第1話 リナリア・シトリン
「さあ、起きて君の名前は、リナリア・シトリンだよ」
私に呼びかけてる。二十代後半くらいの男性の呼びかけで気付くと私は、目が覚めて、私を呼びかけた男性を少しの間じっと見つめてから、私は、周りをキョロキョロと見渡していた。
「ここは、どこですか?貴方は、誰ですか?」
「ここは、俺の研究所だよ…そして俺の名前は、ガイ・シトリンって言うんだ」
「ガイ…私は、何なのでしょうか…」
私は、自分について全然分からずに居た。気付けば目が覚めてここに居たから…
「君は、限りになく人間に近いアンドロイドだよ。俺がリナリアを生み出したんだ…」
「そうなのですね。ガイこれからよろしくお願いします」
生まれたばかりの私でもガイの言っている事がすぐに理解が出来た。
「俺は、敬語は、苦手だからリナリアが出来るなら辞めて欲しい…それと俺の事は、ガイ博士と呼んで貰えるとありがたいな」
「分かった。ガイ博士…私は、一体何をすれば良いの?」
そう私が聞くと、ガイ博士は、少し考えていた。
「ごめん、取り敢えず服を渡すから着て貰ってから…改めて今後の方針は、一緒に考えよう」
ガイ博士は、私が着替えるのを後ろを向いて待ってくれていた。私を生み出したガイ博士なら何回でも裸は、見てるはずなのに、何故か恥ずかしそうにしていて、ガイ博士が言うには、アンドロイドとは、言っても感情は、あるし動きがあるとやっぱり人間と同じ扱いをするべきだから俺が恥ずかしくなるのは、普通だと言っていたけれど、私には、まだ理解が出来なかった。
それから、私が服に着替えた後に、ガイ博士と話し合いをしていた。
「先ほどの続きですが、私は、何をすれば良いの?」
「そうだな…とりあえず俺の身の回りの事をリナリアに世話をしてほしいかな…家事全般とか全く出来ないから…」
「ガイ博士が全くダメダメな事が分かったので、私の出来る範囲で家事の勉強しつつ頑張ります」
取り敢えず今の私にガイ博士から任された事は、身の回りの世話をして、より質の良い環境作りを私がして、ガイ博士が研究に集中できるようにすることみたいです。
あれから一か月が経って私は、ガイ博士との生活にも慣れて家事の腕も上がっていたけれど、私は、研究所以外の外の世界も見たことが無かったので、ガイ博士に外に出ては、駄目なのか聞いてみることにした。
「あの…ガイ博士は、外には、出ないの?」
「出ない訳じゃないけど…出る必要がない…」
外の世界の話をするとガイ博士は、少し嫌な顔をしていた。何か理由があるのは、何となく分かったけれど…聞くことは、出来なかった。
「ガイ博士…私…外に出てみたい…」
私は、わがままを言っても駄目なのかなと思いつつも駄目元でガイ博士に言ってみた。
「俺は、リナリアが一緒なら何時でも外に出ても良いぞ…ただし外に出た時に自分をアンドロイドだと言っちゃ駄目だぞ…人型アンドロイドが完成したって噂が広まってリナリアを危険な目に合わせたくないからな」
ガイ博士が今まで頑なに外に出ようとしなかったのは、私を危険な目に合わせたくなかったらしい。素直に言ってくれたらもう少し早い段階で外に出られたのかなと思いつつも、不器用だけど私を守ってくれて、いつも優しいそんな、ガイ博士が私は、大好きだ。
翌日に私とガイ博士は、外に出かける約束をした。
「ガイ博士、明日出かけるの約束ですよ」
「リナリアとの約束は、ちゃんと守るさ」