『創造神話』
神は、ただあった。そこに。
彼は完全で。無限であった。
地もあった。天もあった。全ては神の元、泰平に存在した。
しかし彼は完全である故に、不完全という矛盾を持っていた。
そうしていつの頃か、神は自分を創り出そうとする。
唯一知ることのできぬ自分という存在を。
不完全を補うための存在を。
そして、うまれたのが花の女神フィオーレである。
かの女神は、しかし「神」ではなかった。
「死」を持つ、不完全な存在であった。
そして、神は木、水、火、土、風を生み出した。
しかし彼らもまた、完全ではなかった。
女神の生は消えていく、一方である。
そしてある日、女神は地を見下ろしていった。
地に降りましょうと。
神と同一でない存在が天にあるのは相応しくない。
終わりを司るものは地に、
始まりを司るものは天にてありましょうと。
神はそれを許そうとはしなかったが、女神の気持ちは変わらなかった。
神は女神のために、その体に光をもたらした。
暗がりの中でもその光を頼りに生きなさいと。
そして地上で、神と女神の子として生まれたのが光である。
神の愛から生まれたものが光だとして、闇は女神が地に降りてしまった、神の悲しみから作り出したものだとされている。
そして神は、悲しみの涙を流し続けているという。
創造神話:第一章一部




