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なんとなく書いたシリーズ

夢を否定するのは簡単だけど、夢を応援することは難しいことなのかもしれない。

作者: 夢月真人

「小説家になりたい? そんなのを目指して何になるの? 一握りの人間しかなれないのに時間の無駄でしょう」


 そう言ってきた人がいた。

 正直、どうしてそんなことを言うのかと私には理解できなかった。


 消防士になりたい。

 警察官になりたい。

 公務員になりたい。


 そういった類の夢に関しては誰も否定も肯定もしなかった。

 どれもこれも簡単になれるものではないし、それ相応の努力は必要だ。


 ――では、どうして小説家になるという夢は否定されるのだろうか?


 作家になれたとしても売れるかどうか分からない博打。確かにそうだ。作家になれたとしても、売れるかどうかなんて分かるはずがない。しかし、それは人の夢を否定して良い理由にはならない。


 作家になれる人間なんて一握りの人間だ。その中で人気作家として小説を書くことができるのは、もっと少ない。誰しもができるものではないのだ。


 ――だから、諦めるのか?


 違う。


 ――では、自分が無理だと最初から諦め、努力しなかった人間の言い訳か?

 

 これも違う。どれだけ努力しても報われないこともある。一握りの人間になれずに終わることもあるだろう。ただ、何もしないで指を咥えて見ているだけでは、絶対に叶えられないものだ。


 小説家を目指すなら、誰が何と言おうと書き続けるしかない。


 ただ書き続けることは、孤独かもしれない。誰にも評価されずに埋もれていくことは苦痛かもしれない。それでも、努力し続けることをしなければならない。


「もう諦めた方が良いんじゃない?」


 そう言った人もいた。口で言うのは簡単だし、諦めることは誰にでもできる。

 私は簡単に諦めたりはしない。そんな生半可な気持ちで小説家になるという夢を掲げていないから。


「絶対に作家になってね。挫けそうになっても何度でも挑戦して、死ぬまで書き続けて。もし、途中で諦めたら許さないから」


 そう言って応援してくれる人がいる。

 これから先、人生を共にする相手からの言葉。私がその人だったら、不安で仕方ないことだろう。ゴールの見えない険しい道を手探り状態で進まなければならない。


 応援してくれる人はいる。だけど、途方もない長旅になることは分かっているのに、そこまで言い切る人はその人以外にいない。


 そんな人に迷惑を掛けられないと、苦渋の決断をして小説家の夢を諦めようとしたときがあった。どれだけ応援していると言っても、将来に不安を抱えて過ごさせるわけにはいかないと思ったからだ。そんな時に私に返って来たのは予想外な言葉でした。


「ふざけないで。そんな簡単に諦められる夢じゃないでしょう? あなたの人生はあなただけのものなの。一緒に生きることはできるけど、あなたの人生はあなたしか歩けない。だから、もう二度と諦めるなんて言わないで」


 そう言った人の目には嘘偽りのない真っ直ぐとした覚悟が見えた気がしました。

 私はその言葉を聞いた瞬間、私の夢は私だけの夢だけれど、その夢に向かって頑張っているのは自分一人ではないんだと心から思うことができました。


 どんなに辛くて苦しい時だとしても、小説家になるという夢を叶えるために最善を尽くすこと。それが応援してくれる人に私ができること。


 だから私は書き続ける。私を信じて応援し続ける大切な人のために。

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― 新着の感想 ―
[一言] 私は、基本的に自分に利害が無い限り他人の夢を肯定も否定もしません。 私は夢を追いませんでしたし、どうこう言える程の人生でもありませんでしたから。 ただ、兵共の夢の跡を沢山眺めてきた年寄として…
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