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神岡という町

スーパーカミオカンデがある神岡町は、2004年に4町村が合併して、飛騨市になった。

合併前の時点で人口は一万人。そんな町で、千人もの人を集めるイベントといえば、町を上げてのお祭りだろう。町おこしとしても力が入るところだ。


一時は、東洋一とうたわれた神岡鉱山のある神岡町は、鉱山の縮小、廃鉱と共に衰退の一途を辿っている。

実は、神岡は「廃墟」のある町としては有名なのだ。それも、日本で最も大規模な廃墟が残る町としては有名なのだった。鉱山だけではなく、鉱山労働者が生活していた町が、そのまま廃墟になっている。

ただし、「廃墟のある町」では、町おこしにはならない。「廃墟萌えのオタク」は集まるかもしれないけど、何とも体裁が悪い。

富岡製糸場のような産業遺産を目指すのも一つだけど、有数の豪雪地帯。人が立ち入らなければ、あっという間に天井は落ち、廃墟になってしまう。エントロピーの増加だ。

やっぱり、宇宙の真理を探る施設。ノーベル賞ゆかりの地の方がカッコイイ。天皇陛下も視察に来たくらいなのだ。力の入りかたが違う。


それでも人口は減り続けている。飛騨市になってからでも、五年毎に一割近い人口が減っているのだ。

道の駅のスナック屋台は午後3時には閉める準備を始め、食事処は、4時、5時には閉まってしまう。4時から開店ではない。本当に閉店して、人がいなくなってしまう。まだまだ明るいのに、辺りは閑散としてしまう。未練がましくウロウロしているのは、私達のような数少ない旅行者ぐらいなものだ。場違いな地に降り立った気がする。


神岡はもうひとつ、負の遺産がある。

日本で最初の公害病、イタイイタイ病の原因の地だ。

イタイイタイ病、神通川とセットで勉強した記憶はあるのだが、その神通川の上流にあるのが神岡鉱山なのだ。カドニウムを含んだ廃液を長い間垂れ流したのが、その原因となった。

過去の過ちは、忘れてはいけないが、町おこしにはふさわしくないのかもしれない。


やはり、カミオカンデなのだ。今や、スーパーカミオカンデなのだ。小柴さん、サマサマなのだ。そして、暗黒物質饅頭なのだ。

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