女王
「失礼します」
そこにはとても美しい女性が立っていた。
「あら、ロータス。どうしたのかしら?」
ロータスはキョロキョロ周りを見渡す。
「すみません、アザミ様は…どこへ?」
「主人は隣国にいきましたよ」
「ロータス、遅かったか?」
「…?…あなたは?」
ロータスがいろいろと説明してくれた。
「はじめまして、私はガーベラと言います。この国の女王です。よろしくね」
「俺は睡蓮冬架。よろしくお願いしますガーベラ女王」
「トウカは国民契約を結びに来たんですよね?」
「はい」
「でしたら、私のでも大丈夫ですしこのまま書いていきます?」
「そうさせてもらいます。ありがとうございます」
ガーベラは席に座り、魔法を使っても字を書いた。
その紙を冬架に渡した。
名前のところに睡蓮冬架と書いた。
すると、紙がひとりでに宙に浮きくるくると回った。
「この名の者をこの国の国民とする」とガーベラが言った
「これであなたはこの国の国民よ」
「ありがとうございます…」
バン!と扉が開く。
「ガーベラ!!」
「あら、どうしたの?アーチャン」
「なっちゃん!?」
「その名で呼ぶなと何度いえば…」
この人はこの国の王だろう。
だが、アーチャン?とは?
「王様のアザミ様だ。ガーベラ様とは幼馴染らしく名かがとてもいいんだ」
「へぇー、ところで、アザミ様どうしたんですか?」
「ああ、そうだったそうだった。ガーベラ、敵が来なかったか?」
「敵ですか?来てませんよ」
「そうか…良かった~…ん?貴様!何者だ!」
腰に刺してあった剣を抜き、冬架に剣先を向けた。
「危ないじゃないですか…」
「アーチャン、その人はいまさっき国民になったトウカさんですよ」
「トウカ?…お前、真似事はやめたほうがいいぞ」
「はい?」
「知らないふりか?まぁいい、トウカという名は…昔、我々を救った勇者の名だ」
「勇者…」
「すみません、アザミ様。トウカは…」
「俺は高校生だ」
「コウコウセイ?」
「…学院生です」
この世界では高校生や大学生などの表すものがない。
以前、ネリネに話したときそう言われた。
「学院生か、まぁいい。もう契約したのか…ならば仕方がないな」
アザミは剣をしまった。
すると、隣の部屋から泣き声が聞こえた。
「ルクリア?どうしました?」
ガーベラがドアを開けるとそこには六年生くらいの男の子がいた。
「うう…」
泣きながらガーベラの元へ向かった。
「お姉ちゃんが、約束破った~…」
「ネメシスが?…全くもう」
この子はガーベラの息子だろう。
よくアザミに似ている。
ネメシスというのはこの子の姉らしい。
「ただいま~」
「おかえりなさいませ、ネメシス様」
「ロータス兄ちゃん!来てたの!?言ってよね~」
「ネメシス、また約束破ったんですか?」
「だってー本買いたかったんだもん!」
「ルクリアは待っていたみたいですよ?ずっと」
「えっ…ごめんなさい。ルク…ほら!約束通り剣の稽古手伝ってあげる!」
「…うん!」
女の子のかおをどこかで見た覚えがある
「…あっ」