34話太陽を恐れる者達
久しぶりの投稿です!
お待たせしてすみませんm(._.)m
「試験場に送った霊異は死んだか……」
陽の射さない暗い森の中だろうか、はたまた湿った地下の中だろうか。火が灯っているがはっきりと周りは見えない。
「あら、ふふふ……まさか上級ともあろう者がまだ霊断士にもなってない子供に負けるなんて」
扇を持った女性の霊異が答える。
「情けないものだな……それでどうだ、太陽の武型を使えそうな奴は出てきたか?」
男の霊異が答える。彼から感じる力も他の霊異とは格段に違うものだ。
「今回、見た感じでは太陽の武型を使える者はいなかったわ」
「そうか、ハズレか。もし出たのなら真っ先に殺さなければならなかったがな…かつて太陽の武型を使ったあの女……夜疎川絵里のようにな」
男は、忌々しそうに言う。かつて自らが追い込まれた存在を思い出したためだ。
「叶絵って春神叶絵のことだろう?あの臆病者は、まだ生きているのか?」
2人の会話に別の声が入ってきた。着物をきた体格の良い男だ。
「ふふふ、今は結構強くなってるわよ。油断すれば私達でも負けるかも。それに他の眷属も育ってる」
叶絵と戦ったことを思い出しながら女の霊異が言う。
「冗談はよしとけよ。相手が眷属だろうと屠ってきたのが俺達じゃないか」
と言う。そこには確かな自信があった。
「だがぁ……太陽の武型が現れたなら……我らも危ういだろう…」
ボソボソと話しながら女が現れる。
「あら、ふふふ。新しい身体ですか?憑白さん」
「ああ……とある霊断士の身体だぁ……まだ完璧に馴染まない」
憑白と呼ばれた女が答える。若干ぎこちない動きをしており、違和感を感じてしまうものだ。
「芽衣、引き続き太陽の武型を使うかもしれない者を探せ」
男の霊異が命じる。
「ふふふ、承知しました」
と言い女性の霊異が消える。
「さてとこれからどうしたものか」
と着物を着た霊異の男が言う。
「ならば、あの憎たらしい霊断士どもを少しでも屠ってこい。そうすれば、また眷属とも戦えるかもしれないからな」
「なら、早速行って来ようか。なんなら叶絵が来て太陽の武型を使えるなんてことがあれば面白いが!」
と言い着物を着た霊異が立ち去ろうとする。
「残念だが、春神叶絵では太陽の武型は、使えんだろう。使えば命に関わるからな、才能とは虚しいものだ」
と男の霊異が言う。
「残念だな。楽しい奴がいれば良いのだが」
と言いながら着物を翻して消えた。
「憑白、お前はまだ戦うには時間がかかりそうか?」
「申し訳ない……この霊断士の抵抗……強い」
男の質問に答える。
「そうか、なら慣れるまで動かなくて良い。だが、慣れたら沢山働いてもらうぞ。霊断士の身体なら武型も使えるのだろう?鍛えた技で仲間を殺すことになるとは哀れなものだ」
と男が笑う。
「ええ……承知…私も失礼します」
と言い消える。
3人の霊異がいなくなり、男の霊異だけとなった。
「太陽の武型……使える者はいつ出現するか。もしも、奴らに子供がいたなら……。ふふ、現れれば一瞬にして殺すのみだな。我ら超位と呼ばれる霊異に勝てるかな?」
暗い闇の中で声が響く。
敵は、着実に動きはじめていた。
夢か……
廻理は、呟く。だが、ここは夢の中……声に出そうとしても何も出ない。
誰かが霊異を屠る様子が見えた。
普段霊異と戦っているため脳とかが夢に出してしまったのかとも思うが、やけに自分の意識がハッキリしているような気がする。
戦っている誰かが使っている剣は光っている。
一体どんな種類の武型だろうか?と廻理は疑問に持ちながらも夢を見続ける。
眩い光は中級の霊異をあっさりと消し去った。あまりの強さに廻理は驚いてしまう。
「太陽の武型」
最後にその言葉が聞こえて廻理の夢は終了する。
「夢だよな……やばい、思い出せない!」
目が覚めた廻理は、ゆっくり布団から起き上がりながら呟く。
部屋には太陽の光が強く差し込み暑さを感じた。
今は、夏休み。学校がないためのんびりと朝は起きることが出来るのだ。
先程まで、何か大事な夢を見ていた気がするが内容を忘れてしまった。
「確かに夢ってよくわすれちゃうけどな……何か大事な気がするぞ」
悶々としながら布団を畳んでいると玄関の扉が空いて真輪が入ってくる。
「おはよう、廻理。ご飯作ったから食べに来てよ」
と言ってくる。
「ああ、すぐに行くよ!ありがとう」
と返事をして布団を閉まっていく。
換気のために窓を開けて空にある太陽を見た時、ふと思い出した。
「太陽が眩しい………太陽……太陽の武型…それだ!」
と廻理は言う。
太陽の武型……それが何を表すものなのか廻理はまだ知らない。




