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08

「あー、そこのお嬢さんや」


 突っ伏していた少女を――ではなく、机の端をタップして起きてもらう。


「――っ、な、なに?」


 まあそりゃ、顔を上げて目の前に男の顔があったらそういう顔にもなるよなと。


「俺は君に約3500円分奢りましたよね?」

「そ、そうだね」

「だからその分、感情豊かになってほしいのですが」


 また無表情に戻ってしまったのだ。

 いつでも不安そうな表情を浮かべていた先週までよりはいいが。


「隆生くん、それは諦めた方がいいよ」

「は? なんで名前呼びしてんだ」

「そろそろいいでしょ、ちなみにこれは和心が言い出したことだからね」


 いいか、そんなこと自由にさせておけば。

 両親がつけてくれた名前だ、それを他人が気に入って呼びたがるならな。


「結局私は1度も裕子の笑顔を見たことないしぃ、隆生くんの妄想なんじゃないの?」

「いや違う、舘本の笑顔も元気で可愛らしかったがな、こいつの笑顔は静かでいい感じだったんだ」

「そういえば和心はすっかり戻ったよね」

「話していると毎回普通に話せるようになったんだなって思うよ」


 日高は「それが普通なんだけどね」と呟いて笑った。

 やっかましいが、こいつの一切なにも考えていない笑顔もいいんじゃねえかと思う。


「ほらぁ、裕子は興味ないとすぐにこうなんだから」

「お前がうるさいからじゃないか?」

「このお!?」


 最近はよくこうして伏せているな。

 もう終わりにしたから気にしているわけではないだろうし、寝不足だろうか。

 どちらにしても困るんだよそれじゃ、会話すらできないんじゃなにも進みようがないし。


「日高、金久保借りてもいいか?」

「あ、だからってセクハラとかはダメだよ?」

「しないよ」


 一応本人に声をかけてから椅子ごと持っていくことにした。

 かなり重いし持ちづらいが、流石に腕を引っ張ったりするのは違うからな。


「な、なにしてんのっ、わっ、お、下ろしてっ、怖い!」

「おう」


 結局教室を出ることも叶わずに終わりを迎える。


「用があるなら言えばいいじゃん……」

「いや、そう言ったつもりなんだがな」

「最近眠いの、あんまり寝られてなくて……」


 想像より簡単に廊下に移動してくれた。

 いまもあくびをしている、嘘をついているわけではないようだ。


「膝貸してやろうか?」

「は……? 普通逆でしょ」

「いいからほら」


 あぐらをかいて座るということが滅多にないからな、正座には慣れている。


「いや……こんな廊下で?」

「おう、教室で見られるより恥ずかしくないだろ?」

「じゃあ……そこの教室で」

「おう」


 汚れを気にするだろうから上着を脱いで敷いてやった。


「や、ま、まじですんの?」

「いいから早くしろ、そっちの制服が汚れることはない」


 ま、女子のと違って硬いだろうから寝心地は良くないかもしれないが。

 それから数十秒した後、やっと金久保が頭を預けてきた。


「なんで寝られてないんだ?」

「……最近はよく本を読んでいるだけだよ」

「へえ、興味が出るような内容なのか」


 難しい内容のものを真顔で読んでいそうというのが正直な感想。

 そんなに時間がないからな、話はここまでにしておこう。

 彼女は割とすぐに寝始めた。

 無表情とは違う、柔らかい寝顔だ。


「あ、いた」


 やって来たのは先程いなかった舘本。

 寝ている金久保をすぐに発見して、かなりボリュームを絞っていた。


「うーん、普通逆じゃない?」

「眠たいのは金久保だったからな、なにか用でもあったのか?」

「ううん、教室にいなかったから気になって探しに来ただけだよ、邪魔しちゃ悪いからもう戻るね」


 舘本は「可愛い寝顔」と呟いてから出ていった。

 可愛いか、最近はともかく基本的に可愛げのないやつだからな。

 口を開けば馬鹿としか言わない、だからこそあの涙の効力が高かったわけだが。


「お前もっと楽しそうにしろよ」


 寝ている時だけ柔らかそうな表情を浮かべられてもなにも意味がない。

 しかも彼女の場合は素直じゃないとかそういうレベルではないわけで。

 恐らく本当に内側でも笑っていないんだと思う、これだったらまだツンデレの方がマシだ。


「ごめん……」


 と、彼女が漏らした瞬間に片目から涙が。 

 どんな夢見てるんだか、頬を思いきり引っ張りたくなったが我慢。

 それからすぐに予鈴が鳴って、しょうがないから彼女を起こした。

 このまま見続けても悲しい結果になるだけだしな。


「拭け」

「え……?」


 俺は先に教室へ戻る。

 いまさっきの顔は最高だったな、あの言葉の意味が分からなくて困惑している感じが。


「おかえりー」

「おう」


 なんでこの明るさMAXの日高が引き出せなかったのかがいまは不思議だった。

 実は仲良くない? ……なんか勝手に日高が盛り上がっているだけというのもありそう。


「上着は?」

「いまは座布団になってるな」


 別に必ず着用しておかなければならないということもないから預けておこう。

 どうせ後で叩き返されるだろうから自動返却機能付きだからな。

 後はまあゆっくりとした時間を過ごしたいと思う。

 もう1度求めてくるのなら膝を貸すのも吝かではなかった。




「ふぅ……」


 現在進行系で金久保は爆睡中だ。

 放課後の教室の床に直接正座をしたままだとなんか罰を受けている気分になってくる。

 どんだけ寝られてなかったんだよこいつ。


「隆生くーん、指は大丈夫?」

「おう、大丈夫だ」


 あ、そういえば保健室に行かせれば良かったじゃねえか!

 そういう時のためにベッドがあるというのに、考えが足りない馬鹿だな俺は。


「あれ、裕子ちゃん寝不足なの?」

「最近寝られてないみたいなんだ」

「それってさ、隆生くんのをほら……」


 俺は終わりにしたがまだ割り切れてないと言いたいのか。

 でも、自分は悪くないと言っていた時の彼女が説明できなくなる。


「あ……泣いちゃってる」

「今朝もそうだったんだ」

「手を握ってあげたらどうかな? あ、もちろん怪我してない方でね」


 言われた通りに握ってみたが、……後で「死ねっ」とか言われそうだな。

 しかも姉は戻っていってしまった、完璧に俺のせいってことになるよなこれ。


「違う!」

「なにがっ!?」


 ばっと飛び起きてキョロキョロし始めた。


「あ、もうこんな時間か」

「ああ、お前は滅茶苦茶寝ていたからな」

「帰らないと」

「そうだな」


 って、待て待て待て!

 なんでこっちのことを無視して先に出ていくんだよ。

 結局まだ上着も返ってきていないし困るんだが……。


「お、おい、金久保っ」

「あれ、あんたまだ残ってたんだ」


 これはこいつなりの照れ隠しだと考えておこう。

 特に先程の話を持ち出すことなく帰ることだけに集中する。

 

「眠気はなくなったか?」

「は? 眠気ってなんの話? ――はぁ……その顔やめてよ」

「寝られたのならそれでいい、それより俺の上着は?」

「あ。あそこに置きっぱなしのままだ」


 まじかよ、まあ明日取りに行けばいいか。

 にしても、座布団かわりにされてそのうえそのまま忘れられるって悲しいなおい。


「あんたこの後って時間ある?」

「ああ、暇だからな」

「じゃあそこの公園のベンチにでも座って話そうよ」


 なかなかに珍しい提案だった。

 こんな機会は今後ないと思ったほうがいい、だから俺も拒まずに付いていく。


「というかあんたの太もも硬すぎ、全然寝られなかったわっ」


 可愛くねえっ! 合計で約2時間半も寝ておいてなに言ってんだこいつ!


「……こっちを寝不足にさせておいてこれとか、本当使えないっていうか……馬鹿っていうかさ」

「は? なんで俺が原因みたいに言うんだよ」

「あ、あんたが素直に私にやられたって言わないからでしょ! なに? 同情のつもりなのっ?」

「うるせえ! お前にやられたからじゃないからに決まってるだろ!」


 中指と薬指が弱いのが悪かっただけだ。

 なんなら投げた金久保とは別方向にバチコンと打っておくべきだった。

 止めなければならないと考えた自分が悪かった、そりゃそのまま止めようとしたらイカれるわ!


「馬鹿はお前だ! それぐらいで寝不足になってるんじゃねえっ、乙女でもあるまいし!」

「はあ!? 私はこれでも女なんですけどっ」

「じゃあ、……女ならもっと楽しそうにしろよ」


 せめて舘本と日高相手の時は偽物でも笑顔を浮かべるとかさ。

 なんでもかんでも合わせればいいわけじゃないが、それぐらいの努力はしてやってほしい。

 合わせてもらうことが当たり前になっては駄目だ。


「言い訳して逃げてんじゃねえよ、少しでも自分にとって都合悪いこと言われたら関係を終わらせようとするんじゃねえよ馬鹿、馬鹿はお前だ馬鹿、この馬鹿が!」


 死ねと言われても我慢してきたんだからこれぐらいは許していただきたい。

 馬鹿はともかく言っていることは間違っていないと思う。


「どうした、そんなに一気に黙ってよ」

「……どうせ馬鹿だし」


 ……飲み物買って押し付けるようにして渡した。

 また投げられるかもしれないという不安はあるが、信じてやらなければだ、駄目だからな。


「まだ気にしてたのか?」

「……当たり前でしょ、すぐに治るものでもないんだから」

「でも、ちゃんと寝ろ、それだけは守ってくれ」

「寝ようとすると……あの日のことを思い出して全然寝られなくて……」


 俺も突っぱねてしまったからな……。

 しかもそのことはもう俺の中で終わりになっているんだ。

 おまけに金久保だって「分かったから」と口にした、ざまあみろとでも考えておけばいいものを。


「でも、……あんたの膝……というか太ももを借りたらすぐ寝られた」

「それは眠たかっただけだろ」


 彼女は首を振って「それだけじゃない」と言う。


「これは私のせいだよ」

「ちょ、掴むな掴むな」

「……どうすればいい? どうすれば責任を取れる?」


 ここで友達としていてくれればいいとか、笑顔を見せてくれればいいとか言うのもなんだか違う気が。

 

「じゃあ、俺の代わりに荷物持ってくれ」

「……ふざけてんの?」

「右手で持つ癖があるんだわ」


 これは嘘ではない、本当のことだ。

 その度に戻してというのは非効率、誰かが持ってくれるならこれほどありがたいことはない。

 そしてこういう明確な罰的なものがあれば彼女も落ち着くだろうと考えたのだが。


「痛えって」


 今度は逆に頬を引っ張られた。


「あんたの彼女にしてよ、そうすれば身の回りのこと全部私がしてあげる」

「彼女じゃないまましてくれればいいのでは?」


 突飛すぎだ、大体好きなんて微塵も思ってねえくせに。

 いやそれどころか嫌われている可能性が高い、何故なら彼女のプライドを損ねてしまったからだ。


「しかも家では佳那恵がいるからな、流石にそこまでは――ぐぇっ」

「あんたの彼女にして、そうすれば告白されなくて済むでしょ?」

「い、いや……最近はもうされてな――」


 可愛げのねえ少女がもっとそうなった、固まったままのこちらを見て「責任取らないとね」と口にし笑いやがった。卑怯な女だ、やっぱりあのふたりがそれぞれといたくなるわけだ。


「私をその気にさせたのはあんたなんだから」

「……俺はてっきりそういうことに興味がないと思ったんだがな」

「興味なかったよ、最近まではね」

「死ねって言ってくれていたのは?」

「……黙秘してもいい?」

「まあ……いいぞ」


 つか俺もあんなこと言っておきながら結局いるし、物好きな男だ。


「んー、でもここまで可愛げのない女だとなあ……」

「それは……ごめん」

「い、いや、……あ、謝るなよ!」


 ずるい言葉だ、しかもタイミングが悪い。

 表面上だけであったとしても確実に効力がある。


「……彼女にしてください」


 おいおい……俺は優しくした覚えはないぞ。

 こいつがこう言うのは違和感がある、とはいえ、表情を見ると本気のような気が。


「俺が受け入れたら笑うとかしないよな?」

「しないよ」

「馬鹿とか言わないよな?」

「言わないよ」


 さてどうする。

 別に金久保とそういう関係になるのは嫌というわけでもない。

 だが、そこに好きだという気持ちがない以上、素直に受け入れられないな。


「これのことは気にしなくていい」

「え……?」

「この話は終わりだ、お前は俺のことが好きじゃないだろ」


 俺も同じようなものだが、金久保が俺のことを好きなら受け入れても良かった。

 初めてそこそこ関わって色々と衝突もしてきた女だ、ただ告白してきただけの女子達とは違う。

 でも、俺の骨を折ってしまったからという気持ちしかない、そんなのはいらないのだ。


「え、そうじゃなければ……しないでしょ」

「本当に好きなのか?」

「……だってあんたはずっと来てくれてたし」

「それは舘本や日高も――いや、そうか、分かった」


 ボトルの中身を飲み干す。

 一旦それでリセットしてから金久保――裕子と向き直った。


「本当にいいんだな? 俺はまだ変態扱いされているが」

「すぐに冗談だってみんな態度変えてたけど」

「そうなのか?」


 ああ、ぼうっと過ごしていたせいで全然分からなかったんだ。

 しかもテスト週間及び本番までは折れた指でどう頑張るかとしか考えていなかったし、終わったら終わったで裕子からどう引き出すかしか考えていなかった。


「分かった、お前を彼女にしてやる」

「上から目線だね」

「俺が選べる側だからな、俺はずっと選ぶ側だった!」

「はあ……え、自慢? 自慢乙」


 俺はこの女に分からせてやらなければならない。


「――でな、これ実はめっちゃ不便なんだよ」

「でしょうね、苦戦してるの後ろから見えてるし」

「え、俺のこと好きすぎだろ、変態はお前の方だったな」

「あんまり調子に乗ってると刺すよ」

「いやいや、そっちこそあんまり調子に乗らない方がいいぞ」


 待て、なんで付き合っているのに牽制しあわなければならないんだ。


「俺のことは隆生って呼べ、俺はお前のことを裕子って呼ぶから」

「別にいいけど」

「あとはそうだな……好きでいてくれるのは結構だが俺のことを熱っぽい表情で見るな」

「見たことないんですけど」

「好きならちょっとはそういう顔で見ろよ!」


 心底面倒くさそうな顔で「面倒くさいね」と吐いてくれた。

 その面倒くさい俺を好きになっておきながらなにを言うんだという話。


「えっとさ、こうして付き合ったらなにすればいいの?」

「んー、朝一緒に登校したりとかか? あ、荷物持ちの件は忘れないでくれよ」

「えぇ、あんたの家まで行かなければならないの面倒くさいんだけど……」

「じゃあ俺がお前の家に行ってやるよ、荷物は持ってもらうがな」


 うん、まあ裕子のしたいようにさせておけばいい。

 正直に言ってなにをしていいのかは俺も分からないからな。


「帰るか、舘本や日高にはどうする? 説明するのか?」

「いい、言わないままでいる」


 それもまた従うだけだ。

 あのふたりだって報告されても困るだけだろうし。


「それじゃあまたタギでも連れてくるよ、お前気に入っているみたいだしな」

「うん、タギはあんたと違って優しいから好きだよ」

「そうか、それなら別れるか」

「冗談だって、……あんたもあんたで優しいから好きだよ」


 はいツンデレー!

 とりあえず姉には言っておこう。


「これからご飯食べるの禁止っ」


 ――その結果がこれである。

 なんなら家にいることすら禁止とか言い出した。

 どうやら俺は裏切り者扱いらしい。


「なら出ていくわ、今日までありがとな」

「出ていくの禁止ー! わーんっ、相思相愛だったのにぃっ」


 そんな事実はない!

 色々と今日あったことを細かく説明しておいた。


「そっか、隆生くんのこと好きになっちゃったんだね」

「そうみたいだな」

「……逃げるのではなく責任を取ろうとするところは気に入ったよっ、いまから連れてきて!」


 家主には逆らえない。

 ということで数分後には裕子をリビングまで連れてきていた。


「裕子ちゃんっ、私が作ったご飯を食べてくれるよねっ?」

「え、あの、先程もう食べてしまったので……あ、分かりました、食べます……」


 なにか困ったことがあったら姉を頼ろう。

 いつだって大人の力は必要だ、ふわふわしているが頼りがいがある。


「うーん、私は樹里ちゃんが1番可能性が高いと思ってたのになあ」

「あー……樹里や和心に比べれば私は……ですもんね」

「あ、そういうことが言いたいんじゃなくてさ、裕子ちゃんは興味がなさそうだと思ってたんだ」

「それは隆生からも言われましたが、最近までは実際にそうでしたよ」


 俺が友達になってくれと頼んでから変わったということだよな。


「とにかくおめでとう! 隆生くんが女の子から告白されて受け入れるなんて初めてのことなんだから」

「ありがとうございます」


 うーん、クール。

 もう少し姉と同じように笑顔を浮かべてだな、別にそのままでもいいけどよ。

 なかなかに変わってもらうのは難しいようだ、それでも前に進んでいくしかない。


「相思相愛だった私から取ったんだからすぐに別れるとかしないでね」

「多分大丈夫だと思います」

「えぇ、多分~?」

「大丈夫です」


 お、笑ってる。

 どんなタイミングでそうなるのかが分からないから写真でも撮っておこうか。

 ちなみに寝顔はもう残してあるから問題ない、有効期限は付き合い続けている限りずっとだ。


「あ、もしもし?」

「「どうしたの?」」

 

 結局言うことに決めたみたいで電話をかけていた。

 俺はそのスピーカーから聞こえる爆音ボイスを聞きながら横を歩いている。


「え、裕子、隆生くんが好きだったのっ?」

「ふっ、意外だった?」

「うんっ、和心もそう思うよね?」

「うん、恋愛とかに興味がないと思った」


 みんなに言われてるな。

 それにしても最近の技術はすごいな、複数人と一気に話せるなんて。


「でもまあ、おめでとっ」

「おめでとうっ」

「ありがとう」


 そこはせめて笑え。

 本当に笑うタイミングが分からない。


「でも、これで裏切り者だね」

「そうだね、裕子ちゃんは裏切り者だ」

「え……」

「幸せになれよこのやろー!」

「楽しくやれよこのやろー!」

「「あははっ」」


 楽しそうで結構だが、かなりうるさい。

 ひとつ言えることはうっさい日高ぐらいに裕子も明るくなってほしい。


「あ、切れちゃった……」

「いいんだよ、照れ隠しみたいなものだ」

「ふっ、そっか、そうだと考えておこうかな!」


 ぐっ、いい笑みを浮かべんじゃねえか。

 新しい目標ができた、俺はこれからこいつのことを全力で好きになっていけばいい。

 こいつがこちらを好きでいてくれる限り機会は沢山ある、大切にしていこうと決めたのだった。

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