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霊異の解放者  作者: Ritoha
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9話師匠との再会

その時は、突然やってきた。


「やあ、廻理。しっかり励んでいるかな?適当に歩いていたがこんなにあっさり君に会えるなんてな」


ランニングをしている途中で廻理は、師匠である叶絵と再会を果たす。別れてから、そんなに長い時間は経っていないため懐かしいというような感覚はなかった。


「師匠、こんなに早く会うとは思ってなかったです」


と言いながら駆け寄る。


「私もこんなに早く会えるとは思ってなかったよ。仕事にそんなに時間がかからなかったからね」


という。


仕事というのは霊断士のことだろうか?と思ったが聞くのはやめておこうと思った。


「それで修行は進んでいるかな?少しは霊気の扱いが出来ていると嬉しいがな。でなければこれから地獄の特訓がスタートだ」


叶絵の目がメラメラと燃えているように感じ、恐怖が湧き出てくるが悟られないように答える。


「ええっと、こんな感じなんですよ。一応指だけは…」


指に霊気を纏わせてそれを市場に見せる。


「ほうほう、思ったより出来てるじゃないか!さすがは我が弟子だ」


と頭を撫でてくる。


「ちょっ、やめて下さいよ」


と手を払う。しかし、自分の霊気のコントロールの進みが遅いのではないかと不安があったが師匠の言葉を聞いて安心した。



「だが、安心するのは速いぞ。我が弟子よ!」


安心した直後に爆弾を落とされた。やっぱり師匠である。褒めるだけでは終わってくれない人だった。


「何をしたら良いのでしょうか?」


とりあえず聞いてみる。霊気の使い方をさらに向上させることが出来るかもしれない。


「君は、霊気を必要な時、戦闘でしか使わないと考えているかな?それはあまりよろしくない…常に使い続けることで日々上達する。これに限界は無いんだ」


と言われハッとする。これまでの自分は、どれだけできるかを確認する時しか霊気を纏わなかった。日常で纏っておくことは良く考えると重要だと感じた。


「自分の考えがなかったみたいですね…常に纏うように意識します」


と言い自分が纏える指先に霊気を集中する。


「ああ、そうした方が習得も速くなる。まあこの調子で頑張ってくれ。私は、この島での用事を済ませなくてはならないからね」


と言い去っていった。


「なんか、嵐のような人だな…」


と叶絵が去った後に廻理は呟くのだった。





「霊気を常に纏うってのもなかなか難しい…どうしても途中で途切れちゃうな」


ランニングを続けながら霊気のことを考える。常に霊気を纏うことがこんなに難しいとは思っていなかった。


「でもやるしかないよな!これ以外に方法なんてないんだし」


気を引き締めて再び霊気を纏う。




ランニングを続け、気がつくと墓地の近くまで来ていた。


廻理が住んでいる島は、そこまで大きくないため1つの場所に墓が集まっている。島の人全てが訪れる場所だ。


「父さんと母さんに挨拶でもして行くかな」


墓にはなかなか行かないのでこの機会に挨拶しとこうと思い、廻理は墓地に入る。


そういえば、墓地なんかは夜になると霊異がたくさん集まったりするのだろうか?と疑問が湧いた。後で師匠に聞こうと考えて歩いていると、正面からさっき会った顔が歩いてくる。


「あれは、師匠だ。それにしても、かなりボーっとしてるみたいだな」


師匠らしくないなと思いながら見る。


用事って墓参りのことだったのかな?この島のことは知っていて来たことがあるって言ってたし、もしかしたら知人がいたのかもしれない。


だいぶ近くに来てから師匠は、俺に気づいた。


「あれ?廻理じゃないか。君も墓参りに来たのか?私も知人の墓があるからね。時々ここに来るんだ」


「そうなんですね。俺は、たまたま通りかかったので両親に挨拶しようかと」


と言う。


「それは良いことだ。この島を出ても時々は、ここに来ることをオススメするよ。きっと君の両親も喜ぶだろう」


と言い歩いていく。






廻理は、両親の墓の前に到着し手を合わせる。


「父さん、母さん。俺は、自分の進む道を決めたよ。危ないこともあるかもだけど応援してくれたら嬉しいな…」


と呟く。


直後、暖かい風に身体が包まれた気がした。


挨拶もしたし帰ろうかと思った所で墓に置かれた花に気がつく。


「ばあちゃんが来たのかと思ってたけど。墓参りに行く時は、俺にも言ってくれてた気がするしな」


両親の墓にわざわざ花をおく人がいただろうか?と思い花を見る。


「もしかして師匠が…いや、まさかな」


師匠の知人というのが自分の両親なんてことがあったりしてと思ったが、そこまで世の中が自分の想像通りとは思えなかった。


「帰るか…」


と呟き歩き出す。しっかりと霊気を纏うことも忘れない。


『頑張りなさい』


自分がやるべきことに向かって進み出す廻理を応援するかのように暖かい風が背中を押してくるのだった。

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