反省します
は、と気づいた時は、またもや懐かしい家並みの前にいた。
「これは、高校時代の実家のあたりだわ」
声に出してつぶやいてから、口を押さえる。いかん、歳をとると、思ってることをつい口に出してしまうのだ。
亡くなった旦那も、朝から晩まで独り言を言っていた。
それに対して私が返事すると、「なんでもない、独り言や」と答える。しかし、「おい、なんで返事せんのや」と、たまに言ってくることがあるのでややこしい。
それで、「なんか用事ですか?」と答えると、
「さっきから何遍も聞いてるやないか! ワシのパッチどこ? て」と、キレ気味に返事してくる。それなら、こっちも反撃するしかない。
「知らん! いつもの独り言かと思てたし」
すると、旦那はモゴモゴ口の中で何か言って、その辺をうろうろし始める。
お前は熊か。
煩わしいコトこの上ないが、旦那が死んで一年も経つと、懐かしく思い出される。しかし同時に、腹立つことも甦ってきたりする。
故人のことを悪く言いたくないが、とにかく身勝手で、私のことを舐めてかかってたトコがあった。具体例が思いつかないほど、一事が万事、私に対する態度が舐めプ。
そこまで考えて、昭和の人間って、そういうトコなかったか? って私は思った。
九条もそうだし、岩切もそうだが、目下に対しハナから見下して相手してくるのだ。それで腹が立つ。
さっきの謎の存在、パパちゃまだってそうだ。
妻であるママちゃまに優しく振る舞っていたが、私の『この世界は本来の私のいるべき世界ではない』という主張には、まともに取り合おうとしていなかった。熱のせいだから、と決めつけていた。妻の主張を聞くのが面倒くさかったとしか思えない。
……が、私も悪い。
パパちゃまは色々あっても、妻のことを可愛い存在として大事にしている気配があった。
しかし、私は昭和の人間だから、夫は妻に対して優しく振る舞うなんてありえない、冷たいくらいで丁度いいと思い込んでいるフシがあるのだ。
いっそ、パパちゃまの優しさに甘えて、さっきの世界で暮らしていけばよかったのかもしれない。
……いやいやいや!
なんのために私は時空の旅をしているのだ。
こうして、また違う世界、時代に来たということは、私の旅には何か意味があるに違いない。
それにパパちゃまはキモいしね、イケおじなのに!




