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【アガット暦130年 6月3日】
この日、国王から謁見を申し立てられた。
ヒラノバ市の仮の宮殿へ赴いた……
と言っても、一般市民が住んでいるような一戸建ての家だ。
国王自身、『質素な暮らし』には深く興味があると聞いている……その表れだろう。
……まあ、それはさておきだ。
謁見室へ案内されると、そこには国王と側近のハリャン氏が待ち構えていた。
話の内容だが、どうやら国王の疎開についてだ。
「なぜ、ライターである私にそのお話を」
と問うと
『前回と今回の、戦争を見つめてきたそなたに聞きたい』と国王は仰った。
自分は悩んだ。
重要な話を、まさか一般市民の自分に聞くとは思いもよらなかった。
逆を言うと、もう……。
その場で色々悩んだが、自分は『疎開を選ぶべき』と答えた。
理由は……戦争の最前線を見れば分かる。いつ国王が狙われるか分からない。
だとしたら、安全圏に逃げ込んだ方が良いだろう……そう考えた。
それを聞いた国王とハリャン氏は、疎開を進めることに決めた。