第6話 スピネルの街の観光1
それから数か月して私とガイは、アルバイトにも慣れて来たので…少し出掛けようと思う余裕が出来ていたので、スピネルの街に出掛ける為に準備をしていると、ロータンゼちゃんが訪ねて来た。
「ガイちゃんとリナリアちゃんは、今日はスピネルの街に出かけるって言ってたよね」
数か月の内にロータンゼちゃんとの距離もかなり近づいてほぼ毎日、私とガイの居る家に遊びに来ていた。
「そうだよーアルバイトも慣れて来たから、スピネルの街に少し観光に行こうと思ってるの」
「私も付いて行って良いかな?」
ロータンゼちゃんは、キラキラ目を光らして私とガイをジッと見つめていた。私たちとスピネルの街に行きたくて仕方が無いような感じなのかな…
「ロータンゼちゃんのお父さんとお母さんに出かける許可を貰わないと連れては、いけないよー」
両親の許可なくロータンゼちゃんを連れて行くと心配する可能性があるから…私たちが良くてもロータンゼちゃんの両親が駄目だと言うと連れていけなくなるのでそこは、大事だと思った。
「ガイちゃん、それは、大丈夫だよ。ちゃんとお父さんとお母さんに許可貰えたから、ガイちゃんとリナリアちゃんが居るなら心配無いって言ってたよ」
ロータンゼちゃんの準備が良すぎる事にびっくりしていた。十歳くらいだとは、思えないくらいの準備の良さでガイと私は、終始驚いていた。
「それなら良いんだけど、もう少ししたら出発するから…ちょっとだけ待っててね」
私とガイの準備をしている間、ロータンゼちゃんは、椅子に座って足をバタバタしながら待ってくれていた。
私とガイの準備が終わり、ロータンゼちゃんと一緒に出かける事にした。
「ガイちゃんとリナリアちゃんは、スピネルに何しに行くの?」
「行き当たりばったりで観光しようと思ってるよ」
前日に行く場所については、ガイと話し合いをしていたけど…決めて動くと何か新鮮味が無いという事で結局、その場でパッと思いついた所に入る事に決めたのだった。
「そうなんだー行く場所を決めてない方が気持ち的に楽で逆に良いかも」
「まあ、リナリア、ロータンゼちゃん出発しよっか」
私とガイとロータンゼちゃんのスピネルの街の観光の始まりだった。
スピネルの街に着いてから、三人で最初に行く場所を歩きながら話しあっていると、ロータンゼちゃんがじっと見つめている方向のお店を見てみるとアクセサリーショップだった。
「ロータンゼちゃんあのアクセサリーショップが気になるの?私も行った事は、無いんだけど…」
ガイは、私とロータンゼちゃんの顔を見て優しく微笑んでいて何か決心している様子に思えた。
「リナリア、ロータンゼちゃん中に入ってみようか、あんまり高いものは、無理だけど…値段が張らない物ならプレゼントに俺が買ってもいいよ。」
「ガイちゃん、わーーーい楽しみだー」
まだアルバイトをして数か月しか経ってないのに私とロータンゼちゃんにガイは、プレゼントをしてくれると言ってくれたけど、どれくらいの値段がするか分からないのにそんな事を言って大丈夫なのかなと私は、少し不安そうな顔でガイを見つめていると。
「リナリア、大丈夫だよ…そんな不安そうな顔をしなくても安価な物もちゃんと置いてあるから」
「そうなの………ガイが言うなら大丈夫なのかな」
安価な物があると言っても、アクセサリーショップに入るのは、初めてなので…少し私の不安は、残っていたけれど、ガイの言葉を信じるしかないと思う私だった。
その後、私たちは、アクセサリーショップに入っていった。すると目に入ったのは、ピアスやブレスレットにネックレスと高価な物ばかりだったけれど、ガイは、お店の一角にミサンガを置いている場所を見つけて私たちを呼び、ミサンガの値段も安価だったのでミサンガを見て選ぶことにしていた。
「リナリア、シンプルだけど、赤とピンクと水色の三色のミサンガは、どうかな?結構可愛いと思うけど」
ガイは、私のミサンガの色は、何となく決めていたみたいで…決めるのがかなり早かった。
「ガイがプレゼントしてくれるなら何でも嬉しいよ」
「じゃあ、リナリアのミサンガは、決定したから次は、ロータンゼちゃんのを選ぶね」
「ガイちゃん待ってた、楽しみにしてる」
ガイは、私とロータンゼちゃん以上にミサンガ選びに真剣になっていて… 私とロータンゼちゃんは、笑顔で見つめ合いながら、ガイの背中を見ていた。
「うーーーん、決まりだ。ロータンゼちゃんのミサンガは、リナリアとは、色違いのオレンジと黄緑と紫色の三色のシンプルなミサンガにする。」
数十分くらいミサンガの色の組み合わせについて考えていたガイは、ようやく決まりスッキリとした表情をしていて満足そうに会計をしようとガイがレジに向かっている。後ろに付いて行き、私とロータンゼちゃんもガイがミサンガの色で悩んでいる間に密かに二人でガイにプレゼントする。赤とオレンジと白の三色のミサンガを選んで、プレゼントをすることにしていた。
私とロータンゼちゃんが後ろに居る事に気付いたガイが、私たちに質問をしていた。
「あれ、リナリアとロータンゼちゃんも二人で一つのミサンガ買うの?」
「これはね、リナリアちゃんと相談してガイちゃんに買うって決めたんだ」
「私もガイに貰ってばかりだと悪いから…」
私は、いつもガイに貰ってばかりで、普段は、何もお返しが出来ていなかったので、私を生み出してくれた事や色々な意味込めて少しでもお返しが出来ればと思っていた。
急いでガイは、会計を終わらせて走って外に行ったので、私とロータンゼちゃんも急いで会計を済ませてから急いでガイの所に向かうと、ガイは、空を見上げながら泣いていた。
「ガイが慌てて外に出るからびっくりしたんだよ…どうしたのガイ…何で泣いてるの?」
「俺は、泣いてない…大好きな二人にプレゼントを選んで貰ってプレゼントされるって初めてだったから、ちょっと嬉しくてな…でも絶対泣いてない…ゴミが入っただけ」
頑なに泣いている事をガイは、否定するのでそれ以上は、泣いている事には、触れずにそっとしておくことにした。
(ガイが泣いてるところは、初めて見た気がする。私も生まれてそこまでは、月日は、経ってないけれど…ガイは、研究者を辞めた事で少しは、心に余裕が出来たのかな…)
「ガイちゃんの大好きな人の二人に私も入ってる。嬉しいな」
しばらくして、ガイが落ち着いた後に、ガイにミサンガを渡し、ガイからミサンガの説明を受けていた。ミサンガの身に着ける場所は、身に着ける場所によって意味が違うので身に着ける場所は、大切になるらしい。ミサンガの身に着ける場所の意味とミサンガの色の意味を知りたかったら調べてくれと恥ずかしそうにガイに言われたけど、別に悪いものでは、無いので今は、別に調べなくても良いかなと思っていた。
「リナリアの利き手は、左手だからミサンガは、左手首に着けるね。」
「私は、良く分かってないから、ガイお願い」
早速、ガイは、私の左手首にミサンガをつけてくれていた。私の思っていたよりミサンガは、身に着けていて違和感が無いので、あんまり気にならなかった。
「ガイ、思ったよりミサンガって身に着けていても違和感が無いね…」
「そうなの、それなら良かった。身に着けていて違和感がすると日常的に過ごしにくいからね。」
「それで次は、ロータンゼちゃんだけど、利き足は、どっちの足かな…」
「ガイちゃん右足だよー」
ガイは、ロータンゼちゃんの利き足を聞いて私と同様にミサンガを着けて満足そうな顔をしていた。それから私は、さっき買ったガイにプレゼントしようとしていた。ミサンガを取り出していた。
「ガイに着けてもらう、ミサンガ何だけどに着ければ良いの?」
「そうだな…ミサンガの色合い的に利き足の右足かも…俺もそこまで詳しく無いからざっとしてるんだけどね…」
そう言われてガイの言われた通りに右足に私がミサンガを着けようとしていると。
「リナリアちゃんーーー私もミサンガ着けたいから一緒に着けようよ」
ロータンゼちゃんがガイにミサンガを一緒に着けたいというので、やりにくいと思ったけれど…一緒にミサンガを結ぶ事にした、二人でやると時間がかかったけど…ガイは、何も言わずにミサンガを着けるまで私とロータンゼちゃんを見守ってくれていた。
「ロータンゼちゃんやっと出来たね。二人でするのは、難しかったね…かなり時間がかかったけど出来て良かったね」
「うん。ありがとうリナリアちゃん。一緒に結べて良かった」
「二人でミサンガを着けようとするのは、着けにくいと思ったけど…見てて苦労してるのがちょっと面白かった」
ガイは、私とロータンゼちゃんがミサンガを着けるのを苦労してたのを思い出して、また笑っていた。
「ガイちゃん笑いすぎだよ」
「そうだよ…私たち真剣だったんだよ」
私とロータンゼちゃんも笑顔でガイに言葉を返していた。
それから、また次の目的地を歩きながら三人で考える事にした。