理科女の娘の行きたい所
昔、人は考えた。
物を小さくしていったら、どうなるんだろう?
物は何で出来ているんだろう?
〈木〉を細かくしていっても、木は、小さな木片にしかならないよね。
でも、木に〈火〉を合わせると、灰〈土〉になる。
土の中深くには、金属〈金〉を産む。
金を表に置いておけば、表面に〈水〉を生じる(結露)
水を土に合わせれば、再び、〈木〉を生じる。
で、
もしかしら、物は、〔木、火、土、金、水〕で、出来てるのかもしれない、と考えた。
五つの元素は、日本でも、宇宙を巡る惑星の名前に付けられている。
子供の頃、物質は原子が集まった分子で出来ている、と教わった世代だ。
原子は、陽子と中性子がくっついた原子核と、周りを回ってる電子で出来ている。そこまでは、習った気が、・・・する。
まだ肌寒い頃だったと思う。
ヒッグス粒子発見の話題から、素粒子にも興味があるらしい、く理科女〉で、小学校六年生の娘と、理科女というより、教育ママと化した家内が言い出した。
「スーパーカミオカンデに行きたい」
何年か前に、ノーベル賞をもらった小柴さんの研究で有名になった施設がカミオカンデで、山の中、千メートルという場所で、原子よりも小さい素粒子の一つ、ニュートリノの観測をしているらしい。
今は、バージョンアップして、スーパーカミオカンデと言うらしい。
それも、見学出来るのは、年に一回、二日だけ。それも抽選だという。当選すれば、夏休みの初日だし、泊まりがけで行きたい。
概してこういう施設は、静かな、率直に言いかえれば、えらく不便な所にある。来年、北陸新幹線が出来ると、だいぶアクセスが良くなりそうだけど、思いついたら行きたい、やっぱり今年行きたい。休みをもらって運転手をお願いします、という意味だ。
普通に考えても、スーパーカミオカンデの中をに見学出来るわけもなく、よくある地元へのサービスイベントじゃないの? ほぼ半日かけてのイベント、本当に楽しいの? 近く観光地もなく、片道300キロメートル以上。ほぼそれだけのための、時間と費用と運転疲れを考えても、・・・気が重い。
ディズニーリゾート、ニ日間行った方が良いんじゃない? 同じ経費で三日行けるかもしれない。
それも疲れそうだけど、往復15時間以上運転しなくてもいいだけ、魅力的だよね。電車でも一時間かからないし、ディズニーシーなら昼からビールも飲める。ディズニーランドなら、パレードでミッキーマウスを見るふりをして、スタイルのいいお姉さんのダンスも眺められるしね。
しかし、残念ながら、ではなく、幸にも抽選にも当たり、何ヶ月ぶりのお泊り旅行となった。
私個人としては、空き缶で手作りした焚火缶で、薪をゆらゆら燃えるのを眺めながら、去年の残りの花火を楽しむことを、ひそかにたくらんでいた。