リアの孤独な旅:人類の消失の謎を追って
荒野の風は冷たく、砂塵を巻き上げながらリアの髪をかき乱していた。彼女は疲れた足を引きずりながら歩き続けていた。どこまでも続く無人の大地。見渡す限り、生き物の気配はなく、ただ無機質な風景が広がっていた。
「……また、誰もいない……」
リアはぼそりとつぶやいた。彼女の声は虚しく風に流され、消えていく。この世界に自分以外の存在がどこにもいない――それがリアにとって何よりも恐ろしい現実だった。
数年前、両親を失ってからというもの、彼女は一人でこの荒れ果てた世界を旅してきた。誰とも話さず、誰にも会わず。いつの間にか人々が消えてしまった理由を知るために、リアはひたすら歩き続けていた。人類がいなくなったその原因――それを見つけることが、彼女の唯一の目的だった。
「どうして、こんなことになったんだろう……」
足を止め、リアはふと空を見上げた。答えはどこにもない。人々がどこに行ってしまったのか、なぜこの地球に誰もいなくなってしまったのか、その答えを知るための手がかりは今も見つかっていなかった。
彼女の記憶には、両親が最後に言った言葉が微かに残っていた。「安全な場所へ行こう」と。それが何を意味していたのか、彼女には今でも分からない。両親が亡くなった時、リアはすべてを失い、一人ぼっちになった。そして、その日から彼女の旅が始まった。
リアの胸には、深い孤独感が根を下ろしていた。人類がいなくなった原因を知る――それが彼女を突き動かす唯一の理由だったが、そのための道は遠く、険しいものだった。どこに行っても手がかりは見つからず、ただ廃墟と荒野が続くだけ。
「私は……一体何を探しているんだろう……」
リアは思わずつぶやいた。果てしない旅に終わりがあるのか、それすら分からない。ただ歩き続けることしかできない現実に、彼女は押しつぶされそうになっていた。
その時、遠くに廃墟となった工場が見えた。大きな建物が影のようにそびえている。錆びついた鉄骨と崩れた壁――だが、彼女は直感的に、そこに何かがあると感じた。
「ここなら……何か分かるかもしれない」
リアは希望を胸に、工場へと歩を進めた。錆びた扉を恐る恐る押し開けると、内部は薄暗く、長い間放置されていたことが一目で分かる。それでも、彼女は中に進んだ。
そして――彼女は見つけた。
工場の奥で、無言で作業を続ける一体のロボットを。彼はずっと動き続けていたが、その動作にはどこか機械的で無感情なものを感じた。それでも、彼が動いていることは、リアにとって久しぶりに「何か生きたもの」を見つけたような感覚を呼び起こした。
「……誰?」
リアは声をかけた。静かな工場の中で、その声は響き渡った。ロボットはゆっくりと彼女の方を見つめ、彼女の存在に気づいたかのように動きを止めた。