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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。

触手百合(※タイトルはイメージです)

掲載日:2020/07/18

それは、彼女たちの欲望を満たす。

ぬめりを帯びたそれは、熱を孕んだ液体の中に泳いでいた。

細く、長く、群れを成している。

それが、否応無く彼女たちの口へと(いざな)われた。


「ん、あっ」

「ふあっ」


一本や二本ではなかった。

束と形容しても過言ではない一群が、唇を割って彼女たちの中へと侵入していく。

かすかな生臭さと薬物の匂いが口一杯に広がった。


「んっ、ずっ、んぐっ!」

「ふ、んんっ、ずっ!」


歯を立てて噛み千切ることなど許されない。

そのぬめりを唇へ、舌へ、口蓋へと(なす)り付けながら、それはさらに奥へと向かう。

喉奥を蹂躙し、食道を押し広げ、胃の腑に至っても尚、己の存在を主張する。


「ふ、は、あっ」

「あ、あっつい!」


最初の一群をなんとか受け入れた彼女たちの額に、玉の汗が浮かび始める。

わずかに白く濁ったぬめりが、彼女たちの唇を汚していた。

それが拭われる間も無く、次の群れが唇を割る。


「んぐ、ずっ、ん! げほっげほっ!」


喉奥を刺激され過ぎたか、一人がむせた。

その勢いに押されて、一筋が鼻腔へと迷い込む。

一瞬姿を見せたそれは、外気を嫌うようにまたずるりと体内へ戻って行った。


「ぐ、んぐっ、んぐっ」

「はあっ、はあっ、ん、ずずっ」


送り込まれる度に、彼女たちの表情は徐々に恍惚としたものへと変わっていく。

液中の群れが全て消え去るまで、蹂躙は続いた。

胃を満たしたそれはやがて姿を変え、彼女たちの身体(からだ)を変質させるのだ。
















「「ごちそうさまでした!」」


空になった丼を返した二人は、開けっ放しの出入口をくぐって外へ出た。

夏の昼下がり、太陽は容赦なく照り付けている。

二人は眩しさに目を細めて息を()いた。


「あー、お腹おきたー!」

「暑っつー……」

「やっぱり、暑い時には熱い『かけ』よねー」

「いや、それでも今日は(あたた)め過ぎた。もうちょっと(ぬる)めにしとくべきだった」

「あんた、汗っかきだもんねえ。あーほら、拭いたげるからじっとして」

「かたじけない」

「それにしても、いくら噛まないのが通だって一遍に押し込み過ぎ! 何むせて鼻から出してんの」

「え、嘘!?」

「一瞬だけね」

「不覚……」

「大丈夫だって。多分、私しか気付いてないから!」

「……それが一番の問題なのだがな」

「え? 何か言った?」

「……何も言ってない! あ、そんな事よりもだ!」

「何?」

「大なんぞ頼みおって、ダイエット中とか言ってなかったか?」

「う、うどんは別腹!」

「確かにそのうどん腹は触り心地が良いがな」

「ギャー! うどん腹言うなー!」

「身体はうどんでできている。腹はうどんで脳もうどん。うどんはコシが命だが、うどんのせいでおまえの腰にはメリハリが無い」

「あ、あるわよ! ちゃんと!」

「……」

「何で黙るのよ!?」

「さ、バカは程ほどにして帰ろう?」

「私が始めたんじゃないよ、もー」

「お手をどうぞ、お嬢様」

「も、もう!」


伸ばされた腕に腕を絡め、ついでに指と指が絡み合う。

濃紺のプリーツスカートを翻して、二人は来た道を戻り始めた。

もうじき昼休みも終わる。

※タイトルはイメージです。感想には個人差があります。


以下、県外の方向けの注釈。

注1)生臭さと薬物

イリコだしにショウガは鉄板。

注2)お腹おきた

讃岐弁で、満腹になったの意。

注3)今日は温め過ぎた

自分でザルにうどんを入れて湯通しする店です。好みの温度にできます。

注4)噛まないのが通

「うどんは喉越し、噛むのは邪道」と熱烈に主張する一派がいます。

注5)うどんは別腹

甘い物も別腹。カロリーがががが。

注6)うどんはコシが命

喉越し一派と対立しそうですが、口舌喉の全てを使ってコシも味わうので対立しません。

注7)脳もうどん

「うどん脳」(正しくは「ツルきゃらうどん脳」)という謎のマスコットキャラが存在します。「ゆるキャラ」ではなく「ツルきゃら」らしいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 絶対うどんだと思いました。 やっぱりうどんでした笑。
[良い点] うどんおいしいですよねえ。
[一言] どういうことなの(宇宙の話された猫みたいな顔で)
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