第7話 スピネル観光2
三人で歩きながら相談して、次に行く場所を決めていると…ふと、ロータンゼちゃんが足を止めて私とガイの方をじっと見つめていた。
「どうしたの?ロータンゼちゃん何か見つけた?」
私は、ロータンゼちゃんが、ふと足を止めたのは、何か珍しい物でも見つけたのかなと思っていたけれど、そうでは、無かったみたいだった。
「ううん…ふとね…ガイちゃんとリナリアちゃんのお揃いの蝶々のヘアピンがちょっと羨ましいと思ったの…」
ロータンゼちゃんの少し落ち込んでいる姿を見て、ガイと私は、アイコンタクトを取りお互いに考えている事が一緒だったみたいで、ガイと私は、頭に着けている蝶々のヘアピンを一つ外してロータンゼちゃんにプレゼントすることにした。
「じゃあ、俺からロータンゼちゃんに青の蝶々のヘアピンをプレゼントするから」
ガイは、しゃがんでからロータンゼちゃんに目線を合わせて、ロータンゼちゃんの左の額の上くらいに黒い蝶々のヘアピンを着けていた。
「私も黒い蝶々のヘアピンをロータンゼちゃんにプレゼントするね」
私もしゃがんでから、ロータンゼちゃんの右の額の上くらいに黒の蝶々のヘアピンを着けた。ロータンゼちゃんの水色の髪には、青の蝶々のヘアピンと黒の蝶々のヘアピンは、良く似合っていた。
「え……本当に良いの?ガイちゃんリナリアちゃん……二人にとって大切な宝物でしょ…」
確かにガイと私には、大切な思い出のヘアピンだけど…私とガイがこうやってハスの村で早く馴染む事が出来たのも、ロータンゼちゃんが私とガイに最初に声を掛けてくれて、ハスの村の人とも仲良くなりやすいきっかけを作ってくれて、感謝しきれないくらいに色々ロータンゼちゃんから貰っているものが多いので、ヘアピンを渡しても良いと思えるくらいに今は、大好きになっていた。
「大切なものだけど…それより…ロータンゼちゃんの方が大切だし…三人が揃わないと二つの蝶々のヘアピンが初めて揃わないのも何か良くない?」
「俺も良いと思う。三人での思い出は、またこれから積み上げて行ったら良いと思う」
「ありがとう、ずっと大切にするね。これからも仲良くしてね」
ロータンゼちゃんは、蝶々のヘアピンが気に入ったのか、ずっと額の上に着けてあるヘアピンをずっと触っていた。 そして、私たち三人の関係は、もう少し一段と深くなれたような気がした。
それから、私とガイがアルバイトをしている。ナノハナ食堂に、ご飯を食べに行くことにした。私とガイが初めてナノハナ食堂にアルバイトに行った日に、カンナ店長がまかない料理でカツカレーを出してくれて、初めてカツカレーを食べた日から、私は、カツカレーにハマっていて、アルバイトを始めて三か月だけど、アルバイトのある日は、ほとんどカツカレーを食べるほどに好きになっていた。
「ガイとリナリアと初めて見る可愛いお嬢さんいらっしゃい…今日は、三人でお出かけ?」
「私は、ロータンゼって言うのお姉さん宜しくね。ガイちゃんとリナリアちゃんのお友達なの」
「ロータンゼちゃんって言うのね。宜しくね。私は、カンナっていうの良かったら覚えてね。ガイとリナリアとこれからも仲良くしてね」
カンナ店長は、何だかんだで面倒見が良いので、私とガイは、その優しさにいつも救われていた。
「カンナの店長のカツカレーが食べたくて堪らないってリナリアが言うので、寄らせて貰いました」
「ちょっとガイ…本当の事だけど、ちょっと恥ずかしいから…」
私は、恥ずかしさを誤魔化すために両手でグーを作って、ガイの肩をポンポンポンと素早く叩いているとカンナ店長は、笑顔で私とガイとのやり取りを見ていた。
「本当に二人は、見てて気持ちが良いくらいに仲が良いし…見てて和むよ」
「カンナちゃん私もそう思う。ガイちゃんとリナリアちゃん本当に仲が良いよね」
それから少しの間、私とガイは、カンナ店長とロータンゼちゃんは、いじられ続けて…ロータンゼちゃんとカンナ店長は、どこかに似ている雰囲気があり、二人ともすぐに打ち解けていた。
ナノハナ食堂には、色々とメニューが豊富にあって選ぶのが迷うくらいには、多いけど…ガイもロータンゼちゃんも別のメニューでは、無く私と同じカツカレーにしていた。
「カンナ店長の作るカツカレーは、やっぱり最高に美味しい…」
カツのサクサク感とカレーがマッチして、言葉では、言い表せれない美味しさが私がカツカレにハマっている理由の一つだ。
「カレー辛口も美味しいんだけどな…リナリアは、頑なに甘口しか選んでくれないんだよな」
「あのね…ガイ…カレーは、甘口が一番美味しく食べられるし…カツにも合うんだから…甘いのは、正義なの」
私は、ガイにカレーの辛口を一口分けて貰った事があったけど…辛すぎてカレーの味が良く分からなくて…しばらく下もピリピリ痺れてから…カレーは、甘口しか食べないと、謎の誓いを私の中作っていた。
「カレーは、甘いのも辛いのも美味しいもん」
ロータンゼちゃんは、右手の親指を縦ながらGoodポーズをして、私とガイにそう言っていた。
カンナ店長は、私たち三人の会話を聞いていて、近づいて来た。
「ロータンゼちゃんの両方美味しいが正解だよ…甘口と辛口には、両方に良さがあるから…両方食べられる方がむしろ贅沢な気がして私は、良いと思う…」
お客さんも今日は、少なかったのもあって、カンナ店長と私たち三人でカレーについてしばらく話あった後、また私たちは、カンナ店長に見送られながら観光に戻る事にした。それで、私たちの観光は、ロータンゼちゃんの気になったアクセサリーショップに行き、私が食べたいと言ったカツカレーをナノハナ食堂に食べに行き、最後は、ガイの行きたいと思った所に行こうと言う話になっていた。
(俺が行きたい場所か…何年も研究所に籠ってた時は、そう思わなかったけど、幼い時に良く釣りをしていたし…たまには、釣りも良いかもな。確かスピネルの街では、海沿いに釣り具をレンタルしてくれる所があったはずだよな。)
「久々に釣りがしたいから海沿いに行こう。釣り具もレンタルしてくれるはずだから」
「やったことないから楽しそう…うん、行こう」
二人は、釣りがやった事が無いので楽しみみたいでひとまず安心できた。
海沿いに着いてから、お店で初心者にオススメの釣り具を借りてから、海に向かいロータンゼちゃんとリナリアに釣りの仕方を教えてから、魚が来るのを三人で待っていた。
「ガイ…魚来ないね…」
「ガイちゃん全く魚が来ないよ…」
二人とも魚が来なくて少し退屈をしているようだった…
「釣れるのが一番楽しいかもしれないけど…魚が来る間に他の人とのコミュニケーションをとったり、どうすれば釣れるとか、どのポイントだと連れやすいかもしれないとか考えるのも釣りの醍醐味なんだぞ」
ちょっとでも、釣りの楽しさがリナリアとロータンゼちゃんに伝わるように出来るだけ、濃い説明をしていた。
それから、二人は、釣りばかりに集中するのでは、無くてお話をしたり風景を眺めたり、ボーーっとしたりしていた。結局三人とも魚を釣る事は、出来なかったけど…リナリアもロータンゼちゃんも釣りの楽しさを分かってくれたみたいで、またやりたいと言ってくれたので少しホッとした気分だった。俺も俺で久々の釣りで昔を色々思い出せて、まあ良かったと思えた。
釣りを終えると結構遅い時間になっていたので、私たちは、ハスの村に帰ってロータンゼちゃんとも別れて、またどこかに行こうと約束をして別れた。
私は、過去にガイの過去の事を聞いた事があるけど…昔は、今よりも外に出ていたとしか言ってくれないので、私を生み出した経緯が気になったので改めてガイの過去について聞いてみることにしてみた。
「改めてガイに聞くけど、私を生み出そうと思ったきっかけって何?」
「今日は、話しても良い気分な気がするし…話しても良いかな」
ガイが話してくれる気になっているので過去の話を聞くことになった…