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お嬢様学園編-2

 文花と島崎は手分けをして登場の資料を読み漁る。シュトーレンとお茶を片手なので、側から見たら呑気そうにも見える二人だが、その目はギラギラとしていて真剣だった。


「やっぱりおかしいわね。この卒業アルバムの写真。朝比奈は一人笑顔だけど、伊夜もキリコも安優香も顔がひきつってるじゃない」


 文花卒業アルバムの写真を指さす。修学旅行の写真でどこかのホテルの一室のようだが、朝比奈だけ満面の笑みだが、他のものは微妙な表情を浮かべていた。安優香の事は知らなかったが、島崎がこれがそうだと教えてくれた。朝比奈同様、地味な女生徒だったが、成績が良くいつもトップで英語のスピーチや読書感想文でもよく入賞していたらしい。


「島崎さん、当時朝比奈達は本当に仲良かったの?」

「ええ。朝比奈さんは、伊夜様ってしょっちゅう追っかけてしてたけど。確かに突然一緒に連むようになったのよね」


 島崎はシュトーレンを咀嚼しながら考え込んでいた。


「何か知りませんかね?」

「わからない。ただ、朝比奈さん、伊夜と連むようになってから突然成績が上がってるわね」

「本当?」


 当時の朝比奈の成績の記録を見ると、ほとんど 1か2ばかりの酷い成績から、5ばかりになっている。教師のコメントでは伊夜やキリコ、安優香と一緒にいて良い影響があったのだろうとあったが、どうも不自然だ。


「こんな突然成績上がりますかね? こんな1や2ばっかりの劣等生が、突然成績が上がるには不自然ですね」

「確かに。でも当時の教師達は端にも棒にもかからない劣等生が改心したって逆に安心していたのよ」


 そんなものだろうか。しかし、この成績の上がり方もやっぱり不自然だ。


 それに校内に作文コンクールで入賞したという記録もあった。


「おかしいわね。確かに勉強はガリ勉すればそこそこ上がるけれど、作文コンクールに入賞って…」


 その変わり、この時から安優香は作文コンクールに入賞しなくなっていた。


「おかしいわね? ああ、そういえば当時、朝比奈さんは安優香さんの作文をパクってるんじゃないかって噂があったわね」

「本当?」


 文花はその事実を自分のノートに書き込んだ。島崎が言う噂が事実だとしたら、安優香は何故朝比奈に協力していたのだろうか。


「朝比奈さん、安優香を脅していたんじゃない? 代わりに作文書けって」


 文花は憶測を口にした。


「安優香だけでなく、伊夜やキリコも脅していた可能性がある。だったら、突然仲良くなったのも辻褄が合うのよ」

「確かに、それはあり得るわ。でも、どんなネタで脅すのよ?」


 それはわからなかった。


 朝比奈が脅していたと仮定すると全て辻褄が合ってしまう。


「言っとくけど当時の伊夜、キリコ、安優香は全員評判のいい優等生。キリコはちょっとメイクは派手だったけど、補導されたりする事は一回もなかったわ。家庭の問題もなかったはず」


 島崎はそう断言していた。逆にそんな優等生だからこそ脅しに屈してしまった可能性が高いが、証拠がない。その後、島崎と二人で資料を漁ったが、答えは出なかった。

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