ジオスペースアドベンチャー
東京大学宇宙線研究所附属神岡宇宙素粒子研究施設
正式には、こういう名前がついている。
イチ、ニイ、サン、シイ…と数えると二十以上ある。しかも全部漢字だ。さすがは東大の施設。ノーベル賞をもらうには、このくらい偉そうでないといけない。
ここでは、ノーベル賞で有名になったカミオカンデがパワーアップした、スーパーカミオカンデという、ヒーロー物の主人公か必殺技のような名前の施設のほか、ダークマターという、なにやら悪役キャラクターの親玉みたいな名前の正体不明の暗黒物質を調べる、XMASSという、子供達の永遠のアイドル、サンタクロースに関係してそうな実験。重力波(時空のさざ波なんて説明されるとなんかロマンチックな感じがするけどね)を見つける実験や、「ニュートリノを放出しない二重ベータ崩壊」の研究という、一般庶民の私には全く説明不可能な研究をしている。
それらの施設は、岐阜県飛騨市神岡町にある神岡鉱山の坑内にある。
2001年に鉱山としての役目を終わらせたとは言え、奈良時代から続き、一時は、東洋一とまで言われた、本格的な銀、亜鉛、鉛の鉱山だったので、普段は、全く公開をしていない。
地下1000メートルの、実際の鉱山の中を歩いて、スーパーカミオカンデの間近まで行ける、貴重な体験ができるのが、年に一度、町をあげて夏に行われる、GSA [GEO SPACE ADVENTURE]ジオスペースアドベンチャーというイベントだ。
2014年は7月19.20日のそれぞれ8つのツアー。私達は、20日のツアーの抽選に当選して、受付となる神岡公民館に集合。土地勘も無いので、念のために1時間も前に到着。気合いの入りかたが違う。何せ、300キロ車を走らせ、念のために前日入りしている。スケジュールは家内が作っていた。
入口前には、数張りの仮設テントで、お土産を並べている。宇宙の暗黒物質ダークマターにちなんだ〈暗黒物質饅頭〉はこのイベント会場限定で人気らしい。宇宙に興味の無い一般庶民には、このネーミングがわかるかな~と思いながら、やはりお土産には饅頭なのだ。家内はいつの間にか買い込んでいた。ロゴマーク入りTシャツやら懐中電灯やら、気合いの入りかたが違うのだ。
他では見ないのは、鉱山や地元で採れた石を並べたテント。説明するお店の人とお客さんが熱くて、近寄り難い雰囲気のコーナーなので、ちらっと見た限りでは、宝石ではなく、石。少なくとも、私には、石でしかない。
東京では夏休みに入ったけれども、こちらではまだなのか、そもそも少子化で子供が少ないのか、子供達の姿も少なく、三々五々と集まってくる人を眺めながら、地方の公民館前でぼんやり時間を過ごす。一時間以上も前に来る人などいないのだった。