双子の妹が脱走したので俺(♂)が代わりに女子高に通っている件
百合好きな双子の兄が妹の代わりに女子校に通い、百合をウォッチングして幸せな学園生活を送っている話です。
BL、百合描写がありますが、主人公には絡みません。
双子の妹から手紙が届いた。
「お兄ちゃんへ
お元気ですか?
麻衣は元気です。
山奥の女子高はコンビニもなく外出許可もめったに取れず監獄のようですが、ご飯だけはおいしいので元気です。
ただ、イベントに出ることもできず電波も不安定なためヲタ活もできずBL妄想も堪能できず、精神的には死んでいます。先輩カプ(百合)を性転換することで凌いでいましたが、もう耐えられそうにありません。
そこで、お願いがあります。
お兄ちゃんの通っている男子校に通わせてもらえませんか?!!
お兄ちゃんが通っている男子校も同じ山奥ですが、イケメンパラダイスだと思えば楽園に思えます。
それにお話を聞くところによると、カップリングが発生している模様。新たな推しカプ(ナマモノ)を発見できるかもしれません。
その代わり、私の女子高にはお兄ちゃんが通ってください。声変りが終わっても女声で、見た目も私そっくりなお兄ちゃんなら私に成り代わってもだれも不自然に思わないでしょう。
中学地代は女装レイヤーとしてならしたお兄ちゃんのメイクの腕があれば問題ありません。
加えて生身の女には興味がなく、純粋な百合厨なお兄ちゃんであれば学園に入れても安心です。
何より、こちらの学園にはお兄ちゃんの推しカプがおります
お兄ちゃんの推しカプがおります。(大事なことなので二回描きました)
友人が描いた、先輩をモデルにした百合同人誌を同封しますので、気に入ったのなら私の提案に乗ってください。
麻衣より」
妹から送られてきた手紙には、百合厨の俺をうならせる同人誌が同封してあった。
俺は二つ返事で了承し、妹には経典を描いた神を紹介してもらうよう念押ししておいた。
二か月後。
「ごきげんよう、麻衣様」
「ごきげんよう、春香様」
あ”あ”~尊い!
世間から隔絶された女学園!尊いよ~!
この女学園は妹のような外部性はいるものの、ほとんどがようとうぶからのエスカレーター式なので純粋培養のお嬢様が多く、また
百合カップルもおおいのだ!!!!!
ちなみに、俺の女装は驚くべきことにまだばれていない。
妹の友人で同封されていた同人誌の作者こと春香様は唯一俺の正体を知っている協力者だ。
ふいに春香様がすすすと横に移動すると俺に耳打ちした。
「ご覧になって。あそこに三年の明石桜お姉さまと二年の御剣桃子お姉さまが…」
「まぁっ!まるで中性的な王子様のような御剣桃子お姉さまと黒髪ストレートのまさに大和撫子な明石桜お姉さまが並ぶと眼福ですわねっ!!きゃっっ桃子お姉さまが!桜お姉さまのおリボンをお直しなすったわーっ////」
お嬢様言葉は板についてきたのだが参考書籍が70〜80年代の少女漫画のため、興奮すると語尾に斜線がついてしまう。おそらくコマ外には作者のつぶやきが書かれているに違いない。
それはさておき、俺の推しカプこと桃子お姉さま(年下タチ)×桜お姉さま(天然+大和撫子)の生触れ合いが尊い。
ついには桃子お姉さまは桜お姉さまをベンチに誘い、桜お姉さまの髪を三つ編みにし始めた。
壁に、壁になりたい!!
あの中に挟まれたいなどとは思わない。百合に男が混ざるのはダメ、絶対。俺は百合を拝みたいのである。
一番好きなのは親友以上恋愛未満のジレジレ百合である。二人の周りには何人も存在せぬ。おそらく固有結界を展開しているであろう二人だけの世界。お互いがお互いしか見ていないけどもすれ違う両方思いとか尊すぎて見かけたら出血多量で死ぬ。
我が神はジレジレからの両思いに至るまでの描き方が素晴らしい。ジレジレからのすれ違いでメリーバッドエンドになってしまう確率は半々であるが、メリバも素晴らしいのでハピエン至上主義だったのに、メリバも大好きになってしまった…。神よ、なんでも描いてください…。あなたこそが百合世界の女王様……。
ハッ!隣を見ると春香様はメモ帳サイズのスケッチブックにお二人の触れ合うさまをドローイングし始めた…!!
あなたが神か!!
「我が神、素晴らしいです。お二人の周りの空気までそのまま表現されていますわ…!私一生春香様についていきます我が神…!」
「うふふ、麻衣様。お言葉はありがたいのですがあなたの性別が違っていたら私勘違いするところでしたわ。なんて、モッタイナイ…」
「……妹が、他校に行っていて本当に良かったですわ。春香様の好みは妹みたいなタイプでしたわね。私夢小説よりはカップリングに萌える…いわば壁になりたいタイプなのでほんとにツイてる身体で良かったですわ」
神が民草を気に入ってくださったのは嬉しいが、俺は百合厨な上に生身には興味ない人なので神には申し訳ない。
男も女も性的に興味がないのだ。今のところ。
「ところで、麻衣様、次回の合同誌の件なのですが…。桃×桜でカップリングは決まったのですがテーマがまだ決まっていないのです。【ヤンデレ】と【パロディ】どちらがいいでしょう?なお、参加者は私こと『春風』、『百合男爵』様、『Sの誓い』様、ゲストに『花園リリコ』様ですわ」
「私にも是非編集のお手伝いをさせて下さいませッッ!!台割、進行、お手の物ですわ!!皆様の生原稿を誰より早く読める喜びッッ!!神々の遊びに全力でお手伝いいたしますわっ!」
『百合男爵』様は、ほのぼの萌系の絵柄で哲学的なお話を描かれる神。
『Sの誓い』様は、神話や世界史の人物でドマラティックな百合小説を書かれる神。
『花園リリコ』様は耽美な絵柄でオリジナルで女剣士×姫の漫画を描かれる神。
ハァハァ…。この布陣で桃×桜だと……!!
男の俺には存在し得ないはずの乙女回路がギュンギュン唸る。
やばい、絶対萌え死ぬ。昇天する…!!
絶対にこの合同誌を成功させてみせる!
妹よ、俺をこの学校に送り込んでくれてありがとう!
一方、その頃妹は…
「佐藤錦×ジョナゴールド・ブルーフォレスト先輩、最高……!」
生徒会書紀、佐藤錦(一年)と副会長のジョナゴールド・ブルーフォレスト先輩のカップリングに萌えていた。
佐藤くんは王道総受け系の可愛らしい爽やかイケメンだが、麻衣(今は兄の冬樹の名を名乗ってるが)の好みでは可愛い攻め×攻めっぽい受けが推しカプなのだ。
ジョナゴールド先輩はメガネが似合う黒髪クールビューティ系のイケメンである。父がアメリカ人、母が日本人で彫りが深い美貌を持っている。普段はメガネに隠れた瞳がアンバーでとても綺麗だなのだが、佐藤くんに微笑みかけるときの慈愛に満ちた(※腐女子フィルターがかかっている)瞳はとろけた蜂蜜のようであると麻衣は思っていた。
先輩は生徒会の後輩である佐藤くんに目をかけており、差し入れでよく佐藤くんの好きなプリン等を買ってくると、生徒会ファンクラブのLi○eで送られてきた。
生徒会ファンクラブは一般生徒により運営されており、生徒会メンバーと親しいものや新聞部の生徒がいるので情報も多いし福利厚生が手厚い。
「一条君はサトジョナ派?!僕はさぁ、サトジョナ前提のサトジョナサトが好きだなぁ…。あ、勿論プラトニックだよ。」
隣の腐男子は、宮川陸。萌をつぶやいていたらいつの間にか便乗するようになっていたクラスメートである。
押しカプがかぶるので、熱く語るようになった腐友だ。
「宮川君もわかってるね…!!精神的にサトジョナサトいいよね!最強攻め様の佐藤くんがジョナゴールド先輩の前だけで見せる弱さ年下っぽさ。わかる。わかりみ。いいんだよ、手をつなぐだけで満足しちゃうんだよね。泊まり込みの勉強会で同じ布団に寝ててもお互いドキドキしつつ大切すぎてキス寸前で思いとどまったりね…!」
「……一条君天才じゃない?ねぇ、僕と合同誌出さない?!サトジョナサトのプラトニック本」
「いいですわね!……じゃなくて、いいね!!でも俺妄想は得意だけど漫画とか小説とかどっちも書いたことないんだよね…」
麻衣は興奮するとお嬢様言葉が出てしまったり仕草に女らしさが出てしまうことがあるが、宮川くんは気にしていなかった。なぜならこの男子校には同じように興奮すると女言葉が出てしまう男子がそこそこいるからだ。
「そんなの皆最初は素人さ!自分の萌を具現化すればいいんだよ。ね、とりあえずスマホに萌シチュとか箇条書きで書いてみよ!あ、このメモ帳アプリおすすめだよ!」
「ありがとう宮川くん!心の友よ!」
(あれ……?一条君、こんな可愛かったっけ…?いや、僕は腐男子だけど生身の男には興味がないんだ。腐男子だけど普通に女の子が好きなはず……)
トゥンク……
妹は一人の腐男子友達をゲットしていたが、同時に身バレの危機を迎えていた。
ヤマもオチもありませんが、百合好きと腐女子が入れ替わったら面白いかな?と思いつきました




