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セクハラをぶっ潰す(中)

 二時限目は、私の苦手な科目の化学だった。

 待てよ、私って得意科目あったっけ?

 英語も数学も理科も苦手だ。

 マシなのは国語と社会。それも政経くらいか。体育は好きだけど。


 化学の教師である前田、この人はいい人だったなあ。

 今、目の前で化学式を黒板に書いている彼の禿げ上がった後頭部を見ながら、懐かしさに少しだけ胸が痛くなる。

 大人たち、みんながみんな、イヤな奴ってわけでもなかったんだよな……。


「はい、これ、元素番号はなんでしょうか? 簡単サービス問題。えーと。今日は31日か。じゃ、出席番号31番、花村さん。答えてチョーダイ!」

「へ?」

「花村さん」

 ヤベ、授業聞いてねーし。元素番号なんて知らんし。


「26」

 後ろから恭子が囁いてくる。

「26でっす!」

「はい、正解。君たち、元素番号は覚えておいて損はないよ。入試問題に絶対出るしね」


 私は久しぶりに高校生に戻って、授業を受けているうちに、学生時代って、なんであんなに勉強がつまらなかったんだろう? って不思議に思った。

 人生やり直しの間だけでも、真面目に勉強してみるのも悪くないかもしれないなぁ。


 放課後、私は恭子と共に部活に参加することにした。私は漫研にいたが、元々はバレー部に入っていた。しかし、そこは初心者にはキツい部だったので早々に退部した。なにしろ地区大会常勝で、全国大会も狙えそうな強豪チームだったのだ。辞めてからは、のんびりやれそうな漫研に入った。


 漫研部室に向かう廊下で、九条とすれ違う。

 九条はチラとこちらを見て、恭子に声を掛けた。

「暇そうだな。山岳部に入らんか?」

 私のことは完全無視、眼中にない様子だ。

 私は透明人間ですか?


 でも仕方ない。

 何故なら、九条、こいつは入学早々から恭子に目をつけていて、彼女に面と向かって、「お前の顔、タイプだなあ。ワシが顧問やってる山岳部に入らんか?」などとキモいことを言ってきた、ロリ爺なのだから!


 しかし、もっと問題なのは、肝心の恭子がロリ九条の言葉を深刻に受け止めていないことだった。セクハラの概念がない時代、むしろ教師に気に入られてラッキーくらいにしか思ってないのだろう。

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