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邪神転生ガール  作者: megajoy
11/32

転11 〈邪神〉だけど、〈本体〉に直談判。

イマサラですが、ラヴクラフト先生、本当、ごめんなさい(^ω^;)

はるばる来たぜ、海水浴場!


とは言っても、深夜だから、ひとっこ一人いやしないけどね!

これが真夏だったら、渚で雰囲気出して、アレやコレやする

カップルもいるんだろうけれど。


……今年の夏は、私もヒメカと海で、アレやコレやするぞっ!!!

フンス!、と夜空の中、ひとり鼻息荒くする私だ。


志の勢いそのままに、海へ向かってまっしぐらに飛ぶ。

そして、ググンと高度を下げて、スピードをまったく落とさずに、

ザブンと着水。


芸術点ウルトラCの、飛びこみフォルムであった。

昨日までの私じゃ、絶対にできない芸当である。


いやまあ、高々度の空から海に飛びこむ、なんて真似自体、

以前ならできやしない、というか、不可能レベルだけれども。

それを言うなら、夜の海に潜る、なんてこと自体も、

人間的には自殺行為だし。


常人の肉眼では、光のない海の中は、暗黒そのもの。


ところが、私の〈邪神〉アイときたら、自動的に海中モードに変わって、

視界はクリア。

泳ぐ魚群も、くっきりハッキリと見えている。


ってゆーか、私、海じゃあ、ゴーグルつけないと、

素潜りもできなかったんだけどな。


〈水〉の〈神〉、クトゥルフ様々である。

いや、私なんだけどさ、分霊体だけど。


呼吸の問題も同様で、〈水〉の〈神〉、〈邪神〉ボディには

ノー・プロブレム。

この先、なにかしらヘマをブッこいて私が死ぬとしても、

溺死という未来はありえないようだ。


海中を潜行移動しているのも、〈邪神〉パワーの念動推進力によるもの。


今、水深何メートルくらいかな?

着水してからも、猛スピードで飛ばしていたので、位置的には

もうとっくに、海底100メートルくらいの沖合だろうか。


〈邪神〉知識からすると、海に潜ってさえいれば、

本体と交信可能になるはず。

でも、念のために、深海と言える深さまで潜っておこう。


そこで、水圧のことを思い出した。

人間が生身で海に潜れるのは、ギネス記録、深さ120メートルが

限度だっけ?


私の〈邪神〉ボディが、あまりにも普通に潜れてしまっているので、

まったく気にしていなかった。

まあ、いまさらな話か。


魚群をあっちこっち目にしながら、ひたすら深く、静かに潜行。

─────お金に困ったら、〈邪神〉パワーでマグロ漁しちゃおうかな、

とか、バカなことを考えながら。


いやいや、バカなことじゃないよな。

ヒメカと結婚するなら、ちゃんと稼がないといけないし。


ヒメカの家って、お金持ちなのかしら。

そうだとしたら、ある程度はリッチになってないと、まずくない?


ヒメカに養われるヒモとか、そんなの、私の小心者マインドが

ちそうにない。

あれあれ? 本気で〈邪神〉パワーによる商売、考えたほうがいいかも?


……待て待て待て、〈邪神〉パワーでズルしてお金儲けとか、ヒメカは、

快く思わない気がする。

真っ当に勉強して、普通に就職するしか!


う~ん、でも私ときたら、なにか一芸秀でてるというわけでなし………。

公務員を目指すか! 今ならもれなく〈邪神〉ボディで頑丈だし、

婦警っていうのもアリじゃない!?


って、結局〈邪神〉パワー頼みやんけ!

などと、脳内ひとりツッコミしているうちに、いよいよ大陸棚を

とっくに越えて水深400メートル(たぶん)といったところに

到達していた。


私は目を閉じて、地球の霊脈────星をめぐるエネルギーの流れに、

意識を集中する。


感覚的に、『ココ、Wi-fi使えます?』って、旅行先のレストランで、

店員さんにおたずねしてる感じ。

……返ってきた答は、『はい、使えますよ』という感覚。


よし───────。


私は、なんとなく、胸の前で、祈るように両手を組んで、交信を始める。

深海の底、海底都市ルルイエに封印されている、私の本体、

〈邪神〉クトゥルフに向かって。


ええっと……緯度経度・49,51、128,34をダイヤル指定して、

思念を送信、っと………。


(もしもし、こちら、私です。本体の〈私〉、聞こえますか~?)


──────────────────────────────────。


返事がない。


(……もしもーし? 聞こえたら、お返事お願いしま~す! もーしも~し?)


──────────────────────────────────。


またも、返事がない。

………おっかしいなあ?

〈邪神〉知識的には、やり方間違ってないハズなんだけど。


(もしもしー? こちらは人間……ええっと、日本の女子に転生してる、

あなたの分霊で~す! もしも~し!)


──────────────────────────────────。


やはり、返事がない。

う~ん、“死したるように眠りて夢紡ぎし”って人間から言われてるし、

反応が鈍いのも仕方ないかな?


(も~しも~し! 私、私ですけどー! こんばんわ~!

ちょっとでいいですから、起きて、お返事くださ~い!)









(((じゃ か あっ しゃぁ ア ホ ン ダ ラァっっっ!!!!!)))









根気強く思念を送信し続けようと思っていたところに、私の精神内で、

思念返信の爆発が起こった。

あまりの思念エネルギーの強さに、気を失いかける。


熟練の魔導師とかでも、たぶん脳が弾け飛んでしまうほどのエネルギー量だ。

私じゃなかったら、即死レベル……!


(((ヒトが気持ちよォ寝とるっちゅーに、いきなしギャンギャンギャンギャン

さえずりやがってアホボケカス!!!!! 今何時やと思ってンねん

このボンクラァっ!!!!! なんやぁ!?!?!?

新手のオレオレ詐欺かいな!!!!! そんなもんに引っ掛かる

ワイやないで!!!!! おととい来んかィい、アンポンタン!!!!!

こちとら、屁の突っ張りはいらんのじゃァッっっ!!!!!)))


続けざま、一気呵成に思念で怒鳴りつけられ、頭がグワングワンしてきた。

精神へ連続して襲いくる衝撃に、意識を手放しかけそうになる。


ちょっ、やば、ここで気絶したら、今夜中に、

家に戻れなくなるかもしれない………!


ヒメカ、私に、力を──────────!!!

公園でキスした時の、ヒメカの唇と、体の柔らかさを思い出し、

なんとか踏ん張った。


…………………………………………よし!

でも、どうする!?


〈邪神〉クトゥルフ本体と交信できたようだけれど、向こうはなんだか

激おこプンプン丸のようだ!?

眠ってるトコロを、突然、声を掛けられて起こされたら、無理もないか!


────ってゆーか、なんで神様が猛虎弁(エセ関西弁)

私がネット好きなせいか!?


精神に即死レベルの負荷がかかったせいか、ぐるぐると混乱して、

どう対処したらいいか、考えがまとまらない。


(((ン………)))


こちらが、なにも思考発信できずにいると、向こう側で、

そんな呟きをもらしたような気がした。


(((なんやあ、自分、人間に転生しとるワイやないか。どしたん?

星辰も揃わんと交信でんわしてきて)))


よかった、気づいてくれた……!

あのまま精神にストライクな思念が入り続けてたら、

さすがの〈邪神〉ボディでも危なかった。


死にはしないだろうけど、気絶したあと、深海の海流に流されて、

オホーツクやら、ハワイ近くまで漂流しちゃってたかもしれない。


私は、本体に向かって、こちらの現状の説明を試みようとする。


(あ、あの、私、人間に転生してることで、こっちの記憶に不都合というか、

問題が起こってて、それで……)


(((あーそーゆーことね。完全に理解したわ)))


えっ、早っ。

ちょっと待って、それ絶対にわかってないヤツの台詞じゃない!?


(((とりま、こっちでよっと話聞いたるから。ちょい待ったりぃな)))


(へ?)


どういうことなのか、確認する間もない。


本体側の発信ことばが終わるや否や、私は、周囲に光を感じた。

私は目をつぶったままなのに、その光量は、まぶしくて目が潰れそう、

と思えるほど。


───────不意に、重力感が、全身を襲う。


その感覚に、立ちくらみしながら目を開けると、私は地に足を着けて、

見知らぬ場所に立っていた。

海の底かと思ったけれど、空気のある空間で、海水は、

どこにも見当たらない。


ただ、濡れた私の体とスク水に、その名残を残すばかりである。

どうやら、〈邪神〉クトゥルフ本体が、私を魔法で空間転移させたようだった。


周囲を見渡すと、巨大な石柱が列を成す、呆れるほど天井が高い、

石造りの建物の中らしい。

そして、建物内だというのに、いったいどこに光源があるのか、

お日様の下であるかのように、明るい。


石柱や、建物壁面の装飾は、渦巻き風というか、おどろおどろしくて、

雰囲気的に〈邪教の神殿〉って感じ。


いかにも〈邪神〉クトゥルフにまつわる場所、みたいな。

普通の人間だったら、なにやら不気味な印象を覚えるのかもしれない。


けれど私は、懐かしい感じがしちゃってたりする。

やっぱ自分はクトゥルフの分霊体なんだな、と、改めて思っちゃう私だ。


それと同時に、この場所がどこか、察してしまう。

おそらく、深き海の底に沈んだ、遥かいにしえの都────

ルルイエの大神殿に違いない。


ひとりしみじみと感じ入っていると、ブーン、という冷蔵庫が出すような、

鈍い機械音を耳にする。

天井のほうから聞こえたので、そちらを見上げると、巨大な、

白い光の渦が生じていた。


その中心から、これまた巨大な、表面に光沢をたたえる白い球体が、

ゆっくりと降下してくる。

それはまるで、お月様が昼日中、お忍びで地上に降りてくるかのよう。


天井の光の渦が消え失せると、球体は、私の頭上3メートルくらいの

高さで、停止した。


その球体の表面が、グニャリと歪む。

球体の中心から、左右に半分、鳥が翼を広げるように、形を変えていった。


その中から、現れ出でる者あり。


腰元まである、長い黄金の髪を持つ女性であった。

瞳の色は、翡翠色。


白肌の、絶世の美女だった。


ヒメカが〈天使〉なら、こちらの女性は〈女神〉と形容したくなるほどの。

まったくもって、私好みの、金髪美女であった。


その姿が、凄い。


ギラギラしたラメの入った緑色の、いわゆる、スリングショットと

言われる水着を着ている。

全裸より卑猥と、(私の中で)定評のある水着だ。


そんなキワッキワな水着では、隠しようのない、セクシー・ボディ。


おっぱいは、タップンタプンで、お尻はプリンップリン。

刺激が強すぎて、目に毒なんだけど、逆にガン見しちゃうね、エロすぎて。


そんな私を見て、美女は、愉快そうに笑って、言った。


“おはようさん、あゆらちゃん”


「あっ、ハイ、おはようございます」


軽いノリだったので、私は素で、反射的にそう挨拶を返してしまう。


『おはようございます』て。

芸能界か!


────って、あれ? 私の名前………。


“さっきの交信でんわで、精神も同期リンクしたさかいな。

あゆらちゃんの記憶もバッチリやで”


こちらの心を見透かしたように、美女は、ニヤリと笑った。


その言葉で、理解する。

この絶世の美女は、クトゥルフ本体の、〈化身アヴァター〉だ。


一度の交信で、こちらの記憶と情報を、完全コピーしたのだろう。


そっか、それなら、話も早くなって、助かるかな。

そう思いかけて、ン……、と、なにか心の中で引っ掛かった。


「え……っと、そ、それじゃ、ひょっとして、私の趣味とか、その……」


“うん♪ 全部、マルッとお見通しやんね♪”


ピシッ、と私の心が、凍りつく。

そそそそそれって、まさか、私の秘密とかも────────────!?


“───アカンよ、あゆらちゃん。あんたまだ、未成年やろ?

いくら好きや言うたかて、18禁の同人鬼畜エロゲで、ヒメカちゃんに似た

姫騎士ヒロインをりょうじょ…”


「んニャア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛──────────────────────────!?!?!?」


思わず、頭を抱えて絶叫してしまった。

これまでの人生において、かつて出したことのない音域で。


ヤだもう、お嫁に行けない………。

いや、嫁はヒメカをもらうつもりだけど、とにかくお嫁に行けない─────!


涙目で、床にヘタりこんでしまう。


“あーあー、泣かんでええ、泣かんでええ。じょーだんよ、冗談。

ええんやで、人間はみんなエッチぃ生き物やさかいな。少子化日本、むしろ、

それくらいド変態エッチぃんで、ちょうどええんとちゃう?”


化身アヴァター〉さんが、あやすように、そうフォローを入れてきた。

………全っ然、心が軽くならねえ─────っ!


同じジャンルのエロゲを片っ端からプレイし、ヒメカっぽいヒロインたちで、

その……シたのを一から十まで把握されてるとか。


どんな拷問だよ!

恥ずかしすぎて、死にたいんだけど……!?


“どーせあんた実際、ゆくゆくはヒメカちゃんと、コトに及ぶ気でおるんやろ?

なら、そういう気構え万全、ってことでええやないの。────せや、男の

アレのやし方、わかっとる? ヒメカちゃんとするんやったら、

あったほうがええやろ? 思い出せんなら、教えといたろか?”


「!? その話、kwsk(くわしく)っっっ!!!」


“……えらい勢いで喰いついてきよったな、このは”


化身アヴァター〉さんは、秒で復活した私に、そう苦笑してきた。


“それはそれで、あとできちんと教えたるとして。─────本題に入ろか?”


はっ。

そうだった。


男のアレのやし方も、すごく気になるところだけれど。

クトゥルフ本体と接触した本来の目的を、果たさなければ。


私は、変形した球体───宙に浮かぶ、翼ある玉座に見える───に立つ、

化身アヴァター〉さんに向かって、床の上で、居住まいを正した。

それから、両手をついて、丁寧に、頭を下げる。


土下座。

人生で初めての、真剣マジ土下座であった。


「お願いします、私の〈本体〉、大いなるクトゥルフ」


心臓が、バクバクと音を立てだした。

分霊体の分際で、こんなことを言えば、どうなるかわからない。


それでも、私は、ヒメカのために、大切な家族や、友人たちのために。

伏して、懇願するしか、なかった。


───────たとえ、この身を、滅ぼされたとしても。


私は意を決して、口を開いた。


「どうか、地球の人類を滅ぼすのは、思いとどまってください……………!!!」

あゆらちゃん、渾身のDOGEZA……!地球人類の運命やいかに!?緊迫の次回へ続く!

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