【コント】ラノベと個性派店員
場所:白を基調とした、オシャレな内観のカフェ
ボケ1:店員 ボケ2:店員
ツッコミ:一般客
ツッコミ「はあ~、ったく。おもしろいラノベが全然、思い付かないよ。8万文字も書ける気がしないよ~」
ボケ1「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりでしょうか? それとも、ご注文について7時間ほど、みっちりと説明したほうが、あなたのみっともない頭には、うってつけでしょうか?」
ボケ2「やめてよ。そういうの、なんか、やめてあげてよ、なんか」
ツッコミ「癖が強めの店員が来た。しかも、なぜか2人も。なんだ、この店。早くも出て行きたくて仕方ねえ~!」
ボケ1「ご注文は更なる店員でしょうか?」
ボケ2「それとも……更なる強めの癖ですか?」
ツッコミ「どっちも大差ないだろ。そんなことより、じゃあカプチーノとミックスサンドで」
ボケ1「何が?」
ボケ2「ひとりごとだよ!」
ツッコミ「いや、注文じゃん?」
ボケ1「チッ、それくらい自分でなんとかしろよ……」
ツッコミ「え、セルフサービスでしたか。それなら最初から説明してくれてもいいのに」
ボケ2「違います」
ツッコミ「何が?」
ボケ1「そっから自分で考えろよ。テメエ、カフェをなめてんじゃねえぞ」
ツッコミ「さっきから、なんなんすか。もう、本当に出ていきますんで。注文も結構です。じゃあ」
ボケ2「ん~、や、やめてくださいよぉ」
ツッコミ「引き止めたい気持ちが、かけらも伝わらない煮え切らない行為をどうにかしよう?」
ボケ1「ははっ。バカだなあ、横村。何もかも冗談だよ。一体、何年の付き合いだと思ってんの。ビビンバと豚汁とケバブ。いつものヤツだろ、ちょっと待ってな」
ツッコミ「今日で初対面だし、俺の名前は横村じゃなく北岡で一文字も合ってないし、注文だってミックスサンドとか、どっかに行っちゃって……ハッ、待てよ。もしかして、キミたち……ボクがラノベ書きだって知って、身を呈してネタを提供してくれてる?」
ボケ2「そう、かもな」
ツッコミ「そ、そうなんだ。はあ、怒ったりしたのは、まあ、ちょっとやりすぎたかな。ごめんな」
ボケ1「横村。最近のお前、どうかしてるぞ」
ツッコミ「北岡です。初対面です」
ボケ2「ミノチェフレンコサッド・ナタリコフ・サブロウです」
ツッコミ「よく見たら本当に名札に、そう書いてあるね!」
ボケ1「で、ラノベ出来た?」
ツッコミ「馴れ馴れしいなあ。いや、でも正直、行き詰まって悩んでるんですよ」
ボケ2「じゃあ死ねば?」
ツッコミ「極悪編集長かよ!」
ボケ1「つまり俺が死ねばいいってこと?」
ツッコミ「それは知らんよ!」
ボケ2「じゃあ死ねば?」
ツッコミ「えっ、天丼ってボケの技術を知ってることを、さりげなく主張してきた。アンタ……中々の玄人みたいだな」
ボケ1「ぎゃお~、ぎゃお~」
ボケ2「出たな、天楼世界ボルガラクに君臨する、古代の凶悪なドラゴン。ポニー!」
ツッコミ「マジメなのか不真面目なのか!」
ボケ1「テメエも、なんかやれ」
ツッコミ「は?」
ボケ2「おやめなさいポニー。地獄で一億人を殺して究極天使の座を強奪した、このアルポルッペチュがいる限りボルガラクの平和は決して揺るがないんだからね!」
ツッコミ「あなたは、ほんのわずかではあるけどラノベのキャラの参考にしたいがゆえにツッコミづらいな!」
ボケ1「テメエ、原始人やれ」
ツッコミ「どの文脈に由来した?」
ボケ2「くっくっく。左腕がうずくぜ。我の第三の目が開いた時、世界は混沌と衝動の嵐に飲み込まれるぜ」
ツッコミ「あ、ああ。邪気眼とか中二病とかにまで詳しいんですね」
ボケ1「へご、うんぼ、ぼべっべすけった。ぱろぺるぺ、へご、れんてぃこばーよれ、へご」
ツッコミ「自ら原始人やりだしながらも、へごへごと、やかましいな!」
ボケ2「でも、エモいじゃんか……」
ツッコミ「わかんねえ!」
ボケ1「はあ。そろそろ正体を明かしますか、会長」
ボケ2「うん、そうしたほうが良さそうだね」
ツッコミ「ん、も、もしかして実はスゴい出版社の社員さんがお忍びで……とかですか?」
ボケ1「俺たちは!」
ボケ2「なんと!」
ボケ1とボケ2「カフェの店員!」
ツッコミ「あ、はい。」
ボケ1「しゃあねえなあ、マジ、じゃあビビンバと豚汁とケバブすぐ買ってくっからよ」
ツッコミ「注文それじゃねえし、アンタ自身で言ったヤツだけは正確に覚えてるのウザったいし、キッチンにオーダー通すでもなく買ってくるのかよ!」
ボケ2「ダメ……かな?」
ツッコミ「青春ドラマのヒロインみたいで気持ち悪い!」
ボケ1「分かってたよ。解放されたかったんだろ、向いてもないラノベを書かなきゃならない不安から」
ツッコミ「えっ。いや、それは……」
ボケ2「どーんまい」
ツッコミ「なんでヒロイン風味?」
ボケ1「これ読んで出直してきな」
ボケ2「これもだよ」
ツッコミ「うわわ、表紙からして単なるエッチな本!」