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第4夜 ―泣きたい時は空を見て―

なんていうかタイトルのままで・・・


「・・・やっと着いた」


思えば苦節40分、杏樹のやつを背中に抱えここまでやって来た俺の足腰は既に限界に達し、この体を突き動かしていたのは最早根性だけだった。

やっとこの苦しみから解放されるかと思っていた・・・



なのになんだ・・・?この神様のイタズラとしか言いようのない状況は。



『夫婦揃っての登校の気分はどうですか!?』


『おんぶして登校とはどういった試行で?』


『普段は大人しい子だったんですけど…』


『いつか絶対やると思ったんですよ〜』




な・に・が・だ・よ!!



もう最後のほうとか音声変えちゃってるし・・・俺なんか罪を犯しましたか?



とりあえず保健室に行きたいからこれはどいてもらうしかねぇな・・・と。



鋭い眼光が辺りを睨みつける。それだけでそこは一瞬にして騒然と化しもはや口を開こうとするものは誰一人としていなくなった。



(って俺今どんだけ怖い顔してんだ?)



それを語ろうとする者は誰もいない・・・







「っと、やっと着いたわ・・・」


とりあえずここに着くまでに来る敵来る敵を蹴散らしてきたわけだが、何?この張り紙・・・



【私用のため侵入禁止】



バリバリバリバリ


まぁこんな事するやつは1人しかいないわな〜っと。


そう言ってなんの迷いもなく張り紙をむしり取る雅人


「入んぞ〜百樹!!」


ドアを開ける雅人。そこには見慣れた男がいた。


「あぁ〜オレオレ詐欺ならもう十分足りてますってば〜。あとおいくら払えばいいんですか・・・?」


訂正、しっかり寝ていやがる・・・


「えぇ・・・あと50万ペソ?困ったなぁ・・・今月は杏樹ちゃんに貢ぐためのお金がームギュ」



顔面に一蹴り浴びせてみる。


「・・・っだらぁぁぁぁ!!俺の快速な安眠を妨げるのはどこのどいつームギュ」


まだ起き足りないと思うからもう一度蹴ってみる。


「起きた?」


「はい・・・」



それが学園の最終『変』器たる葛城百樹のさわやかな朝だった。







コイツの名前はえ〜と・・・葛城・・・いやめんどくさいから説明しねえや。


「うおぉぉぉい!!雅人〜そりゃないだろ〜。俺とお前の仲じゃないかよ〜」


誰が俺とお前の仲だって・・・?


「まぁよかよか!!俺が自ら説明バブリッュッ!!」


一閃、雅人が捉えたそいつの下顎骨に放つ右フックがまるで絵に描いたお手本のようにヒットする。


「よかよかじゃねえだろうが。百樹」


雅人は百樹と呼んだ少年の元へ向かう。


「っと、ほら早く起きろっての・・・あら?」




勇者1『ダメだ。反応がない・・・死んでいるようだ』




「百〜樹〜そりゃ!!!」



ごぶしゃごりゅごりゅ!!



「っぱあぁぁぁ!!・・・はぁ、はぁ、はぁ、はふぅ〜」


「最後の桃色のような吐息は何だオイ。やっと起きやがってこの野郎」


「何だじゃないでしょうがこんちくしょう!!人を生死の狭間に追い込んどいて何その扱い!!」


「お前だからさ。てかあれ?自己紹介はいいのか?」


「知るかっ・・・はい」


そう言って百樹は俺に背を向け1つ、深呼吸をした。

その背中からは男らしさ・・・は微塵も感じられなかったが恐ろしいほどのヘタレオーラがとことん放たれている。


そして――



「俺の名前は葛城かつらぎ 百樹ももき。この学園の最強アイドルだぁぁ!!そ・し・て『杏樹ちゃんファンクラブ』の会員No1会長だこんちくしょう!!さぁ!君は百樹王の前に立っているのだよ。ひれ伏したまへ・・・雅バッファッ!!」


「うん。うっさいから黙っててくれ」


俺が繰り出した一撃に百樹は期待通りにひれ伏した。

そうやってるうちにめんどくさいから俺がコイツの事を説明しちゃおうと思う。



コイツはえ〜と・・・百樹でいいや。なんていうか一応幼なじみみたいなな存在だ。

なんでかって言うと姉貴がやっているレディースのメンバーの弟ってのがこいつであり、それがキッカケになってよく一緒に集会やら何やらにパシリとして駆り出されたもんだ。

そうやってるうちに月日ってのは時に残酷なものだ・・・小学校、中学校までこいつと一緒になり・・・まぁそれは別にいいんだぞ!?

問題としては挙げ句の果てにこの仕打ちはなんだ!?こんなヤツと高校まで一緒になっちまってよ・・・



「と言うわけなのさ!!チャンチャン☆」


「いや、お前が仕切るなし」



はい、グサッと




「あぁぁぁ〜目がぁぁぁ〜目があぁぁぁぁ〜!?」


あぁ・・・ほんとウザってぇ。


いい加減杏樹をベッドに寝かせて俺も本なんか読みながらソファーで寝て授業をサボってエンジョイしたいんだが・・・


「雅人・・・」


「あ?なんだよ」


突然そう震えた声で告げた百樹は指を震わせながら俺を指す。いや正確には俺の背中へ向けてと言ったところだろう。


「お前・・・あ、あ、あ」



なんかあらかた予想がつくんだが・・・


「お前、杏樹ちゃんに何をしたあぁぁぁぁ!!!」


ほらきた・・・


「何がって、別に―――」


「うおぉぉぉぉ!!この『杏樹ちゃんファンクラブ』会員No1兼会長のこの俺をさしおいてえぇぇぇ・・・シクシクシクシク」



あぁ、ほんとにウザったい・・・泣きたくなってくるわ・・・


「いや何だ、その・・・杏樹が具合悪くなったから俺がここまで送ろうとしただけなんだがな」


「ほう・・・」


百樹は雅人の言葉を嘲り、そして不敵に笑い構える。


「どうやら俺達は生まれる前から戦う運命を背負っているらしい・・この胸の7つの痣がうずくからなあぁぁぁ!よし、行くぞ!!雅人ぉぉぉぉぉ!!!」



何か変な事言っちゃってるし、いいよもう・・・パ〇ラッシュ、僕もうコイツに疲れたよ・・・


「うおぉりゃあぁ!!雅人!!覚悟!!」




百樹の拳は振るわれた――



あぁもう殺っちまおう。



きーんこーんかーんこーん♪

きーんこーんかーんこーん♪




――2人の拳が止まる――


先ほどの百樹のうるささから一変、しばらくその場を静寂が支配する。


「なぁ雅人・・・」


その静寂を終わらせるように口を開いたのは百樹だった。


「あぁ、言いたい事はよくわかる・・・で、今日って何曜日だったっけか・・・?」


それに応えるように雅人も口を開く。まるで百樹が言わんとする理解しているかのように―いや、理解していたのだ。

それを克明に記すように2人の顔一面には異常なまでの汗が滲んでいた。


「よし、いいか?」


「こっちはもう準備出来てるぜ」


『じゃあ行くか』






『せーのっ!!』



2人で声を揃え一瞬である物に視線を合わす。カレンダーにである・・・




13日の金曜日。



そう、13日の金曜日である。

2人はそれが意味するモノを十分に承知していた。



「なぁ百樹?」


「あぁ・・・」


先ほどまでの百樹の怒りに震えた顔や雅人の呆れた顔が一瞬にして変な笑顔みたいになってほころぶ。ついでに変な汗で顔中滝のようである。



ダッシュダッシュダッシュ!!ひたすらに


2人は駆け出した―



遥かなる地、『体育館』へ―






「っぶはぁぁ!!どんだけ俺ら忘れてたんだよ!今日は『13日の金曜日』だってのによ!」


「はぁはぁ・・・もう諦めようぜぇ、雅人ぉぉ。金曜日の朝会ぐらいどうって事無いじゃんかぁ〜」



ここ、県立『橘ヶ谷学園』は規則に厳しく毎週のように金曜日は朝会を開く取り組みになっておりそれが規律を整えているようなものだった。普通に考えれば大したものではないのだが―


例外が存在する。この魔の『13日の金曜日』だけは・・・



「っか野郎!死にたいのかお前、今日は・・・!!アイツが来るんだぞ!?あの筋肉の渦に取り込まれたいのか!?俺は勘弁だがな!!」



その言葉を機に諦めかけていた百樹の青ざめた顔は、その場面を想像してしまったのかさらに血の気が無くなったかのように青ざめた。

そして人が変わってしまったかのように100メートルを5秒ぐらいで走れるんじゃないだろうかと思うようなスピードで駆けていく。


「やれば出来んじゃねぇかよ・・・とは言っても俺もそろそろ体力が・・・」


スピードが落ちていく。体に力が入らない・・・目が霞む。



そこでふと目に留まったのは白い壁だった。いや、それは3メートルはあるだろうと思われる巨大な白い扉だった


「つい・・た。体育館・・・」


雅人はそれにもたれかかるようにして脱力した。中はまだ静かなようだから朝会はまだ始まってはいないだろう、その考えだけが雅人の体を突き動かした。


ドアの側には息もさながらな果てたただの屍がヒュ〜ヒュ〜言っているがそこは軽くスルーしてしまおう・・・



ドアに手を掛ける―


ドアは意外にもあっさりと開いた。力を入れるまでもなくフワッと開いたドアの先に俺はそのまま力無く倒れる。


そこにはウン、やっぱりいたよ。



「ふん、ふん、やっぱり貴様等遅れてきたなぁ・・山本雅人!!その他一名!!」


体育館に響き渡るその声の主はこの学園の名物体育教師、宮穂(みやほ) (たけし)である。31歳、現在校内暑苦しいランキングダントツの・・・


「何を1人でごにょごにょ言っておるか。貴様等」


「いや、先生・・・1人なのに貴様等って―」


「余計な事は口にするんじゃないぃ!!さっさと立てぃ!貴様等の根性叩きのめしてやるわ!」


あぁ〜ほんとアツクルシイ・・・ていうか叩きのめしたらダメだろ。基本的に


「そぅれ!来い!幻の7日間トレーニング、2枚目のディスクゥゥ!!」


ほら、見てくれよ杏樹。これが行き過ぎた熱血って言うんだよ。

もうマイクでしゃべってる校長より声量大きくてなんかうっとおしいや・・・


「ふおぉぉぉ!!腹直筋に、腹直筋に効いてきたぁぁぁ!!」



こうしてあえなく校長の話は、宮穂武の汗臭い筋力トレーニングで終わっていった・・・


その日、宮穂武は伝説になった。









「なぁ雅人・・?」


「なんだよ」


あっさりと返事を返した俺に対して百樹は泣きながら応える。


「俺らって人間扱いされてるのかな・・・」


「まぁ誰が見たってこれは農業用の牛馬とかそんな感じだろうな」



改めて雅人は2人が今課せられてる状況を確認する。

俺らは見ての通り生徒達が座る椅子のように通称、空気椅子の形で体を固定している。勿論背もたれなど無しだ。それもこうしてはや20セット目だ。

流石に他のクラスの生徒からの視線が痛い・・・こら、そこ指さして『たかし!見ちゃいけません!』とか言うな。


という感じで視線が痛々しい。


「んん〜どうだ〜?山本雅人他一名。乳酸がいい具合にたまってきただろう?」


いや、あっついから寄ってくんな!この背油製造機!!


「ほう・・・まだ余裕があるとな!?よかろう・・・膝の上に20キロの重り追加じやあぁぁぁ!!」



フツンッ・・・



(ふっ・・・ざけんなよ。この、俺らを毎回目の敵にしやがって・・・)


宮穂武のむちゃくちゃな言い分にとうとう腹が立ってしまった。ついでになんか切れちゃったし・・・


つうわけでもう我慢の限界だと♪


今まで貯まりまくった恨みを何十倍にも濃くした怨念の固まりを俺はこの右の拳に込める。

目指すは一直線に宮穂武の顔面だコノヤロウ!!


「さぁ〜てどう鍛え直してやろうかぁ。とりあえずこの50キロのダンベルで・・・ふおぉぉぉ!!」


(ならこっちはその50キロのダンベルを迷わずてめえの顔にぶつけてやんよっ!!)


ピクッと額の血管がさらに怒りを増した事を告げる。そしてそれが限界を超える合図だったと―



「ちょりやあぁぁぁぁ!!いい加減・・っ死にくされいぃぃ!!」


ブオッ!!と風を切るようにして雅人の拳は速度を増し憎しみを持って宮穂武へと襲いかかる。






カンッ!!



それは一瞬だった。雅人の拳が到達するよりも早く、それは体育館に響き渡りそこにいる全ての者を圧倒する。まさに雷鳴の如く衝撃と共に現れた存在―


それが『橘ヶ谷学園』生徒会長、篠崎(しのざき) (めい)である。







容姿端麗、文武両道、それらの言葉が一つに纏められた人物、それがこの篠崎明と言っても過言ではない。


それを絶対的なものと証明するように彼女の絶倫的な容姿は生徒たちの視線を常に集め、プラス成績はと言うと入学した直後全国模試で矢継ぎ早にトップ5へと名を連ねる実力、それに加え空手初段、合気道3段それに・・・えぇい、話せば果てしない。


それゆえに学園の生徒たちからは男女問わず憧れの目は絶えないのである―


「君たち―」


篠崎が一度口を開けば大地が震え上がる。


生徒たちは歓喜と絶頂の悲鳴を篠崎会長へと浴びせていく。


「おはよう」


一言、たったその一言を満面の笑顔と共に口にしただけで気絶者が続出するほどの、ある意味そんな実力の持ち主である。


「あ、ほらほら。どんどん人が満たされた笑顔のままドミノ倒しみたく倒れていくぞ?面白いぜ?見ろよ、百樹」


「雅人・・・」


「ん・・何?」


「俺、会長に踏まれてみたいわ・・・」


「よし、俺の蹴りでいいなら構わず叩き込んでやるぞ?」


「お願いし・・・いや止めておく」





とりあえず百樹の戯れ言なんかは放っておこう。大事なのは今この状態なんだ。


え?なんでかって?そりゃさ・・・


「さて、今はこの私篠崎の生徒会長挨拶の時間というわけだが急遽予定を変更する事になった」


ザワザワと落胆したように生徒たちの声が体育館中に響く。それを見てか篠崎は不意に雅人、百樹の方へ指を指す。


「そうなってしまったのはそこに座っているこの学園の問題児たちのせいでは無い事をみんなには十分に把握してもらいたい」


それはこんな風に標的にされてしまうからだ。

この学園の教師やらお偉いさん方はどうも俺らみたいなやつを的にするのが好きみたいだ・・・



(ちっくしょ・・・このままただ笑われてたまるかってんだよ!)


グッと膝に力を入れて立ち上がろうとする。普通にすれば別段力を入れずとも立てるだろうが、それすらもうどうでもいい事だった。


(一回キツく言わなきゃ収まんないよな。こればっかりは殴っちゃいけねぇだろうし・・・)


震える両手を自らの内に抑えるように拳をキツく握りしめ俺は会長の元へと歩み寄る。

それでも壇上に見える篠崎の態度はと言うと余裕しゃくしゃくといったところと見える。


やがて距離は無くなっていき2人の距離が1mも無いほどに縮まっていく。



雅人の足取りが止まる・・・


(いいか俺。コイツは女だ、手なんか出しちゃいけない・・・絶対に、絶対に、絶対に・・・)


「どうした?山本雅人、こんな壇上まで上がったりして?」


(そうだ、ただ注意してやればいいんだ。注意してやれば・・・)


「これだから困る。要件も無しに君みたいな者がここに登るなど・・・」



それはとてもあっさりと吐かれた言葉だった。まるで道路に落ちてるゴミを見下すような、そんな一言だった。


とても笑顔で、悪気のかけらもない一言だった。






ピキッ






「ちょりやぁぁぁぁぁ!!冥途の土産にくらいやがれぇぇ!!」



とりあえずキレた!!キレるだけ切れてみた!!もうどうなったって構わないぜチクショウ!退学?上等すぎるぜ!


「とりあえずこの姉貴譲りの殺人右フックをくらいやがれぇぇ!!」




クスッと笑う。篠崎会長の笑い方はいつもそうだ―そうやっていつも俺らを小馬鹿にしていたんだ。

そう、今回も―



そこからは常人には目に余るような速さで全てが行われた。


クラシックバレエのトゥーシューズで強く踏み込んだような独特な甲高い踏打音。


(消え―)


気づいた時には遅かった。さっきまでいた筈の会長の姿は既に俺の視界から『外れて』いた。


途端、振るった右腕に違和感が生まれる。そして俺は右腕を掴まれたのだとようやく気づいた。


(なっ―!?)



遅かった。


刹那、俺の体は宙を高く舞い上がり弧を描くように、そして破裂したような音と共に叩きつけられた。

休む暇さえ与えられず次には瞬時に肺へと刺さるような痛みが襲いかかる。



息をするのもやっとの状態だったが篠崎の行動はそこで終わろうとはしなかった。

体を支えようとついた左腕を弾くように逆側に位置する真上の方向にねじ曲げられる。


「があぁっ!?」


感じた事が無いほどの痛みが痛烈にかつ鈍く襲いかかる。


「最近は柔道も始めるようになってね?君が一番最初の被験者にこうしてなったようだな。山本雅人?」


ミシミシと今も腕が悲鳴をあげていく。

篠崎会長はそれを見ても何を感じたわけでも無く急に力を抜いて俺を突き放した。


「これを期にバカで軽はずみな行動はしないほうがいいぞ?山本雅人・・・では宮穂先生、彼を遠い所に連れていってあげてください」


「はいはいはいはい!!今コイツをお連れします!!」


宮穂武が来る。既に力の入らなくなっていた俺の体は軽くコイツに持ち上げられた。


結局俺は最後まで何一つも言う事が出来なかった・・・



壇上から通り過ぎていく間、篠崎会長は生徒たちへと明るく楽しい話をするのだろう・・・そう思い耳を傾ける。


『さて・・・彼のおかけでスムーズに進む話もこのような状態になってしまったのだが、ここで発表してしまおう』


ダンッ、と篠崎会長が壇上の机を叩きつける。

その圧倒的な迫力に生徒たちもさっきまで唖然とした光景から一変して葛藤に包まれ体育館はもはやお祭りのような騒がしさとなった。


『紹介しよう!本日我らが学園に来た転校生を!』


会長がマイクを片手にその言葉を掲げる。

そして生徒たちから悲鳴に似た歓声が飛び交う中、体育館入り口から『そいつ』はやって来た・・・






バタタタタタタタッ!!ベタッ・・・


バタタタタタタッ!!


やかましいほど、、本気と書いてマジと読むってぐらいに全力走ってくる『そいつ』は靴が無かったのか学園備え付けのスリッパで生徒たちの期待を裏切らないくらい全力疾走の後見事に前のめりに倒れ込んだ。


まぁあのスリッパで走るのは厳しいしな。気持ちは分からんでもない。

その後静かに立ち上がってまた壇上に全力疾走で向かってる。


んっ・・・?なんだろ?走る方向が心なしかちょっとずつ変わって、いやこっちに向かって来てる気がするんだが?


「―――ちゃーん!!」


いや、気のせいじゃない!?

なんか変な言葉を発しながら走って来てるんだが―


うん、気のせいにしておこう。今日はきっと疲れてるんだ。そうなんだ。


「―っにいちゃーんっ!!」


そうだ気のせいなんだ!!そうと決めたらさっさと連れてってくれ宮穂武!

いや頼むから!



「おっにいちゃーんっ!!!」


(あ――)


体育館の空気も冷めやまぬ中、『そいつ』は突然やってきた・・・



メキョシッ!!



真空飛び膝蹴りを俺に食らわしながら・・・

って、ものの見事に直撃だこのヤロウ、初対面の人間に手加減ってものをしらんのか!?

少なくても世界共通の挨拶に真空飛び膝蹴りなんて項目は無いからな!?



後から分かった事だが今説明しとこう。

『コイツ』の名前はノエル・クリプシー


なんでだろう・・・今日、俺はコイツの兄になった。






そしてもう一人、確かに感じた。


『その存在』を・・・


凍てつく視線、渦巻くようにまるで水流のように冷たく、激しい殺意をまとった美しき獣の如き『ソイツ』を・・・









「・・・」


まず始めにこの目に映ったのはいつもの見慣れた部屋だった。多分最初は真っ白だったであろうこの天井も今となってはこの通り、薄汚れてしまっている。


「あの後結局気絶したんか・・・」


起き上がったのはここ、保健室の奥から二番目のベッド。俺も授業をサボる時や百樹とかと遊ぶ時はよく使っている。だから俺専用であり俺以外には使わせる気は無い・・・はずなのに・・・


「あぁ、具合悪。ってか何があったんだかわけ分かんねぇし・・・マジまだ痛いしよ。あの真空飛び膝蹴りは」


「大丈夫?お兄ちゃん」


「んあぁ。別に大したってわけじゃないから大丈夫だけどよ。いや、まじでアイツなんなんだ?」


「ゴメンね?ノエルのせいで痛くしちゃって・・・」


「いや、別にお前が悪いわけじゃないしさ。悪いのは・・・・

お前だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」



ビビったよ!とにかくビビったよ!そりゃもうビビったよ!正直腰が抜けるかとっ!?

だってここにコイツがいるんだからな!?


っていきなり飛んできたあぁぁぁぁ!?

今度は何するの!!また飛び膝蹴りか!!


え、制服のスカートの両端なんか持って・・・?


「えっと、初めまして。お兄ちゃん?私の名前はノエル・クリプシー。16歳!ママは知っての通りヴィレイナさんだよ?」


あぁ、スカートの両端持ったのは外国流の挨拶かなんかか・・・って、はい?よく聞こえませんでしたが?


「だからもちろん私もヴァンパイア!だからお兄ちゃんと同じだね!あっ、後学校ではハーフって事になってるから栗節(くりぶし) 乃恵留(のえる)だからね!だけどお兄ちゃんはノエルでいいから!」


あー、なんだろな。


「ごめん、1ついいか?」


「なぁに?お兄ちゃん」


「いや悪いけどさ、何がなんだかサッパリなんだが?」


「ノエルがお兄ちゃんの妹だって事?それともノエルがヴァンパイアだって事?」


「ん、あぁ。ぶっちゃければ全部が不明なんですが?」


ノエルはめんどくさそうに背中に手を掛ける


「しょうがないなぁ〜。・・・よいしょっと、うんしょっと」


ゴソゴソゴソゴソゴソゴソ・・・






「よっこいしょっと・・・よし!いくよ?お兄ちゃん!」


「その下準備に5分ぐらいかかったのは気のせいか?」


「気にしないで!女の子に恥ずかしい思いはさせないで!じゃあいくよ〜!!」


何が恥ずかしいのかよく分からん。そう思ったのもつかの間、俺の目の前に光が広がる。光は保健室中を覆い尽くしまばゆいばかりに輝きを放つ。

そこに見たのはそう、俺があの日手に入れた力――




「どう!?これで信じてくれた?」


そこに掲げられたのは黒よりも深く、旋律のような漆黒の翼だった。


てかちょっといいか・・・?



「ちっさっ!!」


落ち着いて見てみよう。ノエルの背中に掲げられたその翼はどうみても小さいです、どう考えても50センチないですって!!


「いや、これオプションですか?もしくはどっかで売ってた?」

とりあえずどんなに時間が掛かっても問いただしたいとこだがあえてやめておこう。

何せ相手はいきなり俺に飛び膝を食らわしてきた猪突猛進で身元不明な妹と名乗る自称ヴァンパイアだからだ・・・


ほらいきなりハリセンボンみたいにほっぺを膨らまして泣きそうな目をするし・・・って泣いちゃってるしよ。めんどくさいが泣き止ますとするか。


「とりあえずさ、こうしてもしょうがないからオヤジさんのとこに挨拶しに行こうな。ウン、ソウシヨウ」


これで納得してくれるだろ?と思った俺がバカだった。


「ひっく・・・ひっく・・・にやぁ」


なにそのにやぁって不敵な笑みは!?なんかしてやられた気がするんですが?


と、ノエルがいきなり白い紙を俺に突き出してきた。


(イヤな予感がする)


と、俺の脳内が危険を知らせております。その差し出された紙を恐る恐る受け取る。嫌な予想通りそれは手紙だった。






どうも、お久しぶりです。雅人、そして杏樹。あなた達の母、ヴィレイナです。

もう夏も終わり秋の始まりに差し掛かり気温も穏やかになってきたとこでしょう。

私達の旅行もようやく終盤に突入して後は余韻を楽しんでいる次第です。お土産をお楽しみに・・・


さて本題に入りましょう。アナタに今手紙を渡してくれたのはノエル、ノエル・クリプシーです。勿論ヴァンパイアですね。

この子はある理由から両親を失い1人さまよっていたところ私が引き取る事にいたしました。だからアナタとはもういわば血の繋がった関係に・・・だからよろしくお願いしますね。

基本ちょっとワガママで手に余すとこもありますがそれはそれでかわいいとこがありますのど。そこら辺はアナタの愛情でカバーしてあげて下さい。どうかノエルをよろしくお願いいたします。




それともう一つ・・・






パタン、と手紙を折りたたむ。



・・・・・


やっぱりか・・・なんだろな、こうなったらもう人生諦めるしかないのか?

ほら、なんかさっきから変な痛い視線感じるし。


「どうしたの?お兄ちゃん、頭でも痛いの?」


その原因を作ってるお前が言うな。いやほんとどうしようか



・・・いい事を考えた。


「なぁノエル?」


「何っ!?お兄ちゃん」


ちょっとこっちから話しかければこの通りだ。

どうにかしてほしい。


「こらこらいきなりがっつくな、それとそんなキラキラした目で見ないでくれ。んでこれから喋る事なんだが・・・お兄ちゃんの言う事なら何でも言うこと聞くか?」


「YES!ALL light!cdktpmaiqmt、mjgukmagda!」



待て待て。最後辺りとか何言ってるか分からんのだが、これがヴァンパイアの標準語ってやつなのか・・・?まぁ突っ込んだらキリがないからそこは触れないでおくとするか。


「よし。そうと決めたらだ、ノエル・・・目をつぶってくれないか?」


「sabradagnt、alomtsyagda・・・?」


いや、何言ってるかサッパリ分からんし。頼むから地球の標準語でお願いしたいんだが、とりあえず頷いとくか。

そうするとノエルは覚悟したように頬を赤く染めて(なんでだよ)静かに瞳を閉じた。


これで準備が整った。後は覚悟を決めるのみだ・・・


「よし、と。そんじゃいきますか!」


気合いを入れる。







ドックンドックン、バクバクバク!!


(そりゃだって緊張するわよ・・・ずっとずっと憧れてたお兄ちゃんがノエルの側にこうしているなんて・・・)


どんな事になったって頑張れる覚悟はしていた。


(でもまさかお兄ちゃんの方から誘ってくるなんて予想外じゃない!)


抑え切れぬほどに鼓動が膨れ上がった心臓は今にも爆発しそうなぐらいである。そんな中、雅人の口から発せられた一言はノエルの脳内を爆発させるのには十分すぎた。


「よし、と。そんじゃいきますか!」


(何をさ!?)


まさに予想外の一言だった。


(まさか、お兄ちゃん・・・まだノエルには早いよ!だってお兄ちゃんとは今日会ったばっかりなのに!)


ドンドン膨らんでいく妄想、妄想、妄想!

その中でノエルは決心した・・・


(お兄ちゃんにならノエル何されたって大丈夫・・・かな?でもノエル頑張るよ!)


閉じた瞳に広がる暗闇の中でもで緊張の度合いがピークに達しているのがわかる。

それでもノエルにはもう大丈夫だと確信があった。


確信、と言うか正確には自信と言えばいいのだろうか。そんなものがノエルにはあった。


え?何を根拠に?


(お兄ちゃんだから・・・)


はい、全然根拠になってませんね。


(とっ、とにかくよっ!お兄ちゃんならノエルは大丈夫なの!ナレーションは邪魔しないでくれる!?)


はい分かりましたと・・・




さぁとうとう動きがあったようですよおぉぉぉぉぉぉ!!


(動きって何よナレーション!!あぁ!もう緊張してきたじゃない!あんたのせいよナレーション!!)



ガタン、と物音がした。その音と同時にノエルもまた反応し肩を震わす。


(って何いきなり真面目にナレーションしてんのよ!)


まぁそれが仕事ですからね。


(せ、正論・・・ってほらぁ、なんか来たじゃない!!)


その物音を鳴らしたであろうその人物が距離を縮めて来ているのがはっきりと分かった。およその距離はもはや2mも無いであろう。


(き・・・来たのね、お兄ちゃん。どうしよう、ほんと緊張してきたじゃない)


その思いとは裏腹に時は待つことを知らずに進んでいく。

ポンと肩に手のひらを乗せられる感触がいきなり襲いかかってきた。


突然の事態に驚きを隠す事が出来ないノエル、もはや脳内の思考回路はショートする寸前である。


(どうしようどうしようどうしよう!!えぇい!こんな時はお兄ちゃん対応マニュアル第6巻2章その13だったはずよね!そのはずよ!)


そんなにマニュアルがあるんですね。


(こんな時に出てこないでよおぉぉぉ!!この馬鹿ナレーション!頭の中が真っ白になっちゃったじゃないぃぃ!!)


いい事を教えてあげましょう、ノエルさん。恋と言うものはマニュアルなんかじゃないのです。当たって砕けろ、行けば分かるさ・・・ありがとおぉぉぉぉぉぉ!!!


(何1人でテンション上がってんのよ!へたれナレーション!)


よし、頑張れ!


(何よ!頑張れって。何ガッツポーズして・・・あっ・・・)


ほら彼が来ましたよ?アナタの優しさで包んであげればいいじゃないですか。


(分かってる・・わよ。私だってやる時はやってやるんだから!)


覚悟を決めたようです。こうなったらやってしまいましょう。さぁ、さぁ、さぁ!!


(分かったわよ!この・・・akameipargma!!やればいいんでしょ!やってるわ!)


よし、その意気だ。何を言ってるかは分からないけどその調子だ。


(私だって・・・やる時は、やる時はあぁぁぁぁぁ!!)


そしてノエルは勇気を振り絞った。差し出した勇気の証、それは自らの水面よりも柔らかく、誰にも譲る事なく守ってきた唇。それを今日、お兄ちゃんへ・・・そう雅人へこの想いと共に捧げる。


(お・・・お願いだから黙ってなさいよ・・・恥ずかしすぎて死んじゃいたいくらいなんだからね・・・)


ほら!それよりも来たみたいですよ?彼もそれに応えてくれたみたいですよ!

とうとう来ましたね・・・


(ふふ・・ふふふ。とうとうお兄ちゃんとノエルが結ばれるわ!そう、とうとうここまで来たのね・・・この瞳を開ければそこにはお兄ちゃんがいてノエルを優しく抱きしめてくれて・・・)


そうそう、これであなたの今までの苦労が報われるわけなんですね。おめでとうございます・・・これで私も報われるものです。


(待って・・・アンタは一体)


それより早く彼の元へ行ってあげてください。そこには彼の笑顔が待っているのだから・・・


(そうね・・・ノエル頑張るから。アンタの為にも頑張るから!)





ノエルは今日、ナレーションと言う名も無き者に出会った。そして新たな決意と共に瞳を開く。


(一応ありがとうって言っとくわ・・・ありがとう)


いいえ、礼には及びません。さあ、これからはあなたが頑張るのです。


(言われなくても頑張るんだからね!)


ほら、彼がもう待ってるみたいです。早く瞳を開けて・・・


(うん・・・ありがとう!)




瞳が優しく開かれた。同時にまばゆいばかりの光の世界が広がる。そこには彼がいた。



「大丈夫かい?おじょうちゃん」


ノエルの白馬の・・・


校務員様・・・
















「いいいやあああああああああああ!!」



すまねぇノエル・・・だが仕方なかったんだ。俺にはお前を養うなんて事なんか出来ないんだ。


大きく・・・育ってくれ。



苦渋の、いや特に迷いはしなかった選択だった。

とにかく仕方なかったんだ、そうしとこう。


まぁこれで俺は晴れて自由の身になったわけだ。


自由さいこ〜♪




・・・って思った矢先だよ。なんかズドドドドドってものすごい轟音が聞こえてくる。


「いや気のせい気のせい」


正直なところ気のせいだって事とは微塵も思えない。

だって今までそう思って上手くいった事なんて一度も無いしさ・・・もうどうでもいいかな、って。


ふぅ、と一度ため息を深く深く吐く。

とりあえずこれから起きる事の為に気合いでも入れて少し落ち着こう。そこで思いついたのが深呼吸だ・・・


はるか後方ではおそらくノエルのものであろう轟音と悲鳴が近づいてくるのがはっきりと分かる。


俺は瞳を閉じ一つ深呼吸をした。体の奥深くから体の芯を通して悪いものが吐き出されていくのが分かる。


(大丈夫。これで落ち着いたし大概の事は耐えられるはずだ)


と思いましたけど所詮って無理なもので・・・瞳をゆっくりと開けて見えた世界はとても酷いものでした。


バッサバッサバッサバッサ!!


「お゛兄ち゛ゃぁぁぁぁぁぁん!!!」


うわっ!!ヤッパリ来たあぁぁ!

なんか見た感じなんか凄い事になってるんだが!?


「ってお前えぇぇぇ!!そりゃないだろおがあぁぁぁ!!」


見てみろ!すんごい事になってんぞ!ノエルが・・・ノエルが『翼』を羽ばたかせながら飛んでるし!?


「お前っ、ほんとにヴァンパイアだったのかあぁぁぁ!?つうかさっきの翼と違って・・・でけえぇぇ!?」


「お゛兄ち゛ゃぁぁぁん!!お兄ち゛ゃぁぁぁぁぁぁん!!!」


うん、まさかここまで会話が成り立たないとは。


「とりあえず落ち着けぇぇ!!そしてここは神聖なる学校だ!まずその翼をしまってくれえぇ!!」


「お゛兄ちゃぁぁん!!私・・・私、ナレーションに汚されたあぁぁぁぁ!!だからもうお兄ちゃんと結婚するしかないのぉぉぉぉ!」


何の話だよ!?なんだナレーションって!汚されたってなんの事かさっぱりだっての!いや、しかも結婚って・・・ナニヲイッテルノ?


「落ち着いてくれ。まず言っておこう!何を前提に結婚とか言って・・・いやいやそんなのはいいんだ!とりあえずその翼をしまってくれ!じゃなきゃヴァンパイアだってばれるじゃねえかぁぁぁ―ムギュフ!!!」


「もうあのナレーション倒すしかないの!!この手で討ち取ってやるんだからぁぁ!!」


もうすんごい号泣しながら飛んできて俺にダイビングしてきやがったよ!


なんだろな・・・どうしてこんな風になったのかな。

とりあえずここらで我慢の限界かな?




「っとおぉぉぉぉい!!さっさと落ち着きやがれえぇぇぇ!!うらあぁぁぁ―」


その場はもう戦場と化した。


飛び交う机や椅子・・・主に俺が投げた。

こだまする嵐のような悲鳴・・・主に俺のせいだ。

校内に響き渡る非常ベル・・・完全に俺のせいだ。




今日と言う日・・・プライスレス。




辺りが静かになり始めた頃、俺は意識を取り戻した(正確には自我を)


「ぜひーぜひー、やっと落ち着いたかよ・・・」



そおっと周りを見渡してみる。

廊下の片隅でガクガク固まりながら震えてシクシクと泣いているノエル。

金切り声を発しながら泣き叫んで逃げていく女子生徒達。

その場に立ちすくんだり腰が抜けたように倒れ込む男子生徒達。



あれ、おかしいな。こんなはずじゃ無かったのに・・・とりあえずどうするかな?

必死にない頭をひねりながら俺は考えた・・・


そこで思いついたのがこの『最善の策』だった。




「と・・・とりあえず落ち着いたな!ははっ、ははははは!」




うん、とりあえず俺・・・落ち着け。




今日も最悪な日々の始まりの予感がします。






「俺って・・・なんか辛い立場だよな」


荒野のような静けさに包まれた廊下で俺は1人たたずんでいた。

すでにそこには誰一人として居なく孤独な空間だった。



その時、ポンッと誰かに肩を叩かれた。そこにはなぜか百樹がいた。



「雅人・・・」


普段はうざくてたまらなく居なくてもいい存在なのに・・・なんでだろ、その時だけはやたらと百樹の顔が優しく見え――



「さぁ、早くオジサンと病院に帰ろうか」



前言撤回―




たいがーあぱかっ!!




そして百樹の亡骸を拾う者は誰一人としていなかった・・・




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