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5

私は髪を左右に結び、度の強い丸眼鏡を着用。ドレスもかなり地味なものを選んだ。

姿見で確認

間違いなく乙女ゲームに出てきたオルテンシアだ。

地味で冴えない少女

「折角の美少女がぁ」

「私たちの努力の結晶がぁ」

と、後ろで嘆く侍女たちは無視だ。

「いいんじゃない」

ヴィユノークは私の姿を見て満足そうだ。

「それなら余計な虫が寄って来ないね」

「何を言っているの?私は兎も角、他の子たちの目的は王子でしょ。側近や婚約者になる為にきっと必死にアピールするはずだから私がおしゃれしたって誰も寄って来ないわよ」

「姉さんって変なところ馬鹿だよね」

なんと!?

それは聞き捨てならないわね。

「最初から見込みなしで自分よりも高位貴族にアピールをするつもりで来る下級貴族だっているよ」

なるほど。

ちょっと前世の感覚に引っ張られていたわ。

十二歳なんて私からしたら子供だけど、貴族の子供なんて生まれた時から婚約者がいる人だっているし、大抵は子供の頃に決めるかある程度絞るものね。

つまり子供同士のお茶会は合コンということか。

確かに普段のオルテンシアがおしゃれなんてしていったらヤバいわよね。ただでさえ絶世の美少女なのに。いろんな男が寄って来るわね。ヴィユノークが今の私を見て安心するはずだわ。

「分かった。気をつけるわ」

私の言葉にヴィユノークは満足げに頷いた。

「では、行きますわよ」

すっとヴィユノークが肘を私に差し出す。エスコートしてくれるようだ。

こんな子供の時から淑女として扱われていたら日本の子供よりも大人びた子になるわよね。

そんなことを考えながら私は彼の肘に手を置く。


◇◇◇


「くすり。見て、あの令嬢」

「うわっ。地味ねぇ」

「あの令嬢って殿下の婚約者候補に上がった方じゃないの?」

「えっ!?あれで?」

「しかも、断ったらしいわよ」

「なんて身の程知らずな」

「身の程を分かっているからではありませんの。だって、あれではねぇ」

お茶会の会場に入った途端、私を見た令嬢たちが嘲笑を浮かべた。そんな彼女たちにヴィユノークはにこりと微笑みかける。

すると周囲から黄色い歓声が上がった。

逆に彼にエスコートされている私は悲鳴を上げそうになったけど。どうして今の彼を見てあんな黄色い歓声が出るのか不思議でならない。

確かに見た目はいい。でも美しい笑顔とは裏腹に彼の目はとても冷めている。底冷えするよ。

でも鈍感な令嬢たちはあっさりヴィユノークの笑みに騙されて彼に近づいていく。

私は巻き込まれるのは御免なので彼からそっと離れる。

横目で彼が私の位置を把握したのは分かったけど何も言ってこないので多少離れても問題ないのだろう。

さて、私の今回の目的は王子殿下の婚約者候補と側近を見ることだ。

多少性格が悪くても優秀な能力を持っていれば問題ないだろう。

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