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やっと帰れた

「はっ!」

 ここは? 私、生きてる?

 撃たれたけど助かった?


「具合はどうや?」

 声のする方を見ると、旦那がいる。

 助かった上に、元の次元に帰って来た?

 旦那の髪の毛は、ハゲと呼ぶほどではなく、まあまあ残っている。未練ハゲと呼ぶべきか。全体に少し若い気もする。元気そうだし。

 どうやら私は、コロナ前に帰って来たっぽい。


「私、病気なん?」

「なんや、やっぱり頭打ってたんか。おかしいな、CTでは異常なしやったが」

「頭? 打った? CT?」

「お前、昨日夕方、チャリで転んで病院運ばれたやないか。それも覚えてないんか?」


 あっ! そういえば、そんなことがあった。

 自転車で狭い道路を通行中のこと。対向車とすれ違いざま、私の自転車は、少し車の側面を掠ってしまった。バランスを崩した私は転んでしまい、救急車で病院に運ばれた。

 幸い、どこも怪我はなかったが。あれはコロナ前のいつだった……? 多分、十年は前だろう。


 十年一昔というが、改めて見ると、目の前にいる旦那は、そこまで太っていない。おそらく、まだ糖尿病になっていない頃だな。旦那が亡くなった時、病気さえなければコロナで亡くなることもなかったと、私たち家族は悔しい思いをした。

 人生のやり直しが出来るかもしれない。

 旦那に不摂生させないよう、目を光らせるのだ。


 タイムトラベルものだと、過去を変えてはいけないらしいが、私たちのような庶民レベルなら多少の変化は許されるんじゃないの? 旦那は、人類の未来を変えるほどの重要人物じゃないんだし。


 一方の私はどうだ?

 芳の秘書だった『私』も、おそらく撃たれた瞬間に、どこかの次元から元に戻ったはずだ。もしかしたら、救急車で運ばれたということが、元に戻って来れるきっかけだったのかもしれない。時間はズレてるけど。


 彼女(といっても別次元の私だが)が助かったかどうかが気になるところだが、そっちはそっちでなんとかしてほしい。それぞれの次元の私は、自分で頑張って生きていくしかないのだし。

冗漫な物語も、そろそろ終わりです。

お付き合いいただき、ありがとうございました♪

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