反省と決意
「なあ、お父さん。お酒少し控えよう? あと、食べすぎ注意、甘い物もほどほどに」
「急にどないしたんや? 自分が怪我してんのにオレの心配か? それを言うならオマエこそ、体操したり散歩したりして体を鍛えたほうがええんちゃうか。自転車でコケるて鈍臭すぎるやろ」
たし蟹。
「そしたらさ、ふたりで一緒に頑張ろ、な。健康で長生きするために」
「長生きして、どないするんや」
「は?」
「長生きするだけが幸せやないで」
「……」
まさか、そんな反応が返ってくるとは。
「太く短く、が幸せな場合もあるんや」
それはアンタの体型やろ、と突っ込みたいのをぐっと堪えて、私は尋ねてみた。
「太く短くって例えば?」
「そら、好きなモン食うて、好きなように金使うて」
「はあ」
「自由に生きるんや」
旦那がそんなことを考えていたとは意外だった。
「そうですか。それなら、好きにしたら宜し。私も好きなようにします」
そうは言ったものの、真面目に小市民として生きて来た私は、『好きなようにする』ということがわからない。
それに、法の範囲内でやりたい放題やるというのは、意外と『ちっせえ』ことなのだ。長年の人間稼業で、それはよくわかっている。
思い起こせば、と言っても僅か二、三日のことだが、タイムリープした私は、それぞれの次元で数々の犯罪を犯してきていた。威力業務妨害、器物破損、傷害等々……。
ざっと思い出しただけでも相当なもんだ。なんで、こんなに暴れまくったのか。
はっ! そうか。罪に問われない自信があるから、迷惑行為を安心して行っていたのだ。
私のチート能力は、被害者自身にも法律にも見えねえし判らねえ。だから裁いてみたのだ。ん? これは著作権侵害では? さらに罪状を増やしてどうする。
一旦タガが外れると、人ってとんでもないことをしでかすのな! 犯罪者の気持ちが、ほんの少しわかった気がした。
しかし、これ以上はやめておこう。次、タイムリープすることがあっても犯罪行為はやらない。そして、しばらくは小さなことからコツコツと、自分の身の回りだけでも良い世界を作れるような行動をしよう。そう決心した。
そうと決まれば早速心を入れ替えて、家族の健康を考えた食事をつくり、パート先では率先して片付けや掃除する。町内会の行事も積極的に……。
いや、コレ私のやりたいことちゃう!
好きに生きてない。
次回が最終回です。
中身のない物語にお付き合い頂き、ありがとうございました♪




