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71 とある日の暗躍活動記録の裏で~ロゼスとガゼロ編①

視点が変わります。

午後の授業が終わると、ロゼスはアラトマに呼び止められた。最初は無視をしようと決めていたロゼスだったが、アラトマがわざと大声を出して呼び止めるので仕方なく振り返る。ロゼスの顔には人前では話しかけるなと書いてあった。




「どうしても必要な報告でさ~」


悪びれる様子もなくアラトマは言った。馴れ馴れしく話しかけるアラトマにロゼスは冷静に言葉を返す。


()()()()()キミが僕に何の用?」


爽やかな笑顔ではっきりとロゼスが言うと、周りの生徒たちが興味深そうに視線を寄越した。



「チッ、俺だけじゃなかったのかよ」


そこへガゼロが割り込んでくる。ロゼスの姿を見てあからさまに嫌そうな顔をした。


「リコリスが呼んでるっていうから来たのに、この面子。ったく、騙しやがって」


ガゼロはアラトマをギロリと睨んだが、アラトマはへにゃりとかわした。


「……へぇ。リコリスの名前でガゼロが釣れるんだ。何か嫌だな……」


ガゼロの言葉に反応したロゼスは、何か嫌、どころではない激しい嫌悪感を示している。ひり付いた空気の中で、アラトマは楽しそうに笑った。


「それで、用事は?」

「で、用事は?」


ロゼスとガゼロの声が被る。その事には2人とも気にせずにアラトマの返事を待った。中々良いコンビじゃないかとアラトマは思ったが、その感想は心の内に仕舞っておいた。


「んじゃあ、場所を移そうか~」



誰もいない教室に入ると、ロゼスは空間を切り取り教室なかと外に分けた。教室の中は淡い光を放つ鉱物や水晶、結晶が突き出して、教室そのものを見事に作り変えてしまっている。




「チッ。何だ、これは……」


地面や天井、壁からも突き出している柱を見て、ガゼロは邪魔だと言い放った。それを掴んで簡単に手折ると、耳障りの良い音を出しながらクリスタルが地面に落ちた。その瞬間、教室中の鉱物や水晶、結晶の柱がガゼロに向かって伸び、威嚇をした。ガゼロの身体と柱の尖った先はわずか数ミリ程度しか距離がない。



ガゼロは顔色を変えなかったが、弁明はした。


「知らなかっただけだ。敵意はない」


「次はないよ」


険悪なムードがまたしても漂う。しかし、アラトマはその打開策を良く知っていた。ただ“()()()()”を言えばいいだけだとアラトマは知っている。



「今日の夜の暗躍活動、僕と爛諭が行く事にしたんだ。あと枠が1つあるけど、どう? 俺が見つけてきた火種の案件。対象者はユリネス大公国の生徒4人とアンドーラ国の生徒2人だよ」


ロゼスとガゼロの動きが面白いように止まる。


「爛諭と……アラトマだと?」


「アラトマ……と爛諭……」


2人の顔はどんどん青ざめていく。


ユリネス大公国の生徒に対し、容赦しない爛諭の姿をガゼロは簡単に推測出来た。爛諭は手加減なしに遠回しな方法で責めたり、相手をさいなませるようなやり方を好む。それが長時間にも及ぶだろうと思うと、ガゼロは付き合いたくないという答えを出した。


一方、ロゼスは厄介なアラトマと一緒にいる事は精神的によくないと考えていた。アラトマの仮面が手に負えないものに変わった時、それを爛論の前で誤魔化すのは不可能だと考えた。しかし、断ろうとしているのはもう一人いる。視界の横に映るガゼロを見てそう判断した。


(さてどうしたものか……)


ロゼスは迷っている。2人が断れば、最終的にリコリスがこの案件を引き受けなければいけないからだ。


アラトマはそんな思案に耽るロゼスを見つめた。

その目は表情をころころと変える。ロゼスの思考や感情に同調するような目を見せる時もあれば、それを悟られてはいけないと死んだような目をする時もあった。また、ガゼロにだけはその目の奥を見せてはならないと警戒色を帯びた目をする時もある。


ロゼスはそんなアラトマの目を気にする事もなく、無言で黙っていた。すぐに答えを出したガゼロとは違い、ロゼスにはまだ考えなければいけない事があった。


リコリスと『部屋でまったりと過ごす』という密やかな約束をしているのだ。今日の夜の予定を変えたくないロゼスにとって、この選択は苦渋の決断だった。しかし、ガゼロを説得するのも骨が折れる作業。簡単に頭を下げてお願い出来る相手ではない。


ロゼスは重い溜息を吐いた。



アラトマは、そんなロゼスの考えている事が手に取るように分かる。わき腹の印を撫でると、苦渋の選択を迫られているロゼスの様子が伝わってきた。もう少しその様子を見てみたいアラトマだったが、“()()()()”を投げかける事にした。



「2人が断るとなると、頼みはリコリスか……。でも、女の子に押し付ける程の予定って何か逆に気になるな~」


敢えて断りにくい状況を作っていく。その言葉に反応したのはガゼロだった。


「そうかよ。じゃあ答えてやる。俺は今日の夜ロゼス(こいつ)と一緒に別の火種を摘み取らなきゃいけねぇんだよ」


「なっ!」


「そっか。ロゼスとガゼロが仲良い事は分かったよ。そういう理由ならしょうがないよね」


その言葉を聞いてアラトマはすぐに引き下がった。しなりそうになる唇を隠して思惑通りとほくそ笑む。「またね~」とロゼスの言い分も聞かずに走り去っていった。


ロゼスはじろりとガゼロを睨み付ける。


「……謝るつもりはねぇ」


「……野獣は鎖に繋がれておくべきじゃないの?」


「どういう意味だ?」


「さあね……。でも、リコリスとの予定を潰した罪は重いよ。丁度いい機会だから、どっちが上か戦いで決めるのはどう?」


「やけに好戦的じゃねぇか。上等だ」


こういう経緯を経て、アラトマと爛諭とリコリスの3人は暗躍活動をする事になった。リコリスたちが暗躍活動をする夜、別の場所ではロゼスとガゼロが決闘している事を3人は知らない。

読み終えて「頑張って」や「続きは?」と思った方は、ブックマークして下さいね。広告下の☆☆☆☆☆☞★~★★★★★にして評価宜しくお願いします。正直な感想に飢えてます。『111回以上婚約破棄されましたが、まだ婚約者の座を死守しています』☞https://ncode.syosetu.com/n1599he/の方も読んで下さると嬉しいです。

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