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作家の妻炎上編-3

 朝比奈には余計に自分は恨まれtらしまったようだ。


 ただ今回メイクスタジオに行き、動機のようなものがわかったのでラッキーだった。朝比奈が伊夜を殺したのではなく、失望したからだろう。完璧な伊夜様がヤクザと結婚したり、だんだんと朝比奈の理想とずれて行って憎しみに変わったと思えば、合点がいく。


 珍しく夫の洞察も合っていたとも思う。夫は朝比奈を「可哀想な女」と付箋に書いていたが、その通りである。憧れの存在も所詮は神様じゃない。完璧ではない。石や木と同じの偶像だ。いくら拝んでも心が満たされる事はないだろう。


 そんな事を考えながら、文花は自宅に帰った。


 夫は先に帰っていた。さすがにずっと尾行をするのは、諦めたようだ。


 伊夜風のメイクの文花をみて、目を丸くしていた。


「また、死人のメイク真似てるの…?」


 さすがの夫もドン引きして、リビングでシュトーレンをもぐもぐと食べていた。クリスマスを待たずにシュトーレンはなくなりそうだ。本当はクリスマスを待ち望みながら少しずつ食べるお菓子だが、夫の場合はそう言った我慢が出来ないのだ。新婚当時、お菓子入りのアドベントカレンダーを買って飾った事があるが、それもクリスマスを待たずに全部お菓子が夫に抜きちられてしまった事を思い出した。


「いいじゃないない。このメイクは不満?」

「まあ、ミイちゃんのメイクを真似するよりは良いけどさ…」


 ぽりぽりと夫は頭をかいていた。いつも以上に抜けた表情をしている。


 文花は夫の側に座り、聞いてみた。


「今日は、あなたお仕事? 出かけてた?」


 さすがに何で尾行していたか?と聞いたら、答えないだろう。遠回しに質問してみた。


 夫は、居心地が悪そうにシュトーレンを齧っていた。粉砂糖がポロポロと夫の膝や床に落ちていたが、夫は片付けようとはしなかった。あとで自分が掃除しなければならないと思いとウンザリとしてしまった。


「どうでもいいだろう。文花ちゃんこそ何してるんだよ。向井さんのパートはやめたの?」

「やめてはいないんだけどねぇ」


 事件を調査する為にパートは休んでいるとは言えない。向井はノリノリで事件調査の為だったら休んでいいと言っているが。広瀬の件も解決してしまったので、クライアントが来ず、仕事はないというのも現状だった。


「そんなメイクして何やってるわけ?」

「色々あるのよ」

「色々って何さ」


 夫は子供のように口を尖ららせていた。朝比奈への私怨はもちろんあるが夫の作品のネタになるかも知れないし、また話題になって夫の本が売れるかもしれないから事件を調査しているとはいえない。しかも今日は朝比奈が伊夜を殺す動機なようなものも得てしまっている。


「朝比奈先生は犯人じゃないよ」


 突然、夫がつぶやく。もしかしたら自分が調査をしている事がバレたいるかも知れない。


「なぜ?」

「朝比奈先生は可哀想な女だと思う。そんな、殺すかな?」


 どうも言っている意味がわからないが、夫はあまり疑っていないようだ。真っ直ぐな目で言っている。


「それにヤクザが捕まってるんだろ。あいつが犯人さ」

「そうはいっても…」


 こうも夫に真っ直ぐに言われてしまうと困ってしまう。


 文花もちょっと居心地が悪くなり、スマートフォンを操作し始めた。島崎からメールが届いていた。


『文花さん、大変!安優香先生が行方不明になったみたい』


 は?


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