2 金
「とにかく、この掃除を終わらせて、誰も居ないところに移動だな」
レイはアカリに向かって話す。
「おうよ」
アカリは、ワクワクしたような口調で答え、珍しく中注しているのか、黙って作業を進める。
仮に、中二病が本当に魔法を使えるようになったら、それは中二病ではない。だけど、詠唱の言葉まで付け足したらそれは中二病なのか?
一方のレイはそんなことを考えながら、作業に取り組んでいた。
ようやく終わった帰り道。
というより、焦げなんて剥がれなかったというか燃えていて、白のペンキ的なもので隠してきたのだが、ようやく帰ることができる。
「なあ、秘密基地とか作ってねーの?」
アカリがたずねる。
「つくるわけないでしょ」
「じゃあ、どこか隠れることができる場所は?」
「……都会って不便だね」
「そうだな。あ、こんなときのために用意してたプランBはどうだ?」
「どうだじゃなくてだな、プランバカ(B)」
「ちぇー、ノリワリ―の」
「まあ、適当な場所を探そうぜ」
そう言って、俺たちは、なんとかして見つけた、誰も使ってない神社的なところで実験をすることにする。
公園には、一人以上の人がいるからな。
この場所なら、狭いし、お賽銭すらおいてないし、誰もくることはないだろう。ほんと、なんで潰れないんだろう? っていう八百屋さんとおんなじ感じだな。
「というわけで、だ。炎を使ったアイデアを募集します」
「考えてないのかよ……どれくらい使いこなせるんだ?」
意外と使いこなせるな。
アカリは手から自由自在に炎の形を変えて見せる。夜のお墓にでてきそうなくらいの小さいサイズだが、十分だろう。
「いいね、副作用とか感じる?」
「特に感じないかな」
「そもそも、俺たち以外に使える人いないのかな?」
「いないんじゃね?」
「いや、意外と、俺たちだけが知らないだけで、周りでは普通に使っているかもしれないぜ?」
「あー、わかる。こんなに事務作業頑張ったのに、エクセルなら一発で終わるーみたいな?」
「そうなのかな? まあ、他にも、同じような人は出てないか探してみようぜ?」
レイがそう切り出し、探してみることにする。
「それもそうだな……ああ、ニュースを見た限りはいないな」
「Twitterは?」
「お前も調べろよ」
「いやいや、俺は頑固で、最新のものを使いたくないっていう設定だから、若者の成長をだな……」
「めんどくさいってことね」
「ごもっともです」
「えー、っとね。あ、見つかった?」
「マジ?」
自分だけは特別だと思わない方がいい。それは何度も経験したことだ。
女ともだちいなくても、なぜか、バレンタインの日になると、期待しちゃうんだよな……俺のバカ!
「あ、違ったわ。バカが炎上動画あげてるだけだわ」
「タイトルは?」
「指から炎出してみた」
「バカだな……炎上という名の炎はだしているけどね」
「あ、それコメントにある」
「マジカ……やっぱり、俺が考えることくらい、みんな考えるんだな」
ほんと、youtubeのコメントで良いのが多いのと、良いねが少ないのの差って分からないよね。