プロローグ
実質初投稿です。
もともと別サイトで書いていたもののリメイクとなります、ただ展開が結構変わっているので別物です(一緒なのはタイトル、名前、設定くらい)です。
ラブコメはいいぞ!
これは、妹が義妹になる物語だ。
突然だが自己紹介から入らせてもらおう、俺の名前は柏木千春。女の子みたいな名前だがれっきとした男だ、ちなみに今年から高校3年生。今まで一度しか休んだことがないのが取り柄ないわゆる「平凡な高校生」ってやつだ、フリじゃないぞ。そして今ソファーに座っている美少女が妹の柏木 花、超可愛い自慢の妹だ、こちらは今年から高校1年生。
「ちょっとなにジロジロ見てんの?」
ちなみに嫌われてます、ただの反抗期だと信じたいな、これでも話せるだけましなんだぜ?2年前は全くと行ってもいいほどに口聞いてくれなかったからな
ちょっと傷つきながらも花に返答する。
「別に、そんなことより急がないと学校遅刻するぞ」
「いちいち言わなくてもわかってるから」
やれやれ……と言いながら自分の準備をする。そして2人で家を出た、すると母さんが「いってらっしゃ~い」と言いながら見送る、これがうちの日常だった。
登校中の電車内、とりあえず話しかけてみる。
「えーと、学校は慣れたか?」
「別に、どうでもいいでしょ」
「はい」
さっきも言ったんだが、花は多分反抗期だ、それも俺にだけ。父さんや母さんには普通なのに、なぜか俺にだけは冷たい。たまに無視してくるしやっぱり嫌われてるのかな?いや違うと信じたい。
「それとさ、その......学校では話しかけないでね。それとできるだけ教室にも来ないでほしい」
なんか酷いこと言われた、兄妹と思われたくないってレベルのこと言われた気がする。
「わかりました」
「じゃあ、そういうことで」
「2人とも、ちょっとそこ座って?」
夕飯の後、父さんは俺らにそう言って、珍しく暗いペースで続ける。
「実は父さん転勤することになったんだ。」
「転勤⁉マジかよ……」
最初に来たのは驚き、そして動揺と焦りだった。
「うん、それでね、結構遠いところだから一緒に行くか残るかを選んで欲しいんだ」
「ちなみにどこなの?」
「イタリア」
「「イタリア!!??」」
思わず花とハモってしまった。結構遠いって言っても国内だと思うじゃん、まさか10000㎞も離れてるとは思わないじゃん。
「それで?いつから向こうに行くんだよ」
「まあ......日曜日かな?」
「えっっっと、それはいつの日曜日?まさかとは思うけど次のじゃ......」
「次のだね」
「ふザッっっっっけんな!!早すぎだろ!なんでもっと早く言わないんだよ!?」
「えっと……サプライズ?」
そう答えた父さんの顔にはさっきまでの暗い表情は一切無い。
「要らんわそんなん、えっと今日が木曜日だから......って3日後じゃねえか!!」
この親は色々大丈夫かと心配になってしまう。だって普通いないだろ、3日前まで海外に転勤することを言わない親なんてよ。
「ちなみにどのくらいの期間なの?」
「詳しくは分からないけどだいたい2,3年くらいだとは……」
「まあ妥当だわな」
流石に海外だし数年は覚悟していた。
「まあ長くてもだし、正月とかは帰ってくるから」
だからって急すぎないか?
「てことは一緒に行くんだったら高校は転校しなきゃってこと?」と、花
いや転校どころじゃないよ、国が違うんだから。
「そういうことだな」
父さんが答えると花ははっきりと答えた。
「じゃあ残る!さすがに数週間もたってないのに転校なんてやだから」
「俺も残るよ、英語ならともかくイタリア語はあんまりだし、なにより花を一人残しては行けないしね。」
「そうか……じゃあわかった、2人とも家をたのんだぞ」
「たのんだぞって、母さんもいるんだしそんな大袈裟な……」
「いや母さんもイタリア行くぞ?」
「噓でしょ⁉」
「残念ながら本当だ。」
まじかよ、てことはこの家に花と2人暮らしってことか?そんなの…………………………
最っ高じゃねえか!この超超超絶美少女である妹と!おそらく数年間も2人暮らしって!!!!夢か?これは夢なのか!?
ここは興奮を抑えてあくまで冷静に返す。
「俺はそれでもいいぞ、まあ花がいいならだけど」
「私もまあ、兄貴がいいなら……」
あら意外。花のことだから「兄貴と2人きりならやだ!」とか言われるとおもってたのに。まあそれ以上にイタリアが嫌なのだろう。
「じゃあ決まりだな、まあこれから3日間ちょっと忙しくなるかもしれないがそこんとこよろしくな」
「まあいいけど、てかイタリアまでの準備がたった3日で足りるのか?」
「そのことなら心配ないよ、だいたい2週間前からこつこつ準備をしてきたから..........」
「確信犯じゃねえか!!」
「だから言っただろ、サプライズだって。どう?驚いた?」
まるでいたずらに成功した子供みたいな目で聞いてくる父さんに二人で怒鳴る。
「「ふざけんな!」」
衝撃の家族会議から1時間後、俺は部屋で考えていた。
「これからどうすりゃいいんだよ..........」
そう、簡単な料理や洗濯、掃除なら俺でもできる。ただそれをすべてやるのは無理だ。ただでさえ高校最後で忙しい中、それにプラスで家事をやるのは..........はっきり言ってほぼ不可能だ。
では花に半分やってもらう?それも厳しいだろう。俺はほぼ幽霊部員だから時間が大量にあるが、花はちゃんと部活に入るだろう。そして何より花に余計なことを考えてほしくない。
「もう俺が気合い入れて頑張るしかないか..........」
そうだ、やってみれば意外と大丈夫かもしれない。というか今はそう考えるしかない。
そんな風に悩んでいると部屋のドアをコンコン、と叩く音がした。
「兄貴、今大丈夫?」
ノックしたのは花だった。俺は急いで部屋を見渡す。
(変なものは......無いな!よし。)
「大丈夫だぞ」
そう答えると花は「お邪魔しまーす」と言って部屋に入ってきた。
花が俺の部屋に入るのなんて数年ぶりで、思わず緊張してしまう。
「き、急にどうしたんだ?」
多少吃りながら聞くと花はゆっくりとその場に座りながら答える。
「兄貴お母さんたちが行ったあとどうするつもり?」
「どうするって、何を?」
「そんなのいろいろよ、家のこととか」
「あ、そういうことか。とりあえず俺が全部やる予定でいるから安心」
しろ。と言おうとしたときだった。
「そういうのいいから。兄貴今年3年でしょ?勉強忙しいよね?」
「まあそうだけど、お前だって部活とか入って忙しくなるだろ?」
「入らない」
「..........へ?」
「だから部活には入らないから。一応だけど家事をやるためじゃないから。元々決めてたことだから」
だから気にしないで、と言うがそれでも「ならよろしく」と言えるほど甘える訳には行かない。
「本当にいいのか?お前は運動神経いいんだし、手先も器用だし可愛いから絶対やった方がいいと思うんだけど」
「そんなの私の勝手で..........てか可愛くないし、部活と関係ないし」
花は急に小声になって否定した。
「いや関係あるね。可愛い方が圧倒的に特だ。それに花は愛嬌があるからコミュニケーションがとりやすい、なんつーか話しかけやすいんだよ。あと花は可愛いからな。それは否定しない。花は可愛い。」
「可愛い可愛い言うな!!」
「いや実際可愛いし」
「ぅ~っさいバカ!死ね!」
花はなんか真っ赤になって悶えている。
「とにかく、私部活には入らないから、いい?」
「まあいいけど、もし入りたくなったら気にしないで入っていいからな?」ぶっちゃけ思ったことをそのまま言っただけだがさすがに失言だったか。
「うん......ってそんなことより、どうすんの!?」
「どうするって何を?」
「なんで忘れてんのよ。お母さんたちが行ったあとどうするかって話でしょ!」
「あ、そうだった」
花が可愛すぎて忘れてたぜ、マジで。
「だから俺は全部1人で良いって言ってんだけど」
「それはダメだってば、せめて少しくらい振り分けて!」
「えぇ、しょうがないなぁ」
そう言って俺は部屋の奥からホワイトボードを取り出すとそこに書き始めた。
「かんせーい、これでいいか?」
「どれどれ?」
俺→料理、洗濯、掃除
花→皿洗い
「どうだ!って痛い痛い!!」
花は俺の髪の毛をつかんでそのまま引っ張ってきた。
「ちょっとまじで痛いって!なに考えてんの!?」
「それはこっちの台詞よアホ兄貴!何よ皿洗いだけって、ほとんどないのと変わらないじゃない!」
「そうか?じゃあ風呂掃除も..........」
「変わらない!」
「えぇ......てかそろそろハゲるから髪引っ張るのやめてもらっていいですか?」
「あ、ごめんなさい」
そういうと花はつかんでいた髪の毛をパッと放した。
「じゃあどうすればいいんだよ?」
「もうちょっとまともなものをやらせてよ!」
「まともなのって、じゃあ花はなにやりたいんだよ?」
「じゃあ洗濯......かな?」
「わかった、じゃあ花は洗濯、俺はそれ以外ってことで..........」
「なんで他のがなくなってんのよ」
「そんなの洗濯してもらうからに決まってるだろ」
当然だろ?とでもいいたげな千春に花はさらに呆れたように返した。
「…………もういいや、せめてどってかだけでもやらせて」
「逆になんでそんなにやりたいんだ?正直めんどくさいし今までやってた訳でもないだろ」
「いやそれは……その、えっと」
「なんでそんなにハギレ悪いんだよ、もっとはっきり言え」
「あう……えっと、そう!心配だから、兄貴に任せると心配だから!」
「酷くない?」
「うっさいバカ」
まあ理由を聞けただけで良しとするか、となると下手に難しいのだけ俺がやるのはダメだろうしかと言って花にやらせるのは気が引ける。
「じゃあもういいわよ、私が料理と洗濯するから兄貴それ以外やって」
「多くないか?俺どっちかやろっか?」
「いいよ、兄貴料理してんの見たことないし、洗濯物見られたくないし」
「それもそうか、じゃあそれでいこっか」
「了解。じゃあ私お風呂入ってくるから」
「おう」
そう言って花は部屋から出ていった。
そして俺は3日後から始まる花との二人暮しに対して期待と不安を感じながら、ホワイトボードを片付けた。
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