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パンドラ・パンデミック  作者: Alphard
二月 拠点
8/8

猫又とマタタビ

二月某日 朝

 拠点には毎朝、何匹かの猫がやって来る。

 間延びした声で鳴く猫たちに、洗濯物を干していたリュウは困っていた。

「お前ら、ちょっと待ってろよ……、シャム、シャム」

 多分、今日一番の大きい声を出してシャムを呼んだ。猫の相手をするのは、シャムの役目だから(おそらく)だ。

「……呼んだ?」

 まだ寝惚けているようで、これから三度寝に入りそうな勢いだ。

「猫来たから、残飯でもやっといてくれ」

「わかった」

 また部屋に戻るシャム。この庭__といっても、此処は人里離れた深い森の中。スペースなんて使いたい放題だが、一応、柵で囲ってある__に物干し竿は無いから、枝と枝をロープで繋いで代用していた。

「リュウさん、これ、いい?」

「あぁ、どうぞご自由に」

 味噌汁やら干物やらを持ってきたようだ。食べさせていいのかは謎だが、猫と話せるシャムが与える物に間違いは無いだろう。

「……なるほど」

 会話が始まった。洗濯物を干しながら、彼女らの会話を聞く。すっかり楽しみになってしまっていした。

「……天気? そーなのか」

 天気? 雨が降る、とかか。

「リュウさん、今日、晴れ」

「え、あぁ、そうかい」

 何だ、晴れか。なら良かった。

「あと、明日は1匹、ふえる」

「ふえる?」

「新しい、仲間。仔猫」

「あぁ……またか」

 残飯処理に困らないのはいいが、流石に8匹は多すぎだと思う。

 ……しかし、何故彼女はこんなにも猫に好かれるのか? 今までも気になってはいたが、本人に尋ねても首を傾げるだけだ。

「よし」

 今日こそ、その理由を突き止めよう。

「ん? リュウさん、なに?」

「え……あ、いや、別に」

 思っている事が口から出てしまうのは、悪い癖だ。

「ん、猫、帰るみたい」

「今日も全部、食い尽くしたな」

「元気で、良かった」

「そうかい」

 にこりと笑い、室内に帰るシャム。……行動開始。

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