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令嬢は強いほうがいいのです!

作者: 蓮華
掲載日:2025/10/19

「――アリア・フェルン、貴様との婚約は破棄する!」

王城の大広間に、王太子セドリックの冷たい声が響き渡った。

集まった貴族たちの視線が一斉に私に注がれる。


理由は――明白だ。

私は“強すぎる正義感”のせいで、王太子の思惑を何度も覆してきた。


「お前は……強すぎる。民を助けるために勝手に動き回り、役人の不正を暴く。そんな正義のヒーローみたいな、女は王妃にはふさわしくない!そんなものは貴族、いや、女がやることではない!」

そう言って、彼は隣に立つ控えめな令嬢を見やる。

「彼女のように、おとなしく、俺に従い、男をたてるような者こそが王妃として相応しい」


……なるほど。

“強すぎる”という理由で婚約破棄、ね。


私は微笑みを浮かべ、静かに一礼した。

「わかりましたわ。では――どうぞご自由に。国の未来はあなた方にお任せします」


その瞬間、セドリックの顔が青ざめる。

彼が知らないだけ。

私の“正義感”が、どれだけこの国を救ってきたかを。


その時、城門の方から騒ぎが起こった。

――王室金庫を狙う不正貴族たちが暴れている。


「……またですか」

私が指を鳴らすと、すぐさま衛兵たちが動き、悪事を働いた貴族らはあっという間に拘束された。

貴族たちは息を呑み、セドリックは完全に口を開けたまま固まっている。


――強すぎるのは、性格も、行動力も同じ。

でも私は、自分の信念に従うだけ。


「ふふ……折角、婚約破棄されたんですもの。前々から誘われていた隣国の役所にでも行こうかしら?」


そう呟いた時、背後から懐かしい声がした。


「アリア!」

振り返ると、そこにいたのは――隣国の王子、リアン。

幼い頃からの友だちであり、唯一、私の正義を笑わず受け入れてくれた人。


「まさか、あの愚王子が舞踏会で婚約破棄をするとは思わなかった。止められずすまなかった。でも……あんな奴から解放されてよかった。アリア、うちの国に来ないか? 好きに生きていい」


彼の優しい声に、胸が熱くなった。


「リアン……ありがとう。是非、行かせてもらうわ!」

「それと……しばらくしたら、俺と結婚してくれないか?」


「え!?」

「返事は、落ち着いてからでいい。でも、俺はずっとお前が好きだった」


思わず吹き出して笑ってしまう。

「ふふっ……ふふふ!あはははは!」

驚いたように赤面するリアンを見て、ますます笑いが止まらない。


返事は――もう決まっている。

でも今は、彼の言葉に甘えさせてもらおう。


淑女らしからぬ笑い声をあげながら、私はリアンの手を取って宮殿を後にした。

もう、この国の窮屈なルールには縛られない。

私の“自由”と“未来”が、今ここから始まるのだ。


◇◇◇


数ヶ月後――。

王宮から王都へ、王都から地方の都市へと噂が静かに広まっていた。

「正義感が強すぎる令嬢が、実は王国を何度も救っていたらしい」と。


民の信頼を失った王太子は、アリアとの婚約を破棄したことを後悔し、

噂を聞いた民たちは、この国を見捨てて離れようとしているという。

もう、この国は滅びるだろう。


そんな中、噂の令嬢、アリア・フェルンは隣国で好きなように暮らして幸せに笑っている。


◇◇◇


半年後。

リアンの国の城のバルコニーで、私は彼と向かい合う。


「アリア、あの時の返事を聞かせてくれないか?」

「ええ。――あなたのお嫁さんになってあげる!」


小さい頃から、ずっとなりたかったもの。けれど叶わないと諦めていた未来。それが今日叶う。

『隣国の王子で大切な幼馴染のお嫁さん』ああ、なんて今日は素晴らしい日なのだろう!




滅びた王国よりも、偽りの栄光よりも、

この“自由”と“幸せ”こそ、私の誇りだ。


――そして、二人の新しい物語が始まった。


終わり

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