1.絶対に壊れない機械
絶対に壊れない機械があったんだってさ。
誰がどういう目的で作ったのか分からないけども、
とにかくむちゃんこ丈夫だったんだって。
そいつはピンク掛かった金属色で、触ると柔らかくて、ほのかに暖かかった。
全体的に丸みを帯びたフォルムで、どこか間の抜けた感じがして愛嬌があった。
背中の蓋を開けてみると、複雑な部品がぎっしり詰まっていた。
部品は青白い光を放ちながら、脈動するように規則正しく動いていた。
もちろんそんなの誰にも直せない。でも問題なかった。
機械はどんなにメチャクチャになっても、
グチャグチャになっても、
ぺちゃんこになっても、
木っ端微塵になっても、
一向に平気だった。
一体どんな仕組みか、誰にも分からなかったけど、
どこがどのように作用するのか、誰も知らなかったけれど、
機械はその身に何があっても、次の日になれば元通りに戻っていた。
所謂、自己修復機能、自己回復機能のようなものが搭載されていた。
ただ、自己修復機能は若干ポンコツで、完全にうまく直らない時もあった。
うまくいかない時もあった。
でも機械は、部品が1つ2つ足りなくても、そんなのお構いなしに動いていた。
動き方が多少ぎこちなくなっても、そんなの気にせずに自分の仕事をこなしていた。
見栄えが悪くなっても、我関せずと超然としていた。
精密さや繊細さとは無縁の、愚鈍でタフな機械だった。