魔王討伐の為召喚された勇者さま
初投稿です。
よろしくお願いします。
めっちゃコメディに走りましたね…。
短め。展開も早め。
ねぇ、ゆうしゃくん
ん…?
キミはさ、ずっとずぅっと一緒にいてくれるよねぇ
とある世界の魔王城の一室で、一人の少女はそうゆるりと微笑んだのだった
◇◇◇
召喚の儀が成功したぞ…!!
おぉ!
異世界より、勇者様がいらっしゃったのか…!!
とある王宮の召喚の間にて、その日一人の勇者が現れた。
その勇者は、サラサラとした黒髪に、澄んだ黒曜石のような瞳を持っていた。
よくぞ来てくれた、勇者よ。この王国を、この世界を、魔王の手から救たまえ!
王は勇者にそう告げ、娘である王女にこの世界についての説明をさせた。
この王国は、魔族により侵略を受けています。現在は北部にまで侵攻を許し、このままでは3年もせずうちに、我が王国は滅ぶでしょう。
そして勇者様には、我が国、ひいてはこの世界を救っていただきたいのです。忌まわしき魔王を滅ぼすことによって。
説明から僅か3日程で、勇者は聖剣と食料などの必要最低限の物だけ持たされ、王国から出発した。そして勇者の、魔王を倒す旅が始まった。
◇◇◇
ねぇなんで、今回の勇者様はお一人で御出立なされたんだい?
知らんのかい?
それはね!今代の勇者様が歴代で一番お強いからだよ!お供がいらっしゃるとお邪魔になるからと、勇者様が王様に断ったんだって〜!
王都にその様な噂が出回る頃、勇者は旅路の予定より遥かに進んだ場所に辿り着いていた。
魔王城である。
魔王領に入ってから、幾人もの魔人や魔物が勇者に立ち向かっていたが、力ある者もなすすべなくあしらわれていた。召喚の際着用していた衣服の他に、たった一つ持っていたという聖剣によって。
聖剣には意思があった。旅の道中、勇者になぜこの世界を救うのかと尋ねた。しかし勇者はなにも答えない。そもそも勇者はこの世界へ舞い降りた時、国王へ旅の供を断った時から一言も発していなかった。
勇者は進む。ずんずん進む。本来行手を阻むはずの、魔を統べる者など無いに等しいと言わんばかりに。
聖剣は狼狽えた。なぜこの様な力を、異界のものとはいえ持っている。魔王よりも世界の危険となる事となり得るほどの力を!
勇者は答えず、更に進む。浴びた鮮血で自らが汚れる事も厭わず。
数日前国を出たとは思えぬほどの早さでに魔王領へと入り、魔王の間へと到着した。
そこには醜い異形の姿があった。玉座に座っている、おそらくあれが魔王だろう。聖剣はそう感じた。力の源となる埋め込まれた聖鉱石の力を研ぎ澄まし警戒を強めた。
余りにも早く来すぎた為、そこにいた四天王達は呆気に取られ動けなかった。
勇者は躊躇いなく魔王へと進んだ。スタスタと、一直線に。
皆が戦慄した。次の瞬間、勇者が魔王の首へ刃を通すだろうと。
しかし、勇者は剣を振るわなかった。
それは勇者が、別の行動を取ったからである。
聖剣は勿論、四天王や勇者に敗れた魔人や魔物までもが驚愕した。
勇者が聖剣を叩き折ったからである。城を支える柱を使い、テコの原理まで利用して。
勇者は呆気に取られている魔王を、折れた聖剣の近くへと連れ出した。折れた事で露出した聖鉱石の青白い核が、みるみる暗い紫へ濁っていった。魔王を取り巻く悍ましい力が、聖剣へ吸い込まれた為に。
すると、魔王を渦巻いていた黒い瘴気から何者かが現れた。
それを見て勇者の表情に、この世界に来てから初めて色が灯った。
目を輝かせ頬を染めたのである。
中からは少女が現れた。可愛らしくも美しいかんばせをした、幼女と呼べる年の頃の者が。
魔物達は二度見した。あの血に塗れた勇者が、悪魔が、口元に笑みを湛えている…!?
そして、あの魔王様のいたはずの場所から現れたおなごは一体…?
勇者は舞い降りた少女を抱き抱え、魔王城の一室へと向かった。最深部へ迷う事なく進む彼は、この城の間取りを知り尽くしているかのようだった。
部屋に着くと、勇者は彼女と共にソファへと腰掛けた。少女のことを離そうとはせず、目覚めるのを緩やかな表情で見守った。
この後、数分後に目覚めた少女が狼狽えながらも状況を理解しイチャイチャして生涯を過ごす。なんなら勇者は寿命という概念をすてる。
ゆうしゃくんと気の抜けた声で呼ぶ彼女は、前世先代の勇者であり今世今代の魔王。色々あって呪われて、あのような姿に。
勇者は前世先代の魔王で、今世今代の勇者。前世と同じく寡黙。前世の事がある為、勇者なのに魔王より魔王らしい。
魔王ちゃんが呪われているのを察知し、今世は人間の肉体であったが些事だと判断し、一直線に会いに。
四天王は勇者くんの前世の時代から仕えている為、後に先代魔王様の気配を感じ取りビビる。苦労人ポジ。
四天王の一人 ゾワッ「…ヒッ、、、!」
ちなみに…
聖剣は魔王を滅ぼすほどの力を持っていた為、その核となる聖鉱石は大聖女の高位魔法ほどの力を持ちます。