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パンドラ・パンデミック  作者: Alphard
三年前
7/8

汗ばんだ首筋

3年前 12.29?

 寝返りを打つ。

 湿っぽく不快な首元に、少しだけひやりとした風を感じる。どこからか、メトロノームの様な規則的な音が聞こえてきた。

 夢が途切れて、目が覚める。少し暑い。

 汗ばんだ上半身を起こし、周りを見渡した。見覚えの無い白い壁、白い床、くり抜かれたかの様な簡素な窓、鉄の扉。

 汗をかいた背中が冷えて、ぶるりと身震いした。

 見覚えの無い部屋。嗅いだことのない匂い。そして規則的に響く機械音。

「訳わかんない」

 暗示を掛ける様に、呟く。

「……あれ、起きた?」

 聞き覚えの無い声と、ドアノブを捻る音が聞こえて、私は慌てて姿勢を正す。

「おはよう、夏視さん」

 ドアの影から現れたそいつは、白衣を身に纏った長身の男。

「何で、名前……ていうか、誰」

「まぁ、そう慌てないで。名前は荷物から色々調べた」

 ぶっきら棒に答える男。あぁ、そうだった。あの後、私は意識を失って。

「そんなに怯えないでよ、別に酷い事する訳じゃないから」

 赤茶色の傷んだ髪を掻き毟って、そいつは私に近付く。

 切れ長の、まるでメスの様な、薄紫色の目。

 薄紫?

 その瞬間、私の目は薄紫色の奥深くまでを一瞬で捉えた。ノイズで聞き取りにくいが、この波長は……

「君さ……今、読んだでしょ」

「……何、を……」

「何って、俺の"希少角膜"」

 希少角膜。それは、一つ一つに色彩と特殊な能力を持つ角膜。それを、何故こいつが?

「……知らな、」

 おかしい。何かが確実に狂い始めていた。

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