これぞ異世界
「国会に行ったことがない?」
いけない。つい興奮して余計なことを。
黙ってしまった私に代わって、芳が答えてくれた。
「仕方ない。菅生くん、今手短に話しておくわ。異次元転移が、私たちの身にも起きたの。この花村は違う世界から来た花村よ、還暦すぎの普通の主婦らしいの」
「えっ?」
菅生くんは、運転中だから前を向いたままなので、どういう顔をしているのかわからないが、めちゃくちゃ驚いたという感じはなかった。
「どうやら他の人と同様、短期間で別の次元に移動してしまうみたいなの。個人差があるから、なんとも言えないけど。だけど、この花村がまた移動をしても、元の花村がここに戻ってくるかどうかはわからない」
芳はそう説明する。
「ということは、当面、秘書は俺ひとりってことッスか」
「新しい秘書に来てもらうしかないわ。それまで頼んだわ」
芳は淡々と話すが、公私共にパートナーである人間を失った痛手は大きいだろう。そして、その事象は、あちこちで繰り広げられているに違いない。
タイムスリップとチート能力のおかげで、復讐することが出来て喜んでいた私。とんでもねー能天気バカだ。
私はようやく、自分が恐ろしく厄介なことに巻き込まれていることに気づいて、今更ながら震え上がる。私個人では手に負えねぇ。
「えーと。呼び方は花村さんのままでいいですね? 花村さんは僕と一緒に、議員会館の事務室で過ごしてください。ここからは先生と別行動で」
国会議事堂に到着し、車から降りたところで菅生くんにそう言われた。
菅生くんは、康二と同い年くらいだろうか? 私の次元の超人気俳優似、かなりのイケメンである。
「ここからは、先生には大臣秘書官の方たちがいらっしゃるから、僕たちは事務室で雑務をします。実は僕、秘書になりたてで、運転手と後援会のお世話だけしかやってないんです」
「はあ」
説明されても、そもそも国会議員や大臣の日々の仕事なんて知らねぇんだわ。
議事堂に入って行く芳を見送っていると、見覚えのある人が玄関近くの廊下を歩いている。大勢の人を従えて歩くその人は……。
「そ、総理だー!」
総理大臣を間近に生で見て、思わず叫んでしまった。
国会議員の世界、テキトーです。
政治ドラマも興味なくて観たことない……反省。
異世界での国会と受け止めて、間違えている描写もお許しください!
なのに総理大臣まで出しちゃったよー! まずいな。早くこの次元のお話を終わらせたいですw




