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完全、復活。

まさか二週間もベッドの住人になるとは思わなかった。

ヴィユノークはちょっと過保護過ぎよね。

しかも、私がベッドの住人をしている間に婚約の話はなくなっていた。どうやったのかとヴィユノークに聞いても彼は笑うだけで何も教えてくれない。

ヴィユノークって結構怖い人?

その牙が私に向かないからまぁ、いいか。

「お茶会?」

婚約者の話は流れたが、王子たちが婚約者候補を探すお茶会に形だけでも出席をしないといけなくなった。

お茶会は王子たちの婚約者候補を探す場ではあるが名目上は貴族間の交流会のようなものだ。

お茶会に参加するのは王子たちと年の近い貴族の子息令嬢たち。

男子からは側近候補を選出するのかもしれない。

「私一人の参加ではないですよね、お父様」

「ああ。ヴィユノークも参加させる」

「姉さんを一人で参加させるわけないでしょ」

「それは私が一人ではお茶会も参加できないほど頼りないと言いたいの?」

なぜかヴィユノークにジト目で見られた。

「それ本気で言ってるの?」

「?」

首を傾けると「もういい」となぜか呆れられてしまった。

いったいなんだというのだ。

「オルテンシア、我が家の役割は知っているな」

「はい。国の害悪となる者の排除です」

「そうだ」

父は重々しく頷く。

「お茶会には王子たちが揃って参加されるとか。つまり、私に王子たちに近づく者を見極めろと?」

「ああ。場合によっては導く必要もある。我々の役割はあくまで国の害悪を排除することだ」

父のその言葉に私の心臓は凍り付いたように動かなくなったような錯覚に陥った。

指先まで血が通わずにどんどん冷たくなっていく。

私は固まりそうになる思考を動かしながら父の言葉を頭の中で反芻した。

『国の害悪を排除』

その中には当然、王族も入っている。と、いうことになる。

父の言葉は明らかに王子たちの排除を仄めかすものだった。もちろん、それは最悪の場合だろう。その権限を与えられている。与えているのは国王だろうけど。

私は初めて自分がとんでもない家に生まれてしまったのだと自覚した。

それでも私の答えは一つ

「分かりました」

それは私の中にいるオルテンシアが出した答えだった。

前世の記憶が持っても思い出す前までのオルテンシアがいなくなったわけではない。

私の中に彼女は確かに存在する。

そしてそれはベッドの住人をしていた時に徐々に私の中に私が溶けて行くように私たちは一つになった。

私はもう平和な国で暴力とは無関係の世界で生きていた日本人ではないのだ。

「大丈夫だよ、姉さん。俺も参加するから」

怖気づく私に気づいてヴィユノークは励ますように私の手を握ってくれた。本当にできた弟だ。

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