、

地球上の人類に対して、どんな思いを抱いたか、率直な感想をワイに

聞かせてもらうためや。『散々な人生やから、あいつら皆殺しにしてくれ!』

とか言われとったら、いっちょう、天変地異のひとつやふたつ起こすつもりで

おったんやけどな。『人類滅ぼすの、やめとってえな! お母ちゃん!』って

言われちゃー、ほなやめとこかー、ってなるわ”


そんな言い方はしていない。


けど、私の発言に、そこまで、地球人類の命運が懸かっていたとは………!

今頃になって、肝が冷える思いだ。


ヒメカと、私の家族、そして日本の漫画・アニメ・ラノベ・ゲーム・映画といった

サブカルチャーに、大感謝である。


“なんせ、自分自身の意見やからな~。これほど信憑性のあるモンの意見は

あらへん。……どや? ワイが人類に手ぇ出すんはやめとく、っちゅー話、

納得いったやろ?”


「あ、はい。納得しました」


コクコクと、〈化身アヴァター〉さんにうなずいてみせる私。

けれどそこでまた、ン……、と、心の中でなにかが引っ掛かる。


「───あ、あの、私の記憶をコピーしたんですよね? それなら、私が、

判定に関わるお願いをするのも、わかってたんじゃないんですか……?」


“まー、そうなるわな~。……でも、ワイのほうはともかく、

あゆらちゃんのほうは、言葉に出して言わんと、納得も理解もできへんやん?

せやから、あえて、あゆらちゃんの口から、言うてもろたんや”


ひ、ひどい……!

こっちは滅茶苦茶に覚悟して、土下座までしたのに────!

そうは思っても、抗議するわけにもいかず、私はうなずいてみせるしか

ないのだった。


「……そうだったんですね。わかりました」


すると、〈化身アヴァター〉さんは、わずかに顔をしかめる。


えっ、ヤバい、なんか怒らせちゃった!?


“あゆらちゃん───────”


「は、はいっ……!」


正座状態のまま、私は緊張して、背筋をのばす。


“なんで敬語のままやねん!? もっとフランクに喋ってぇ~っ!?

寂しぃわー! 悲しいわぁ~! 『お母ちゃん』って呼んでええんやで!?”


ええぇ……。(二回目)


なに言ってんの、この〈神〉。

緊張して損したじゃん。


そうは思っても、相手は私、クトゥルフの本体だ。

言葉を額面どおり受け取って、タメ口なんぞいたら、

『は? しょされたいの?』なんて理不尽にキレられるかもしれない。


あゆら、知ってるよ、『今夜は無礼講!』と上司が言っても、信じてはいけないヤーツ。


「い、いえ、大いなるクトゥルフに対して、分霊体ごときが〈母〉と

お呼びするなど、畏れ多いことです」


まー、ひとまずは、それっぽく、へりくだっておくよね。


“なんやのんそれ~? あゆらちゃんは、ワイの一部同然! でも確かに

五分イーブンやない。ちょ~っとだけランクダウンはしてるかもやけどな~!

けど、大切なのは、フィーリングや! そんなん自分を低ぅ~見積もったらアカン!

ワイらは親子みたいなもん! いいや、親子や! 気ィおかんと、遠慮ナシで

喋ってええのや! さ! コール・ミー! 『お母ちゃん(マミー)』!”


化身アヴァター〉さんは、玉座ごと、正座している私に近づいて、

そうまくしたててきた。


「────そ、それじゃあ、ママ、って呼んでいいです?」


〈お母さん〉っていうのは、人間の私の母、潮なゆらだけの呼び方にしたい。

だから、〈化身アヴァター〉さんに対しては、『ママ』呼びで、区別したかった。


“はふんっ!?”


私が『ママ』呼び許可を求めるや否や、〈化身アヴァター〉さんは、アッパーカットでも

受けたかのように、大きくのけぞった。

なに!? 今度はなんなの……!?


化身アヴァター〉さんは、顔を赤くして、

ちょっと気持ち悪い感じで、ニヤニヤと笑う。


“……ええで───人型に受肉してるからこそ、精神にちょくで感じる

この感覚……これが、〈萌え〉っちゅーヤツやな──────”


………ホントに、何言ってるの、この〈神〉。(二回目、PARTⅡ)

人間の感覚じゃ、ちょっと、理解が追いつかないかもしれない。


“オッケーや、あゆらちゃん! 『ママ、大好き』って言ってみてぇ~な♪

愛情深く! 高らかに!”


「………ま、ママ、大好きっ」


なんだコレ、と思いつつも、格下分霊体の身としては、従うしかない。


“NO! NO! NO! NO! もっと心を込めて! LOVE ME!

CALL ME! I'M MOMMY! ハイ!”


「───っ、ママっ!!! 大好きっ!!!」


両手を組んで、ヤケクソ気味に声を張り上げる。

顔が熱いので、傍から見たら、私、顔真っ赤になってるんじゃなかろうか。


“GOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOODっっっっっ!!!!!

GOODやでっ!!! あゆらちゃんっっっっっ!!!!!”


化身アヴァター〉さん─────ママは、よほど満足したのか、

玉座から飛び降りて、正座している私を抱きしめてきた。

勢い余って、私はそのまま、床に押し倒されてしまう。


結果、私の顔は、そのタップンタプンのおっぱいに、うずもれる格好になった。

……うおおっ!? 柔らかな感触が、スゴい……っっっ!!!


ここがそうっ!? 楽園シャングリラさっ!?

ママのおっぱい天国ヘヴンに召されそう……!


もっとその感触を味わいたい、と思いかけるも、心の片隅から、本日、

ヒメカとキスした記憶が、急速にスライドしてきた。

う、浮気はダメっ! 絶対っ!


「マ、ママ、ちょっと離れて? は、恥ずかしいよ……」


自分の煩悩ぼんのうをなんとか抑えて、なんとか、ママから身を離そうとする。


“なんやあ、このは? 恥ずかしがることなんて、

なんもあらへんがな。────あ。ははァ~ん……ヒメカちゃんへの、

みさお()てかいな。かわええなあ、あゆらちゃんは~”


いきなりバレとる!

記憶を全コピされてるんだもんね! そりゃ小足見てからの洞察も余裕ですわ!


こちらの本心を見抜いてるママは、イイ子、イイ子、とばかりに、

私の頭を撫でながら、抱きしめ続けてくる。


客観的に見たら、ふたりとも水着で抱き合い、床に転がるの図だ。

18禁動画の出だしか。


「ママ、その、まだ、訊きたいことがあるんだけど………」


もう体を離すのは諦めて、そう切り出してみる。


“ん~? お、そうやねえ、あゆらちゃんの、今後についてやろ?”


「う、うん────。私、ママに〈判定〉のための感想、言っちゃったなら、

私が転生した使命は、終わったってことでしょ? 私、これから、どうなるの……?」


ドキドキと、そうたずねた。


用済みだ!、とばかりに滅ぼされたりとか、普通にありそう。

相手が〈邪神〉だけに。


“どうなる、って、どうもせんでええよー? せっかく転生したんやし、

地球でそのまま、チートで無双したりして、おもしろおかしく

暮らしたらええんちゃう?”


「えっ。いいの!?」


あまりにゆるゆるなご返答をいただき、逆にビックリである。


“かまへんかまへん。転生の主な使命も終わって、

あとはボーナスタイムっちゅーヤツ? 〈認識阻害〉の魔法も解除されて、

万人が認める美少女キャラになったんや。そこを売りにして、

アイドル声優目指したってええんやでー”


私の記憶をコピーしてるだけあって、発想がオタクだ。


しかし、そうか、〈認識阻害〉の魔法は、切れたのか。

そうなると、周囲の私を見る目が、俄然がぜん、変わってくるのだろう。


元から、私が可愛く見えてたひとたちはともかく、そうではなかった

有象無象うぞうむぞうの連中の目が。

……なんか、めんどくさそうだし、ちょっと怖いな────────。


“あ、言い忘れとったけど、あゆらちゃんには、〈認識阻害〉の魔法の他に、

魔力隠蔽まりょくいんぺい〉の魔法が、生まれた時から掛かっとるから。

こっちは、あゆらちゃんが生きてるかぎり、ほぼほぼ解除されんもんと

思っといてや?”


「〈魔力隠蔽まりょくいんぺい〉の魔法? え、どうして?」


こちらの魔法も、〈邪神〉知識から、すぐにその効果を理解する。


他者に、自分の魔力を感知されぬようにする魔法だ。

要するに、レーダーに引っ掛からないよう、ステルス・モードになれるヤツ。


“あゆらちゃん、あんたは分霊体とはいえ、このクトゥルフの転生体なんやで?

その体に宿っとる魔力総量は、地球最大と言っても過言やあらへん。チートや、

チート。『オレTUEEEEEEEEE!』とか、余裕でできるねんで”


……うーん、私の記憶をコピーしてるだけあって、発言が(以下略)。


“せやけど、そんなんゴッツイ魔力をひけらかしとったら、トラブルの

元やからな。誘蛾灯みたいに、危ない悪魔やらなんやら、ごっそり

引き寄せかねん。そーゆ~わけで、永続的で常時発動の、

強い〈魔力隠蔽まりょくいんぺい〉魔法が掛かっとるんや。

魔法のエキスパート種族である〈魔女〉のヒメカちゃんも、

あゆらちゃんの魔力には、全然気づいてへんかったやろ?”


あ、そう言われれば。


〈魔女〉なら、魔力の気配には、敏感なはずだろうけど。

ヒメカが、〈邪神〉覚醒した私の魔力の強さに、気づいた素振りは、なかったな。


“あゆらちゃんに掛かっとる〈魔力隠蔽まりょくいんぺい〉は、そんだけ

パーペキ最強、っちゅーわけ。……なんやけど、デメリットもある。

そのせいであゆらちゃん自身は、魔力に対する感知を、ほとんどでけへん、

ってことや”


えっ。

それって、まずいのでは?


“現に、あゆらちゃん、〈魔女〉であるヒメカちゃんの魔力がどれくらいの

もんか、感じとれんかったやろ? それこそ、間近で魔法が発動するまで、

魔法の使い手だとは、まったく思っとらんかったようやし”


公園でヒメカが、〈人()け〉の結界魔法を使った時のことか。

確かに、ヒメカが魔法を使うまで、魔力の“ま”の字も頭に浮かんでこなかった。


“まあ、これは、最強チートの代償とでも思って、諦めてもらうしかないわな。

〈敵〉から、簡単に目ェつけられたりしたら、困るやろ?”


「え、〈敵〉って……? そんなの、いるの?」


“そんなん、いるに決まっとるやん”


そう言って、ママは、立ち上がる。

それから、ふよふよと浮いている玉座を無言で呼び寄せ、

それに腰を下ろした。


私も体を起こして、今度はアヒル座りで、ママに向き直る。


ママは、改めたように、キリリとした顔をして、言った。


“我が名は〈ルルイエの主〉、大いなるクトゥルフ。────地球は狙われている……っ!”

ラヴクラフト先生、マジでごめん(^ω^;)

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